「うる星やつら2~ビューティフル・ドリーマー~」を「涼宮ハルヒの憂鬱」が好きな人に見て欲しい。
1984年公開の「ビューティフル・ドリーマー」ですが、今30代中盤の僕らの世代は、ほぼ例外なくこの作品を通ってきたように思います。公開当時中高生だった僕らはものすごい衝撃を受けたものでした。
「ガンダム世代」と呼ばれる僕らの世代は、「ガンダム」に並んで「カリオストロの城」や「ビューティフル・ドリーマー」にも大きな影響を受けて育ってきました。
「涼宮ハルヒの憂鬱」の原作者、谷川流氏もまさにこの世代ですので、やはり影響を受けてきていたのではないでしょうか。その辺り、氏の発言など全くチェックしていないので、憶測でしかないことではありますけれども。
ただ、その作家の思春期にどのような作品があったのかを知り、ルーツを辿ることは、作品をより愛する一助になりうるものだと思います。
そういった意味で、相似点があるように思える「ビューティフル・ドリーマー」を視聴することは、「涼宮ハルヒの憂鬱」をより興味深く楽しむことになるかもしれません。
作品内容の相似点に関しては、挙げてしまうと「ビューティフル・ドリーマー」の方のネタばれになってしまうので避けますが、表現手法についての相似点に関して一点挙げてみたいと思います。
それは「ヒロインの視点を絶対に見せない」という手法です。
二つの作品は、ヒロインの行動、思考に関して、周囲のキャラクターの目線によってのみ、視聴するこちらに情報を与えてきます。
ヒロインに関する情報が極端に制限されることで、逆に見ていて分からない点、謎の部分が多く与えられます。
そしてまた、ヒロインと主人公の関係性が、情報が制限されることによって浮き彫りになっていく、という点も特徴的です。
関係性を明示するのではなく、浮き彫りにする、というのは創造性に溢れていて、とても粋です。
普段生活していても、人の心を知ることは、その人の行動を見ることによってなされます。これらの物語を見る上でも、そういった注意深さが求められるでしょう。
しかし、普段の生活と違うのは、物語を楽しむ上での情報は必要に応じて与えられていく点です。
物語の順番を入れ替えて放送している「涼宮ハルヒの憂鬱」も、情報の与え方に関しては順を追っていると思えるわけです。
ヒロインの視点を見せず、ヒロインの心の動きを隠すことで、見ているこちらは「彼女が何を考えているのか知りたい」と求めるようになります。それは同時に、主人公(あるいは自分)が「彼女」のことをどう思っているのか知りたい、ということにも繋がっていき、まさに「恋をしている」心境を体験させてくれるものになっていきます。
謎を追い、疑問を追っていくうちに、恋を経験する。
これらの作品はそういった共通点も持っているのだと思います。
まぁ、何はともあれ、そういった小理屈はともかく、良い作品なので、未見の方は是非「ビューティフル・ドリーマー」をご覧あれ!
そういえば。蛇足ですけれども。
いとうのいぢさんがご自身のブログでキョンのモノローグのことを「某メガネのよう」と書かれていましたが、確かにあの言葉多めで本心を包み隠そうとするモノローグはあたるっていうよりはメガネですよね。
そのうちキョンも何かが弾けて変な演説とか始めて欲しいなぁ。…って、そりゃ無理か。
ではでは、今回はこの辺で。またです!
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コメント
キョン「あ~選ばれし者の恍惚と不安ともに我にあり!世界の未来が偏に我々の双肩にかかってあることを認識する時、目眩にも似た感動を禁じ得ない!」
~涼宮全史第一巻「憂鬱を越えて」序説第三章より抜粋
…とかっすか?(笑)
投稿: てりぃ | 2006年5月 8日 (月) 21:06
あはははは!!(笑)上手い!!!さすが同世代(たぶん)!!
それをまさにキョンに言って欲しい!!!
実際その通りなのが可笑しいですよね。<世界の未来が偏に我々の双肩にかかってあることを
そりゃ目眩も起こすだろうって。
つかあんた暗記してるのか!!!(笑)
投稿: だんち | 2006年5月 9日 (火) 05:20
同世代です。
>そりゃ目眩も起こすだろうって。
日射病ですか?(笑)
投稿: ゆん | 2006年5月 9日 (火) 10:15
ゆんさん。いらっしゃいませ同年代さん♪
「だから帽子を被るように言ったんです」とか古泉に突っ込まれそうですね^^<日射病
きっと最終回は文化祭前日なんですよ(笑)
投稿: だんち | 2006年5月 9日 (火) 22:08
ああ、言われてみればビューティフルドリーマーの「本歌取り」と思えなくもないエピソードが原作にありましたです、はい。
ひじょーに残念ながら今回のアニメ化では採られませんでしたが…。
「カリオストロ」と「B.D.」。それぞれ宮崎さんと押井さんが
原作の設定を下敷きに全く独自の世界を構築してみせた、今や“古典的名作”ですね。この二作品にライブで巡り会えたのは幸せな原体験でした。
投稿: Iuth | 2006年6月21日 (水) 20:23
Iuthさん。おはようございます。こちらにもコメントありがとうございます^^
「カリオストロの城」も「ビューティフルドリーマー」も、共にいまだ色あせない名作ですよね。
ハルヒに関しては、原作を一行たりとも読んでいないのに、同年代であることと、アニメから感じ取る部分とで、原作者氏に対して勝手に共感を抱いております。
僕らが感じたような幸せな原体験を、今の若い人達にも沢山してもらえるように、多くのクリエイターの人達にいい作品をいっぱい作って欲しいですよね^^
投稿: だんち | 2006年6月22日 (木) 05:25
ビューティフル・ドリーマー/スリーピング・ビューティー
同じ響きがありますね。
うる星やつらで衝撃を受けたのが最初でしたが、ハルヒは現代版ともいえますね。
作者の(又は京アニ?)確信犯を発見しました。アニメ版「ライブアライブ」に、一瞬だけ「純喫茶 第三帝国」という看板がどこかのクラスの出し物なのか、背景に映ります。
某メガネのようなモノローグも全開でしたね(・∀・)
投稿: またろー | 2007年1月11日 (木) 02:49
またろーさん。こんばんは、初めまして^^
>ビューティフル・ドリーマー/スリーピング・ビューティー
>同じ響きがありますね。
両方とも、「目を閉じている」というところが、共通した物語としてのテーマなのかもしれませんね。
ヒロインの閉じた瞳を開かせる、というところに普遍的なドラマを感じますよね。
>一瞬だけ「純喫茶 第三帝国」という看板が
ありましたねー。僕はこの記事にトラックバックをいただいた「第弐齋藤 土踏まず日記」さんの記事を読んで知りました。
嬉しくなるお遊びですよね^^
やはり、多くのクリエイターに多大な影響を与えた作品なんですよね。ビューティフルドリーマー。
立ち位置的には古泉がメガネなのかもしれないですよね。古泉の頭の中では実は膨大なモノローグが展開されていたりして^^
投稿: だんち | 2007年1月13日 (土) 22:34