遊び尽くした後に見せてくれるものは…「ぱにぽにだっしゅ！」第23話

　最終回に向けてのネタ仕込みの回だった今回。笑いつつも既に切なくなってしまいました…。
　そんな中で思ったのは、「遊ぶ」ということについて。

　それにしても…本当に終わっちゃうんですかねぇ…。
　これだけ「あと４回」とか振られると「ネタなんじゃないか？」とか勘繰ってしまうのですが。
　でも、大原省で大原さやかさんが「ぱにぽにだっしゅ！の最終回のアフレコで〜」と書かれていて、「あぁっ！！本当に終わるんだ！！」と素でショックを受けてしまいました。
　うぅ…いやだぁ。終わらないでくれぇ〜…。

　そんなしんみりした気持ちを持ちつつ、今回も楽しく視聴しました。

　話的には、今回は続き物展開のため「仕込み」の回だった印象が強く、珍しく動きは小さかったわけですが。どういう終わり方を見せてくれるのか、期待感が高まりました。

　話の動きが小さいことから小ネタ満載だったのですが、その様子は彼女達が学校でずっと遊んでいるように見えました。
　人形劇をして、他愛のない話を膨らませて、だれてる男子生徒をからかって、地球を救うために出動しようとして。
　また、大雪が降って学校に閉じ込められている様子も、どこか「放課後が終わらない」感じにも見え、「どこまでも遊び続ける」ぱにぽにらしさを見せてくれているようにも感じました。
　でも、最終回は確実にあるわけで、そのことを何度も何度もアピールすることで「遊びには終わりがある」ことが同時に示されていくわけですね。

　そのことで言うと、個人的になんだか「切ねぇなぁ」と思ったのが、ベッキーが鈴音達と人形劇ごっこを終えて別れる一枚絵でした。
　ベッキーが笑顔で手を振っている絵ですね。
　ベッキーが子供であることもあって、「遊ぶ」ということをすごく示している絵であったように思えて印象に残ったんです。
　手を振って別れているその絵自体に特に台詞はなくって、ベッキーのモノローグの説明絵なんですが、その状況でベッキーや鈴音の台詞を当てはめると、「またな！」「またね！」というような言葉になると思うんです。

　遊んでいる時は、必ずその遊びが終わりになるのは分かっているし、遊びは終わりにするんだけど、でも「また」があると思うからその場は別れられるし、その遊びは終わらせることができるんですよね。
　ぱにぽにだっしゅ！は毎回毎回、彼女達が無邪気に（あるいは有邪気に？）遊んでいる様子を芸にまで昇華した上で見せてくれていて、「また」があるから楽しく３０分見て、「来週も楽しみだ！」と思えていたんだな、と改めて思いました。

　その「また」が無くなる時に、「遊び」はどういう意味を持つのか、どう終わらせるべきなのか。
　また、ずっと遊び続ける姿を見ながら、僕は何を感じとってきたのだろうか。

　そんなことを、今回見て思いました。
　そう思っていると…。

「もしかして、ぱにぽにだっしゅ！は『ゴドー待ち』だったのか！？」

　などとも思ってみたりして。
　「ゴドー待ち」とは「ゴドーを待ちながら」という演劇の有名な演目のことで、役者がずっと遊びながらまだ会ったことのない「ゴドー」を待ち続けるという不条理劇のことです。
　演劇ではよくモチーフに使われるのですが、演劇に限らず、何かをしながら待ち続けるんだけど、その待っているものが来ない、そんな感じの物語を「この話は『ゴドー待ち』だよね」という風に言ったりすることがあります。（少なくとも僕は）

　「ぱにぽにだっしゅ！」を見て、見続けてきて、その無意味な程に繰り広げられる「遊び」の先に何があるのか。
　そんなテーマが今、僕の頭にあります。
　そこをどういう風に見せてくれるのか、シリーズ構成の金巻さんに対して期待するところでもあります。

　「ゴドーを待ちながら」が、不条理の中に虚無感や孤独感などを表現したものだとしたら、僕が「ぱにぽにだっしゅ！」に期待するのはそんなものではなく、言ってみれば「ゴドーを待った後に何が来るのか」をどう見せてくれるのか、です。

　何かを、見せてくれるような気がするんです。

　遊んで遊んで、「また」がもうなくなってしまうその時が来てしまうその時に。

　それは、「ゴドーを待ちながら」から約５０年経った今この時代に見せてくれる、大事なメッセージになる、そんなものではないだろうか、と思うんです。

　それが、どんなものか。
　今まで見続けてきて、なんとなく感じるものはあります。
　でも、それについて語るのは、最後の最後まで見てからにしたいと、そう思います。

　残りあと少し。
　終わってしまうことは寂しくて仕方ありませんが、この作品が何を与えてくれるのか、何を見せてくれるのか、本当に楽しみです！！