変化と立ち止まることと…「ARIA」第10話
いつにも増して素晴らしいレイアウトを見せてくれた今回。
雪虫達が飛び立つシーンの素晴らしい画面構成に酔いしれつつも、
「マンホームには既に温泉が存在していないようだけど。それは、僕らが暮らすこの地球にも迫りつつある現実だったりしてな。気がつくと本物の温泉がどんどん無くなっていたり、本物だと信じていたら実は違っていたりとか…。今回の話は実は社会問題を鋭くえぐる、そんなテーマが隠されていたのかもしれない…」
などと思ったり。
は、
しませんでしたけれども。
でも。どうなんだろう。温泉行ったりっていうことを普段してないから分からないけど。
やっぱり、本物の温泉って少なくなっていっちゃうのかなぁ。
未来の地球であるマンホームと、僕らの地球の未来を重ね合わせて思いを馳せてみると、考えさせられますよね。
今回は、「休む」ということが語られていたわけですが、物語自体の主題は「時の動き」というものだったかと思います。
季節が変わっていき、生活も変わっていく。慌しくなる中であえて休みを取ることで、変化を受け入れていくことができる。
ただ休むんじゃなくって、変化があるから、そこで立ち止まってみる必要性というものを見せてくれていたように感じました。
その変化の中で出会いがあり別れがある。それが雪虫をモチーフにして描写されていました。
で。
その「変化」ということが、考えさせられるわけですね。
物語の中で出てきた温泉宿は、和洋折衷な感じで、でも基本は日本の温泉宿を踏襲していましたね。
浴衣を着て、鍋や刺身などを豪勢に食べて、卓球をして。
それは、見ていると「うわっ温泉だよ!」と、そのいかにもな「温泉テイスト」にニヤニヤしてしまうわけですが。
でも、考えてみると。
あのアクアでの温泉の姿というのは、言ってみれば、マンホームから失われた温泉を模したもの、なわけですよね。
これは、けっこうブラックだと思うんですよ。
ブラックというか。んー。やっぱり、考えさせられる、っていうそんな感じ。
想像の羽をはばたかせてみると。
・マンホームから温泉が失われた。
・アクアで温泉が沸いた。
・マンホームの温泉を再現しようとした。
・「失われた文化」であった温泉が復活した。
・マンホームの文化、温泉の雰囲気、伝統を味わえることをお客は喜んだ。
という流れがあるかな、と思うんです。
アクアで温泉が沸いた時に、アクアオリジナルの温泉文化を築くのではなく、失われたものを懐かしむように再現しようとしているところに、すごくこう…なんというか、切ないものを感じるんですね。
三人娘が腰に手を当ててコーヒー牛乳を飲むシーンで、アリスが「正しい作法です」と表現していたけど、それはその時は「ネタ」として聞いたんですが、そうじゃないのかもしれないよな、と後で改めて思いました。
「失われた文化」だからこそ、作法だとかそういった形だけは伝達していく。そういうことかもしれないよなぁ、って。
そうやって考えると。
今回のお話で語られた「時の動き」というものと「休む」ということを、「温泉」という存在そのものが表現している部分があったのかもしれません。
温泉がかつて失われたということが「時の動き」で。
失われた温泉の姿を再現することが「休み」ということ、つまり「止まる」ということ。時の動きを止めて、変化しないということですね。
時が動いていって冬仕度をしていく中で、動きを止めるようにして、かつて失われた温泉が再現された場所で休む。
それによって、変化を受け入れて先に進むことができるようになる。
そういうモチーフだったと見ることができるかもしれません。
なるほど。
そうやって考えると、かつて失われた文化である温泉を再現することは、後ろ向きなことというわけではないんですね。そこに、「失われたものを渇望して、時の流れを受け入れられない人々の苦しい思い」があるような気がして、「ブラック」な感じや「切ない」感じを受けたりしたのですが。時は必ず変化していくからこそ、立ち止まることも欲求として必ず出てくる、ということなんでしょうね。
ふむ。
そうか。
ということは、いつか本当に僕らの世界から温泉が失われたとしても、それを再現して懐かしんでも、それはそれで心の健康を保つことになるのかもしれませんよね。
重要なのは、水道水で薄めているとかそういうことじゃなくって、そこにいくと「時が止まる」ということなのかもしれません。(いや。別に皮肉でなく)
時は必ず前に向かって進んでいくから、たまには意識して後ろを向くのも、いいのかもしれませんね。
視聴者の代理的存在であるアイちゃんが、僕らを代表して「冬のネオ・ヴェネツィアに行ってみたい」と言うわけですが、そう思っていいんでしょうね。
たまには、現実逃避もして。
立ち止まってみる。
そして、現実にまた向き合っていける。
休むっていうのは、そういうものなのかもしれないですね。
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そのほかほかな休日は・・・
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冬の風物詩の一つ、雪虫と出会った灯里は束の間の時を共有する・・・。
寒き冬の暖....... [続きを読む]
受信: 2005年12月 8日 (木) 15:34
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前回に引き続き、観光編其の弐、温泉編。
怪しいユキムシ・ネオヴェネツィアverも登場。
・・・・・いや、昆虫だから。そんなにロマンチックでもないから。 [続きを読む]
受信: 2005年12月 8日 (木) 16:05
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今週は温泉の回〜
ネコ耳のついたキャップ良いな。
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ケセランパセランかと思ったっ。
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で、温泉へ。
なんでバ [続きを読む]
受信: 2005年12月 8日 (木) 16:17
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= 今回は非の打ち所の無い完璧な出来。 =
'''マジで癒された〜。'''
ネオヴェネチアも寒〜い冬の到来。
ウンディーネにはちょっとキツイ季節となった訳だ。
アリアカンパニーでも冬支度!
