「ARIA THE NATURAL」第2話を観た。
「ARIA THE NATURAL」第2話を楽しく視聴しました。
「GOAL」の演出はなかなかに心憎いものがありましたね。感動してしまいました。
そのメッセージも分かりやすく、しかもきちんと心に届けるものになっていたと思います。
では感想を。できるだけ要点を絞って、長文になりすぎないように…。
まず、驚いたのがアイちゃんが冒頭からメールの返信をしてきたことでした。
これは前期とは違う点ですね。
ラストのアイちゃんの返信といい、彼女の灯里に対する態度に違いが出てきているように思います。より近づいている感じですよね。
「ああ。こういう風に表現していくんだ」と、最初のアイちゃんの返信を聞いて思いました。
アイちゃんが「わくわくしてきちゃう」というようなことを言っていましたが、その言葉を冒頭で聞くことで、僕ら視聴者も灯里達やアイちゃんと同じように、そういう気持ちで見ることが「自然と」できるわけですね。
そして宝探しが始まりますが、そこで絡んでくるサンマルコ広場のカフェ。
ここで「達人」という言葉が出てきて、これが今回の話のキーワードになります。
この店長の絡め方は素晴らしかったですね。
サンマルコ広場のエピソードは原作でもかなり好きなんですが、地味なエピソードなためアニメでは無理だろうなと思っていました。でも、とても面白い良い使い方をしてくれてすごく嬉しかったです。
宝物はネオ・ヴェネツィアそのもので、その宝物をくれたのは「ネオ・ヴェネツィアの達人さん」という、目に見えない存在。
だけど、先にサンマルコ広場の達人が姿を持って現れているから、「誰かが、宝箱を仕組んだ」感じ、「ネオ・ヴェネツィアの達人さん」がいるんだ(もしくは「いたんだ」)という実感が持てるのだと思います。
店長と「ネオ・ヴェネツィアの達人さん」はイコールではないけど、同じようなニュアンスでその存在を受け取ることができます。
それが、「毎日だと飽きませんか?」「私はサンマルコ広場の達人ですから」という会話の件ですね。
そこは、ネオ・ヴェネツィアの達人も同じなわけですね。
毎日暮らしている場所で、普段アリスが散歩する道だったり藍華が通る道だったりする、いつもそこにある見慣れた場所なんだけど、そこは「達人」になれば宝物になる。
サンマルコ広場の達人とネオ・ヴェネツィアの達人は、別人であるかもしれないけど、同じことをしているから、その部分イコールで結べることができて、それをああいう登場の仕方で示したのだと思います。
そして、その部分を象徴していたのがアリア社長の途中からの衣装と風船ですね。
マジシャンによって変えられてしまったその衣装は帽子と蝶ネクタイ。
それは、その直後に訪れたカフェの店長、サンマルコ広場の達人と同じ格好なわけです。
サンマルコ広場の達人をネオ・ヴェネツィアの達人と重ね合わせると、アリア社長はあの時点から「ネオ・ヴェネツィアの達人の代理」になったと見ることができます。
そして、ふわふわと漂い、自らはその進行方向を定められない風船はウンディーネの衣装をまとっている。風船は宝探しをする灯里たちということですね。
その風船を持って達人代理のアリア社長は灯里達と一緒に宝探しをして、彼女達が最後の答えに詰まった時に、彼女達を案内します。
アリア社長が導いた先には、ネオ・ヴェネツィアの達人が用意した宝があるわけですね。
そこに舞う花びらは、彼女達が練習している時にも舞っていた花びらで。彼女達が見つけた宝物はすぐ近くにあったことが表現されます。
遠くから映る「GOAL」の文字は、どこからでも見えるような街の中の当たり前の光景として示されます。
でも、だからこそ、それを探し求めて得たことに意味があるということなのでしょう。あの遠景の「GOAL」の文字が映った時に思わず涙が滲みました。
ただ単に、灯里達がそれを勝手に探し求めたのではなく、誰かがそれを教えようとした、ということに胸を打たれる部分があったのだと思います。
そして、それをカフェの店長やアリア社長の衣装によって、その誰かの気持ちをそっと付き添わせてくるところに、素直な感動を受け取ることができたのかもしれません。
