「涼宮ハルヒの憂鬱」第6話を見た。
おはようございます。だんちです。「吉永さん家のガーゴイル」と「Strawberry Panic」を見てからこの記事を書いています。火曜日は毎週徹夜でございます。
さて、先程TVKにて「涼宮ハルヒの憂鬱」第6話を視聴しましたので、その感想を書きたいと思います。
今回見ていて、改めてハルヒが何を求めていて、何に苦しんできていたのかがまた少し感じられました。
「世界を大いに盛り上げる涼宮ハルヒの団」だから「SOS団」ということなわけですが、そこには本来の意味での「SOS」ということも、やはりあるのでしょうね。
今回、SOS団の夏合宿ということでとても楽しい話でした。
隔絶された孤島の館で行われていることと言えば、美味しいご飯を食べて、海水浴をして、麻雀をしてビリヤードをして、王様ゲームをして、枕投げをして。
最後にちょこっと殺人事件らしきことも起こるけれども、これはハルヒが最初から望んでいたことのように見えつつも、実はちょっとしたおまけみたいなものなのでしょうね。
ハルヒが望んでいることを実現していく能力を持った少女であることが提示され、それにより「キョンとの関係が深くなることを望めない」少女らしい弱さを前回見せてくれました。
今回は、それよりもずっと後の話のようですが、かの少女はやはりキョンとの関係についてはまだまだ勇気を持ち切れてはいないようですね。
でも、彼女は一つの望みを実現させているように思います。
それは、「仲間と楽しく夏休みを遊んで過ごす」ということ。
時系列を飛ばしていることで、彼らの間に何があったのかは分かりませんが、ハルヒを監視観察するために送り込まれたというみくる、有希、古泉らと、ハルヒ、キョン達の間には、そういったドライな緊張感ではなく、友情や仲間意識が感じられるように思います。
古泉が言った「かけがえのない友人の方達」という言葉が、あまりにも大袈裟だったため、何かが起こってそれに立ち向かった際に、それぞれの心の中に何らかの協調性や共感、友情が生まれたのではないか、と思えたんですね。
時系列を先に飛ばしたことで、彼らは目的や任務のためだけでなく、友人としてハルヒの傍にいるのだということが、感じ取ることができました。
つまり、それが「ハルヒが望んだことの結果」ということなのだと思います。
そりゃ、不思議なことは起こって欲しいし、それを解決して名探偵になりたいとも思うでしょう。
でもそれは子供じみたヒーロー(あるいはヒロイン)願望であって、表面的な願望なのだと思います。
思春期の少女として彼女が本当に望んでいることは、「友達や気になる男の子と楽しく過ごしたい」ということなのでしょうね。
その「望んだことの結果」を見て改めて思うのは、「望む前」の状況です。
変人として見られ、クラスで話しかけてくる者はいない。
理解してくれる人はいない。
自分をちゃんと見て、ちゃんと向き合ってくれる人はいない。
一言でまとめてしまうと「孤独」だったということが言えるのだと思います。
それは、おそらくは「3年前」のことが原因で、ハルヒは現実逃避をして孤独の闇に閉じこもっていたのではないでしょうか。
そんなハルヒに対して声をかけ、彼女を孤独の闇の中から「見つけた」 のがキョン。きっかけはハルヒの髪型のこと。彼は彼女が発する「SOS」に気づいたわけですね。
キョンがハルヒを見つけたことで、彼女は髪を切り、SOS団を始めた。
そこから彼女はやっと孤独を抜け出し、青春を得ることに向き合えて、少し勇気を持つことができたのではないだろうか、と思います。
突飛で自分勝手で不可思議な能力を備えた物語のヒロイン、涼宮ハルヒですが。
彼女の実像は、10代で思春期の少女そのものなのではないか、と改めて思います。
孤独の苦しみがハルヒの出発点だったとしたならば、今回のお話は彼女が得たものの一つの結果であると思うわけです。
孤独は嫌だ。望む。行動する。そして得る。
彼女が傷つきながらも、もがいて得たものが、ああやって示されたことは、僕にとってはとても感動的でした。
