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2006年5月29日 (月)

「ARIA THE NATURAL」第9話を見た。

 こんにちは。だんちです。
 テレビ東京にて「ARIA THE NATURAL」第9話を見たので、感想を書きたいと思います。

 ↓作中に出てきた庭のペンスケッチ。単行本7巻41ページを見ながら、角度を変えてのイメージスケッチ。しかし…ツルバラがあまりに大変で、かなりラフに。…これ描いたアシスタントの人すげぇよ…。線のボキャブラリーも、今回かなりラフな早い線を使うようにしてみました。この路線が向いてるかも。なかなか思うようには描けませんが、スケッチは楽しいです。
Garden

 
 
 
 
 
 良い脚本でした…。とても味わい深いエピソードを見せてくれましたね。
 「匂い」という、アニメーションでは感じることのできない部分を、こういうお話の中でクローズアップするというのは、けっこう大胆なチャレンジだったのかもしれません。

 その「感じ取ることの難しい」匂いというものを、なんとか感じ取らせようとしていたのが、佐藤監督の奥様、恭野さんの渾身の選曲だったのかもしれませんね。
 実際、僕は「匂い」というモチーフがあれだけしっかりと描写されていたことには、見終わって半日経ってから気づきました。でも、見ている時は素直にアリシアと灯里の麗しい同僚愛を楽しんでいました。無限大に広がっていく「素敵」ということも、画面と音声とで、素直にそのまま受け取っていました。
 それを感じさせてくれていたのは、僕にとってはとにかくBGMで。挿入歌の使い方に、本当に「絶対に感じ取らせる。この物語の良さを感じてもらうんだ!」という気合を、ひしひしと感じたものでした。

 だから、「匂い」のモチーフが伏線になっていることに全く気づかず見ていたにも関わらず、声優さんの演技も含めて、どんどん高揚していく物語の情の盛り上がりを感じて、圧倒されるような心地になりました。
 心がぐいぐい握られていくような、そんな圧倒される感じ。
 でも、それは気持ち良かった。
 見ながら、アクションがあるわけでもないし、すごく分かりやすい泣かせるようなエピソードがあるわけでもないのに、ものすごく興奮しました。
 あの畳み掛けてくる「恥ずかしい台詞」のコンビネーションもすごかった…。
 なんというか、すごく「吹っ切れた」感じのある脚本と演技、選曲だったように思います。
 まだ少し。呆然とする感じ、圧倒される感じの余韻があります。

 前回くらいから、かなり「吹っ切れた」雰囲気を感じます。いいですね。スタッフの心理面に、何か良い刺激があったのかもしれません。これが、集団で作業している中で起こってきたチームとしての精神的な「吹っ切れ」「盛り上がり」であるならば(つまり個人の才能によるその場だけの輝きではないならば)、今後もかなり期待できますね。

 さて。匂いのモチーフですが。
 それに気づいて改めて見直してみると、最初からそのモチーフに対するアプローチがあったことが分かりました。
 それは、蝶が花の蜜を吸っていたシーン。蝶は花の匂いに誘われて、蜜を吸っていたということなのでしょうね。その蝶がひらひらと灯里の前を通り過ぎるわけですが、蝶が感じている花の匂いを灯里は気づいていないことを、この場面でさらりと見せていたのだと思います。蝶は見えていても、その蝶が惹かれる花の存在に気づかないわけですね。

 で、灯里が藍華、アリスと共に「素敵探し」をした時、藍華とアリスは耳に聞こえるもの、目に見えるものだけを「素敵なもの」として灯里に見せていきます。「素敵探し」は「どれだけ知られていないスポットを知っているか合戦」になってしまい、藍華は最後に「そばの匂いがするパン」を売っているパン屋に辿り着きます。でもアリスに「どこが素敵なんですか?」と聞かれても藍華は答えられないし、灯里は「面白素敵っ」とか言って、やっぱりどこがどう「素敵」かが分からないわけですね。
 それから、停電があってアリシアにそのパンを見せたところ、アリシアは「そば粉と、風味付けにしょうゆが使われている」ことを、匂いをかぐことで見抜きます。
 そこで、そのパンの既成概念に囚われない「素敵」に触れて、すぐさまアリシアは「ほうじ茶のミルクティ」を入れるわけですね。そうすることで「絶妙のマリアージュ」が生まれ、更なる「素敵」が発見される。
 灯里は全然そのことに気づけなかったことで「まだまだ知らないことばかり」と凹むわけですが、そこでアリシアはグランマに教えられたことを「くちなしの花の香り」のエピソードで伝えます。
 「心にほんのり暖かな小さな炎を灯し続けたら、こっそり隠れている素敵が見えてくる」
 というそれは、「素敵がそこに無い」のではなく、「こっちで気づいていないだけ」ということなのでしょう。それはこの場合、目で見えることや耳に聞こえることばかりに囚われてしまうと、せっかくそこにあるものに気づけなくなってしまう。ものごとは、感じ取ろうとし続けていけば、いつか必ず感じ取っていける、ということなのでしょうね。「あるがまま(NATURAL)」そこにあるものは、こっちが望んでいる姿であるわけではないけれども、心の小さな炎で照らし続けていけば、感じ取ろうとし続けていけば、それまで知らなかったものであっても、自然と感じ取っていける。
 そのことが、見えるものや聞こえるものではなく、匂い、香りというもので今回表現されていました。

 ものごとを感じ取ることは、全身の様々な感性で受け取ることができるという、その幅を教えてくれる、素晴らしいエピソードでした。

 しかし。ここで更にエピソードを畳み掛けるわけですね。
 それが、停電で真っ暗な中の星の明かりがとても明るくて、いつもの部屋が全然違って感じられるところですね。
 それは、アリシアも知らなかったもの。
 視覚、聴覚だけでなく、香りも感じ取ることができるアリシア。
 だけど、その視覚において見えているものも、その時々によって違った姿を見せてくる。そのことを彼女も改めて知るわけですね。
 つまり、全身の感性で受け取ることができるものの、「深さ」を最後に見せて、感じ取れるものには限界がないということ、受け取っていける「素敵」は無限大である、ということが示されます。
 知らないことが多い、という灯里。だけど、知ることには終わりがないわけですね。
 それは、「心にほんのり暖かな小さな炎を灯し続ける」ことは、終わらせるべきではないもの、ということにもなるのでしょうね。
 まさに、無限大のポジティブメッセージ!
 そしてまた同時に、知ることに限界が無いことを、自らの無知(星の明かりのこと)で示したアリシアの謙虚さは、さり気にものすごくメッセージ性が強い姿だとも感じました。

 原作の素晴らしさがあることは当然ではありますが、そこにここまでモチーフとエピソードを畳み掛けた脚本は、鳥肌ものでした。
 そこに、渾身の選曲のBGM!
 エンディングも2番でしたね。歌詞のヒヤリングが苦手な僕は(ついバックの音ばかり聴いてしまうのです)、どんな歌詞だったか聴けていないのですが、そこにもメッセージがあるのでしょうね。
 とにかく、この作品がいよいよ化けてきたような気がします。今回脚本の岡田麿里さんは、アニメ誌をちらりと立ち読みした記憶によると、次回も担当だったように思います。
 次回も、さらなる吹っ切れた脚本を期待して、胸躍らせつつ、この感想を終わります。
 それではまたです!!

 参照「なぜアニメの感想を書くのか。どういったスタンスで書くのか。」
    「『音響監督佐藤順一』の手法に注目してみる」

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