「MUNTO〜時の壁を越えて〜」
京都アニメーションのオリジナルビデオアニメ「MUNTO〜時の壁を越えて〜」をレンタルしてきて視聴したので、その感想をば。
非常に、素晴らしい作品でした!!
この作品は三部作予定作品の二作目で、「MUNTO」の続編です。
ただ僕がレンタルしたお店では「MUNTO」は無く、二作目の「〜時の壁を越えて〜」しかありませんでした。
「まぁ、きっと話が分からないってこともないだろう」
と思い、視聴しましたが、問題無く楽しめました。
「MUNTO」のダイジェストも入っているので、僕と同じように「時の壁を越えて」から視聴する方は、そちらから先に見ることもできます。
さて。この作品。非常に良かったです。
とにかく、ものすごくクオリティが高い。
ランダムに思いつく良かった点を挙げてみましょう。
よく動きます。絵も切れてる。綺麗。ダイナミック。繊細。
画面構成がすごくいい。映画的。作品世界を広く大きく丁寧に的確に見せてくれる。デジタルの使い方も素敵。
アクションシーン、戦闘シーンが格好いい。日常芝居がすごく丁寧だ。
シンプルで分かりやすい。丁寧に描写している。
女の子が可愛い。男も格好いい。
とにかく、映画でしたね。映画でした。しかも良質の。
話は、どこかで見たことがあるような、ありきたりなファンタジーではあります。切り口、表現の仕方、主人公の悩み方、キャラクター配置、それらに目新しいものはほとんどありません。
言ってみれば、「使い古されたありきたりなネタ」ではあります。
しかし。
すごいことに。
驚くべきことに。
見ていて、「こんなものは見たことがない!」と思いました。
よくある話、よく見るような話なのに、「こんなものは見たことがない」と思ったんです。
それはつまり、そこまできちんと作って見せてくれる作品に、出会ったことがなかった、ということです。
それがこの作品の素晴らしさなんです。
新しいネタや切り口や表現などを模索することは、あらゆるジャンルのエンターテインメントでなされていることだと思います。
しかし、重要なのは新しいか古いか、ではなく、見る人受け取る人が楽しめるかどうか、なわけです。
新しいものをいくら表面的に追い求めたとしても、それは目新しさで注目は集めたとしても、本当に人を楽しませるものにはなりません。
この作品には、見る人を楽しませようとする製作者の姿勢がはっきりと見て取れます。だから面白いし、楽しく見れます。
そして、昨今つまらなくなってしまっているエンターテインメントが、どうなっていかなければならないかのヒントが、そこに込められているように思えるのです。
京都アニメーションは、本当に「まとも」なんですよ。
「まとも」
「アニメーションだから動かそう」「絵は綺麗に描こう」「見てもらうんだから楽しんでもらおう」
そういう見る側にきちんと心が向いている「まとも」な心根を作品から感じられて、それは本当に素晴らしいことだと思います。
僕が仕事をしている漫画の世界では、そういう「まとも」な感覚が希薄になっているような気がして、危機感を感じています。こういう危機感はどんな職種でも一緒なのだとは思いますが。
僕は、絵も下手くそで実力も無く、その危機感をどうすることもできない者ですが、しかしこういう作品を見るととても勇気とやる気が湧き上がってきます。自分の立場でできることを、やるべきことをしっかりやって、少しでも漫画の世界に貢献できれば、と思わされました。
「MUNTO〜時の壁を越えて〜」を作った木上さんをはじめとする京都アニメーションの面々の志が、ものすごく高いのだということが、この作品を見てとてもよく伝わってきたわけですが。その志の高さをより深く感じる場面がありました。
それは、エンドロールです。
エンドロールを見ていると、「MUNTOプロジェクト」に出資した参加者の名前が全員分流れたのです。
見てみると、京都アニメーションのスタッフの名前が次々と表示されるのです。彼らは作品を作るために、自分達で出資したわけです。これには本当に驚きました。また、同じ「氏」がいくつも出てきていたので、おそらくは京都アニメーションのスタッフ達の家族親族も出資したのだと思われます。
まさに手作り!
いやもう。本当に本当に驚きましたし、感動しました!
すっごいことをするよなぁ…って。
作品とは関係ないですが、京都アニメーションは地域の人達のために絵画教室をやったりもしているそうですね。そこにも彼らの「まともさ」と志の高さを感じることができます。いや本当にもう素晴らしいことですよね。
そういったことも含めて、「アニメーションは何かができる!」と信じて、そこに志を立てて、何かを成し遂げようとしている彼らの姿勢を、作品を見ていて強烈に感じました。
また同時に、こんな彼らに出資したい、という気持ちにもなりました。
なので、今回はレンタルでしたが、近いうちに購入しようと思います。
そういう手作り作品なわけですから、すぐに次、というわけにはいかないでしょうけど。でも、早く三作目を見たいと、今から楽しみで仕方がありません。頑張って欲しいです!!
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