描かれていることは、ただただ「楽しい夏休み」でしかないわけですが。それを望んで行動して手に入れているところに、共感や感動を覚えます。
そしてまた、そのハルヒが手に入れた結果から、ハルヒのSOSに応えそもそものきっかけを与えたキョンが、いかにハルヒの心の支えになっているかも窺えるのでしょうね。
この物語は、
孤独な少女が、一人の少年の存在をきっかけに、勇気を持って生きるようになり。
そのきっかけを支えに、勇気を持って行動したり努力をしたりして、かけがえのないものを一つ一つ得ていく。
そういう思春期の少女の物語であるのかもしれません。
こうやって書いていたら、オープニングの冒頭のシーンが目に浮かびました。
一人夜空を見上げるハルヒ。
そこに差し伸べられる手。
その手を喜びと共に握るハルヒ。
原作未読の僕にはあのシーンが具体的にどういった場面なのかは分かりません。でも、今回気づいた「孤独とそこからの脱却」を象徴しているのではないか、と改めて思いました。
孤独から脱却するきっかけを与えて手を差し伸べたのがキョンであるとして、ハルヒはそれを信じて握り返した。
その一つの結果が、今回の「楽しい夏休み」なのだと思うのです。
そう考えると、「殺人事件」が最後にちょこっとおまけのように出てくることは、本当におまけのようなもので、気にすることは無いのだと思えます。解決編があるかどうかも分かりませんが、おそらく必要ないでしょう。
今回、僕ら視聴者に与えられた情報は、あの楽しい姿がハルヒが望んだことの一つの結果。そこにはつまり、それを望むだけの孤独があった。ということなのだと思います。
そうそう。館の主人にハルヒが挨拶をするところで、ハルヒは驚く程常識的な挨拶をしましたが。ああいったところに彼女の孤独の片鱗を見る思いがしました。「本来は常識的で頭も良く、人に対して気配りできる」そういった子であるのかもしれないなぁとちょっと思ったんですね。それが彼女を孤独へと落ち込ませてしまったのかもしれない、と。この辺りも与えられた情報の一つということかもしれませんね。
ハルヒのあの感じに、僕はものすごく感情移入しています。
常識や良識のように見えて実は「臆病の殻」で自分を包んで人に対して壁を作り、孤独を感じていたことは、あったように思います。
それを打ち破ろうと必死になって、友人と楽しい時間を過ごすことを本当に幸せに思うことも、やはりあったと思います。
思春期の頃であれ、今であれ。
人それぞれですので分かりませんが、そういう感じはおそらく多くの人にもあるのではないでしょうか。
自分自身のSOSが人に伝わって手を差し伸べてもらえることは、とても嬉しいことですし、人のSOSを感じることがあれば、やはりできる限り手を差し伸べたい。
今後の展開で、おそらくハルヒの心からのSOSが明らかになっていくのだろうと思います。
それに対して、キョンや、ハルヒのかけがえのない友人となったみくる、有希、古泉達がどのように応えていくのか。
一緒になってハルヒを救うような気持ちになって、見ていきたいと思います。
思い入れたっぷりに、またもや長々と語ってしまいました。読んで下さってありがとうございます。
以上で「涼宮ハルヒの憂鬱第6話」の感想を終わります。
それでは、またです!
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コメント
ども~今週もお疲れさまでした~。
「SOS」についての考察、またしてもやられたって感じですよ。いやー、これも気になってはいたんですよねー(←知ってたモン!と事後に雄叫ぶ小学生の図)。
「いい子ハルヒ」については、なるほどなぁ~と唸る一方で、この先にどこまで映像として描かれるのか興味津々というところです。私も原作は一冊目だけナンで本当のところはわからないんですけども、未読の方でここまで斬り込まれた方はなかなかいないんじゃないでしょうか?
既にヘロヘロの今週ですが、頑張って週末に辿り着きましょうね。あっ!時空を越えたところにコメントがっ!しかも、時空越えレベル2?!…すいません、こちらは後でレスします。orz ではまた!