暖炉を使うのでアリシアさんと薪拾いへGO!(薪を買うのでなく拾うのがまた素敵だな〜)
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一見、真っ黒くろすけならぬ真っ白しろすけっぽいんですが、AQUAの世界ではこれまた神秘的に感じるのが天野こずえワー..... [続きを読む]
受信: 2005年12月 8日 (木) 16:27
» ARIA The ANIMATION [ゼロから]
今回の癒しのアイテムは雪虫でした。豪邸の温泉と雪虫。こころまで温まりそうなストーリーでした。 [続きを読む]
受信: 2005年12月 8日 (木) 20:25
» ARIA THE ANIMATION・第10話「その ほかほかな休日は…」を見て [サトシアキラの湾岸爆走日記(自転車でね♪)改]
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いろいろ言いながら書いてしまおうかなと…。あと4話なのに。(>__ [続きを読む]
受信: 2005年12月 9日 (金) 01:15
» ARIA The ANIMATION 第10話 「その ほかほかな休日は…」 [吠刀光 【遊撃】]
その 蒼い瞳に映るのは・・・
続き→ [続きを読む]
受信: 2005年12月 9日 (金) 04:38
» ARIA The ANIMATION 第10話 [パズライズ日記]
アクアも本格的に冬に突入して、皆で温泉に行く話。
建物を上手に利用したあの温泉は素敵でしたね〜。
あんなところがあったら、一度行ってみたいですよ。
灯里は冬が苦手らしいです。
アクアは火星だから確かに寒そうですが、地球のどのあたりの気候になっているんで....... [続きを読む]
受信: 2005年12月 9日 (金) 06:02
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今週も『ARIATHEANIMATION』の感想を。。。この素晴らしき癒しパワーを伝えなきゃ〜!!今週は温泉に行くお話し。。。ARIAの癒しパワーに温泉の癒しパワーが加わってでっかいまったりな30分でした。。。アクアの暖房器具は暖炉なんですねぇ〜(アリアカンパニーだけかな?)い...... [続きを読む]
受信: 2005年12月 9日 (金) 09:09
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[続きを読む]
受信: 2005年12月 9日 (金) 10:19
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受信: 2005年12月 9日 (金) 10:54
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「アムロ、行キマース!」
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... [続きを読む]
受信: 2005年12月 9日 (金) 15:45
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のんびり温泉行きたいなぁ…。
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その時は友達大勢で行ったんですが、
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受信: 2005年12月 9日 (金) 17:07
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受信: 2005年12月 9日 (金) 20:52
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受信: 2005年12月10日 (土) 02:09
» ARIA The ANIMATION第10話『ヴェネツィア温泉事件簿(殺人はないョ)』 [いまはむかしな物語Voyager]
ども!ハイテンションでARIAを見るヤツ、Rio121ですw
多分今見てるアニメの中で、ARIAを見てるときが一番テンションは高いです(笑)
正直今イチバン楽しみにしてるアニメはARIAです!
ちゅーか今イチバン繰り返し見てるアニメはARIAです!
っ...... [続きを読む]
受信: 2005年12月10日 (土) 07:57
» ARIA The ANIMATION 第10話「その ほかほかな休日は・・・」 [我流黙示録β]
風呂上りの牛乳は基本でしょ!
なんだかとっても温泉に行きたくなるような話でした
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受信: 2005年12月10日 (土) 20:18
» (アニメ感想) ARIA The ANIMATION 第10話 「その ほかほかな休日は・・・」 [ゲームやアニメについてぼそぼそと語る人]
このアニメが1クールで終わることを最近知ってがっかりしているのですが今回で10話・・・って事は後3回しかないじゃないですか〜!!まだまだ、この癒しに浸っていたい、癒され足りないって思っているのは私だけではないはず・・・。正直地獄少女が2クールが信じられないで....... [続きを読む]
受信: 2005年12月11日 (日) 07:57
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