素晴らしい構成、演出でした。
そうそう。素晴らしい演出ってことでいうと。宝物を見つける直前、3人が手を繋ぐところもすごく良かったですよね。あそこもかなりぐっときました。
ああやって彼女達のように宝探しをしてきた人達も、きっと彼女達と同じように友人や家族、恋人などと一緒に街中を歩き回ったのだろうな、ということを感じさせてくれました。
そのことも含めて、灯里は「幸せの達人」の称号を得ることができたのでしょうね。
とても良いお話でした。
アイちゃんの最後のメールの返信、「私も何かの達人になれるかなぁ」というのも、前向きで良いですよね。そういう視点で、今ある日常の中で何かを探してみる、というのはとても良いことだと思えるし、してみたくなります。
そして、あれですね。
達人はその楽しみを独り占めしないというのが大事かもしれませんよね。
灯里もアイちゃんに伝えようとするわけですが、人に伝えようとすることが達人の大切な条件なのかもしれませんね。
そうやって見ると、灯里がみんなにキャンディーを分けるところは、とても意味のある行動だったと見ることができますよね。友人達にも、上司(?)である社長にも、初対面の紳士にも公平にキャンディーを与える灯里は、幸せの達人になる素質を始めから持っていたのかもしれません。
それにしても、いきなりの和田高明スペシャルでしたね!いきなり鳥の大群でとても和田氏らしかったですね。カフェでのアリア社長の動きとか凄まじかったですね…。たまりません♪
あと、絵コンテも担当していましたが、花びらの見せ方と一緒で鳥の見せ方にも意図を持たせていて素晴らしかったですね。
灯里達がサンマルコ広場に戻って来た時に、鳥達が映って、その奥におそらくは序盤に出てきたのと同じ鳥の群れが見えるんですよね。そこでも「いつもの光景」というものを表現していたのだと思います。
同じ花びらが舞う場所、同じ鳥達が飛ぶ場所。
だけど、そこにある出会いによって、それが宝物になる。
街の持つ距離感を感じさせてくれて、なおかつ飛び立った鳥の群れが戻って来ることで時間の経過も、やはりここでも「自然と」感じさせてくれて、とても素晴らしいコンテワーク、演出だったと思います。
脚本の藤咲あゆな氏の構成も絶妙で、感動と同じにとにかく唸らされる30分でした。
次回も楽しみです!!
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コメント
こんにちわ。初めまして。
>アリア社長が導いた先
という文章を読んだとき、「ああ、そうか」と思いました。
アリシアさんたち三人も灯里たちと同じように、宝物探検をしたんでしょうねぇ。もちろんアリア社長も一緒に。キョンではないが、それはそれで見てみたい。
あとネオ・ヴェネチアの達人さんはあの宝物でも、特に桜の花びらが舞う時期がお気に入りだったのと思います。
影追いは季節によって回数が変わる(原作)、四個目の箱が四回目の影追いで見つけやすくなるのは、達人ならではの遊び心なのかなと。
投稿: led | 2006年4月19日 (水) 18:24
ledさん、こんにちは。はじめまして。コメントありがとうございます!
> アリシアさんたち三人も灯里たちと同じように、宝物探検をしたんでしょうねぇ。もちろんアリア社長も一緒に。
あ。なるほど!「アリア社長が導いた先」と自分で書いておきながら全然そんな風に考えていませんでした。
アリシア達の宝探し、見てみたいですね。皆シングルの頃とかで…とか、想像しちゃいますね。
アリア社長はなんだか長寿っぽいので、もしかするとグランマとも宝探ししてたりするのかも。
ネオ・ヴェネツィアの達人が桜の花が舞う時期を見せようしているというのも、なるほど!と思いました。
影追いの回数と箱の順番が一緒というのは、すごいですね。そこまで仕組むなんて、本当の本当に宝探しですね。
視聴した後に、場面の意味をこうやって視聴した者同士で見つけていくのも楽しいですね。
これも宝探しなのかもしれないですね。
投稿: だんち | 2006年4月20日 (木) 00:30