投稿: てりぃ | 2006年5月 9日 (火) 06:24
以前、フルメタTSRの時にお邪魔させていたものです。
てりぃさんとだんちさんが自分の中でTSRレビューのダブルエース!と告白してたかもしれません(笑
ハルヒは原作を5巻まで読んで、このさき読み終えるのが寂しくて小休止してる意気地無しなんですが、だんちさんのハルヒに対する温かい眼差しと優しさに目頭が熱くなってしまいました。当のハルヒがだんちさんの考察を読んだら、まず間違いなく速効で否定するでしょうが(何しろツンデレどころかツンツンツンツンデレツンツンツンですから笑)きっと心の深奥には届くんじゃないかなあと思います。あぁ・・何か恥ずかしいセリフ禁止!って言葉が飛んできそうですが。
投稿: とーや改め八雲 | 2006年5月 9日 (火) 19:52
今回はすっかり長門かわええの~モードでした。はい。。
本来の意味でのSOSというのは、まったく考えてなかったですね。それから考えると「世界の中心で、○○を叫んだ(求めた)、涼宮ハルヒ」って感じでしょうか。
メッセでチャット中に
「キョンが異世界人属性なんだろうけど、なんか裏設定あんのかね。まぁあの状況に適応してる時点で一般人じゃねぇけど」
と言ったところ、
「違う違う、女の子が好きになった人が、他の人と同じなわけないやん。好きになった時点で世界中の他の人とは異なる特別な人なんよ。兄は女の子ってもんを分かってないなぁ」
てな会話があり、全く反論できませんでしたorz
さすがショートが好みと言われた翌日に、腰まであった髪をばっさり切っただけはある。。
投稿: led | 2006年5月 9日 (火) 20:03
>てりぃさん
今週もお疲れ様です!!(⌒▽⌒)
SOSについての考察は、知人の女性と話していたこともヒントになって考えがまとまっていきました。その人はハルヒのことを「王子様の目覚めのキスを待っているお姫様。だけど目覚めてしまうと世界も自分も変わってしまうから怖くて揺れ動いている」と言ってて。その辺りやはり女性はさすがです。
「いい子ハルヒ」については、なんというかそっちが本当は正体なんじゃないのかなぁと思ったりもしています。ああいう感じに、自分も身に覚えがあるからそう思うだけかもしれませんけれども。
こうやって未読であることをいいことに好き勝手斬り込んでいますが。全然違うところを斬っているのかもしれないよなぁとも思っております^^;
徹夜で毎回盛り上がっておるわけですが、お互いそれなりの歳ですし、無理をして倒れるまで頑張りましょうね!嘘です(笑)
無理をしないで作品を楽しんで、いっぱい感想を書いていきたいですね!
>とーや改め八雲さん
お久しぶりです!コメントありがとうございます。ダブルエースとのありがたい評価をいただいたこと覚えております。一緒に盛り上がっているてりぃさんの記事共々楽しく読んでいただけていることが本当に嬉しいです。
(ダブルエースとか双璧とか、そんな感じのことを言っていただいて、「おお!じゃあ俺はロイエンタールかミッターマイヤーか!」などと素直に浮かれておりました^^;)
ハルヒの記事も読んでいただきありがとうございます。
目頭が熱くなりましたか!!おぉ~…。原作を読んでいる方にそう言っていただけるととても嬉しいです。
当のハルヒに否定されるところ、聞いてみたいですね(笑)台詞を勝手に作って脳内で平野綾さんの声に変換してしまいそうです^^
でも、彼女の心の深奥には既にキョンがいるから、僕の言葉が届くことはないんですよ。
…と恥ずかしい台詞風に♪
またの恥ずかしい台詞をお待ちしております^^
>ledさん
てりぃさんへのレスでも書きましたが、知人女性と感想を話していたことがヒントになって本来の意味のSOSのことを考えました。
メッセで話された女性は以前話題にされていた従姉妹さん?
やはり女性はハルヒの気持ちを敏感に見抜きますよね。
その方が言われていることは、ハルヒという女の子を的確に表しているんでしょうね。いやいや、すごい名言だと思いますよ!
まぁそんなハルヒの気持ちをどれだけ分かっているのか分かっていないのか、みくるのビーチボールにうひょーってなっているキョンは、まさに我ら男性視聴者の代表って感じですね^^
そして僕らは有希にも目移りするし(笑)
私服姿むちゃくちゃ可愛かったですね!
