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2005年9月 5日 (月)

機動戦士ガンダムⅡ哀・戦士編/特別版、チャプター「ジャブロー」

 「機動戦士ガンダムⅡ哀・戦士編/特別版」のDVDがあることは知っていましたが、あまり興味を持っていませんでした。元々の「哀・戦士」を楽しく見てきたし、ビデオにも録画してあるし。
 ところが、興味は無くともぽつぽつと情報は入ってきていて。

「お。これは是非一度見てみよう!」
 と思うようになりました。

 見てみようと思った理由は

・音響監督が鶴岡陽太氏で音を録り直している。
・しかも音楽の付け方が変わっているらしい。

 というものが大きいです。
 鶴岡さんの音響はものすごく好きなのですが、だからといって単なる「録り直し」だとしたら、「まぁいいや」となってスルーしていたと思います。
 ところが、「BGMの選曲が変わっている」というのには、「これは!?」と引っ掛かりました。
 過去の鶴岡さんのインタビュー記事などを読むと、音響監督の仕事に「BGMをつける」という作業があるとのことでしたから、この作品でもBGMの選曲は鶴岡さんが改めてしたのだと思ったのです。
 つまり、「鶴岡さんは、BGMの選曲を変えて何かをやろうとしたのでは?」と急激に気になっていったのです。

 で、レンタルビデオ店で借りてきたんですが。とりあえず「哀・戦士」しかなくって。他のは全部貸し出し中でした。

 これを全部見るのは長くって、そこまでの時間を取るのは難しかったので、とりあえずチャプター選択で「ジャブロー」からエンディングまでを見ることにしました。
 そう選択したのは、ジオンがジャブローを攻撃するシーンでかかる井上大輔の「哀・戦士」が流れない、という話を聞いて知っていたからです。
 オリジナル版では非常に盛り上がってくるシーンで印象も強いところですから、このチャプターを見れば、鶴岡さんがどういう意図でBGMをつけているかが良く分かるのでは、と思ったのです。

 本当は最初からきちんと見るべきなんでしょうけども。そこはとりあえず容赦してもらって、視聴してみました。

 当然、子供の頃から何度も見てきたオリジナル版の印象が強いから、違和感はあります。
 SEもBGMも違っているわけですから、そりゃもう仕方のないことです。
 でも、そういう違和感はもう承知の上ってことで、見進めていきます。

 すると、面白いことに気付いたんです。
 BGMが違っていると、「シーンの持っている意味」まで別のものに見えるんです。
 これは、驚きました。
 ジオンがジャブローを侵攻するシーン。
 オリジナルでは「哀・戦士」がかかって、わーっと攻め込んで行くクライマックス場面に見えます。
 ところがこの特別版ではほとんどBGMがなく、ものすごく淡々とした、かつ重厚なシーンになって、「何かが起こり始めている場面」に見えるんです。
 で、カツ、レツ、キッカの三人が爆弾を発見するシーンがあって、アムロ達が出撃するシーンがあって。
 こういったシーンでも、抑制して音楽をつけている印象がありました。じわじわと演出する感じ。
 そして、赤いモビルスーツ登場!
 となって、「あ!!そうか!!アムロとシャアが再び遭遇する場面をクライマックスにする演出だったのか!!」と分かったのです。
 ここの場面での音楽の付け方は二人のライバルとしての関係を際立たせるものになっていたと思います。見ていて、「おお!格好いい!!」と思いました。

 エンドロールで確認すると「音響監督・ミュージックエディター鶴岡陽太」となっていましたので、やはりBGMの付け替えは鶴岡さんがやった仕事でしょう。

 これは、面白い体験でした。
 脚本も作画も変わっていない同じ作品なのに、BGMの付け方でシーンの持つ意味合いの出し引きができる。演出効果をコントロールして、物語の持つ意味そのものまでコントロールすることができる。その事実を知って、映像作品の持つ奥の深さを改めて思い知らされました。
 過去に名作としてあったものですから、鶴岡さんは批判覚悟でやったんでしょうけど、僕は素晴らしい仕事だと思います。
 こうなってくると、オリジナルと特別版はまったく違う作品だと見ることができます。それをどう受け取っていくかは視聴者の好みになってくるわけですが、僕は特別版も非常に気に入りました。

 しかし。改めて、音響の仕事というのは面白いものですね。これほどまでに作品に影響を与えるものだとは。認識しているつもりでいても、実際目の当たりにすると本当にびっくりしてしまいます。
 同時に、こういうことは様々な仕事でもありうることなんではなかろうか、とも思います。

 例えば、漫画だと擬音の付け方や台詞のフォントによって演出効果を変えていくこともできるんでしょうし。コマのサイズや立て横の率や、いろんなことで演出効果を考えることができますね。
 そうなると、漫画も話を作る人と、演出する人、絵を描く人、と分かれるのもいいのかもしれないですね。
 僕はとりあえず「話を作る人」であることが割合として多いのですが、漫画の分業も進んでいて「話を作る人」「絵を描く人」という分担は普通にあるし増えてきているように思います。でも「演出する人」というところの分担は、今のところ確立されていないように思います。大概絵を描く人が分担する仕事になるでしょうけど。でも、ここに人を立てていくと…。これはこれでなんだか面白そうですね!
 ふーむ。
 思考が走り始めました。
 書きながら思考の渦にダイブしていくのは、また今度にして。
 ともかく。
 「機動戦士ガンダム/特別版」は面白さと学習機会を与えてくれる素晴らしい作品だと思います。
 鶴岡陽太ファンは必見…必聴です!!

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