…って、これがダメなんだよきっと(笑)
投稿: だんち | 2006年5月 9日 (火) 23:38
いつも楽しく読ませていただいてます。
僕も原作未読なんですが、今までのところアニメの変則的な構成には特に不満や違和感はなかったんですよ。ところが、今回は終わった後でさすがに首を捻ってしまいました。
「この終わり方で続けて後編やらないのは、いくらなんでもちょっと…」って。
でも、だんちさんの考察を読んで、自分なりに「ああ、なるほど」と思うことができました。
ようするにハルヒって、一見エキセントリックなようだけど、実際はごく普通のまともな女の子なんですね。確かに、別荘の主人への挨拶なんかを見てたら、ちゃんと常識をわきまえているようで、いくら名探偵になりたいからって、本気で人が死ぬことまで願うような子じゃないと思えます。
だから、おっしゃる通り、殺人事件はただのオマケであって、本当はハルヒは「ただ、夏合宿を仲間と楽しく過ごしたい」って、そんな当たり前のことを願っているだけだったんでしょう。そう考えると、前編の後にすぐに後編を持ってこない構成も納得がいきます。
少なくとも今のところ、ハルヒがそんな「普通の子」であることを、視聴者にわからせる流れにはなっていませんし、その辺りを他のエピソードでちゃんと描いてから後編、つまり、「ハルヒはただみんなと騒ぎたかっただけ」っていうのを描くんじゃないかと(だんちさんは解決編は必要ないとのことですが、僕は仲間と楽しんで満足して学校生活に戻るハルヒが描かれる(?)後編、ぜひ見てみたいです)。
「変人に見えて実は普通の女の子」が一番に願っていること、求めていることというのは、実はいたってささやかでありふれたものなんじゃないでしょうか。
だからこそ、それを与えられるのは、宇宙人の有希でも、未来人のみくるでも、超能力者の一樹でもなく、ただの普通人であるキョンなのではないでしょうか? キョンがハルヒに選ばれた理由はそこにこそあるように思えます。
それでは。
投稿: memento | 2006年5月10日 (水) 00:08
mementoさん。こんにちは。はじめまして。いつも読んでいただいて、またコメントを下さってありがとうございます!
僕が書いた感想が少しでもお役に立てたのでしたら嬉しいです^^
彼女が望んだことは、目の前で僕らが見ていること、として見てみると、彼女がいかに普通の女の子であるのかが分かるのだと思います。
だから、僕は既にハルヒがその内面においてはとても普通の女の子であることが描かれているのだと思っています。
SOS団を結成して彼女がしたことでアニメで描かれているものといえば、「気になる男の子や友達と一緒」に「映画を撮る」「野球をする」「週末集まる」「夏合宿をする」ということです。
これを見ていて、僕は「なんて普通の子なんだろう」と思えたんですね。
だから「視聴者にわからせる流れ」になっていると思うんです。
もし、ハルヒのことを「普通の女の子だと思えない!」と感じるのであれば、それは僕らが普段「女の子って分かんないよね」と言っていることと同じ感覚なのではないかな、とも思います。
つまり、僕らは「普通の女の子」というものを、そもそもそんなに分かっていないのではないだろうか、ということですね。
それが本来男の子の持つ感覚であるのならば、mementoさんのように「この展開はないよ!」と思うことは、それもまた当然なのかもしれません。
とはいえ。やはり後編は後編で是非見たいですよね。帰る時に「寂しい気持ちを隠そうとするハルヒ」とかをついつい勝手に妄想してしまいます^^
>「変人に見えて実は普通の女の子」が一番に願っていること、求めていることというのは、実はいたってささやかでありふれたものなんじゃないでしょうか。
僕も本当にそう思います。
>だからこそ、それを与えられるのは、宇宙人の有希でも、未来人のみくるでも、超能力者の一樹でもなく、ただの普通人であるキョンなのではないでしょうか? キョンがハルヒに選ばれた理由はそこにこそあるように思えます。
なるほど!確かに仰る通りかもしれません。本当は普通のことを求めているから、普通の男の子にそれを与えて欲しいと願う、というのはまさに描かれていることそのもののように思えます。
僕も改めてハルヒのことが少し分かったような気がします。ありがとうございます^^
よろしかったらまたご意見聞かせて下さい。
それでは失礼します^^
投稿: だんち | 2006年5月10日 (水) 12:41