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2006年5月12日 (金)

横浜FCに見るメンタルの重要性とそのテクニック。

 こんにちは。だんちです。
 10日水曜日にあったJ2東京V対横浜FCの試合を、深夜のテレビ放送で見ました。
 昔からカズが大好きで、ヴェルディがまだ川崎だった頃に等々力競技場に見に行ったりしていました。当時、アルシンドとの2トップだったりしたなぁ。マリノス戦で井原と戦ったりしていました。
 そんなアイドルカズを見たくってわくわくしながらテレビ観戦したわけです。

 さて、この試合ですが。
 カズの1アシスト1ゴールという活躍によって横浜FCが勝利を収め、勝ち点で首位に並ぶという、なんともファンとしては満腹な楽しみを味わうことができました。
 見ていて、とても楽しかった。
 正直、キリンカップの代表の試合なんかよりずっと面白かった。
 勿論、思い入れがあるからこそ、なんでしょうけれども。

 でも、面白い、楽しい、と思える点は、思い入れはそれはそれとして、印象として思うのは「自信を持ってサッカーしているチームは見ていて面白い」というところだと感じました。

 キリンカップの日本代表は、僕は見ていてどこかおどおどしていて自信が無いように感じました。
 選手選考発表の直前だからということもあるんでしょうけれども。
 それに対して横浜FCは自信に溢れていて、見ていて本当に気持ちが良かった。
 「ああ。俺、代表よりもこっちのサッカーの方がいいなぁ」
 と、素直に思いました。

 そんな風に楽しく見れて、カズが活躍した試合だったものだから、録画していたビデオを仕事中に流したりしていました。
 そして、時折画面を見ているうちに、あることに気がついたんです。
 それは、横浜FCの選手達の表情です。
 特にカズが印象的なんだけど、笑顔が多いんですよ。
 要所要所で選手が笑顔を浮かべているんですね。
 対戦している東京Vの選手達はしかめっ面の無表情なのに対して、横浜FCの選手達は表情がある。
 それに気がついた時、思いました。
 「これはわざとだ!」
 と。

 横浜FCは開幕戦の後、突然足達監督を解任してコーチだった高木琢也氏を監督に昇格させました。
 異例の人事としてインパクトがあった交代劇だったわけですが、その後高木監督は就任して12試合負け無しというJリーグ新記録を打ち立てました。
 戦術を新しくしたり選手を入れ替えたりする時間も無い中で高木監督がチームに施したこととは何だったのか?なぜこのような快進撃を生み出すことができたのか?とても興味深いことだと思っていました。
 それが、選手の表情を見て少し分かったような気がしました。

 東京Vのラモス監督は選手に「自信を持つこと、勇気を持つこと、楽しむこと」などを求めていると発言しています。しかし、それらは東京Vには少なく、横浜FCには溢れているように思います。
 高木監督が就任してチームに与えたものとは、まさにそれなのだろう、と試合を見ていて確信しました。
 考えてみれば、それはそうか、という話なんですよね。
 戦術も選手もいじれない状況で突然就任した監督にできることは何かといえば、メンタル面をプラス方向に導いていくことしかないだろう、と。
 つまり、選手に自信を持たせることを徹底したのだと思います。
 勿論、それはにまず監督自らが大いに「自信」を持って。

 「自信を持つ」
 ということは、技術を生かす上で最も必要な要素なのだと思います。
 サッカーは勿論、漫画でも。または、あらゆる仕事でも、日常生活でも。
 では、その自信はどうやって身につけたらよいのか。これはなかなか難しい問題です。
 自信をつけるためのプロセスをこつこつと積み重ねていって、自分の心の中に「自信がある」状態を大きくしていく、というのが地味ながらも結局は一番効果的な方法なのかもしれません。
 とはいえ、ただ漠然と「自信つかないかなぁ」と思っていてもつくものではなく、「これで自信をつけるんだ」と意識しなければ、ただの「偶然待ち」に近いものになってしまうのだと思います。

 そうやって「自信」を持つことができたならば、サッカーであれば、「勇気」を持ってプレーすることができ、試合を「楽しむ」ことができるようになるのだと思います。

 しかし、そのプロセスを結果の方からアプローチする方法もあるのかもしれません。
 それが、横浜FCの「笑顔」に見ることができるのかもしれない、と思ったのです。

 コーナーキックからアシストを決める直前、アシストを決めた直後のカズの笑顔。得点した時のカズとチームメイトの笑顔。プレー中の城の笑顔。シュートを外した後のアウグストの笑顔。
 チームが上手くいっているから自然と笑顔が出る。
 なんていうことが言えるのかもしれませんが、「自然と笑顔が出る」程、プロサッカーの職場は甘いものでは無いのではないか、と思うんですね。練習中ならいざ知らず、試合中にということになればなおのこと。
 これらの「笑顔」が自然発生的なものではない、と仮定したならば、つまり「わざと」作ったものだ、ということができるのだと思います。
 つまり、高木監督の指導なのではないか、と思うんですね。
 「笑え!」
 と。
 「試合中に、わざと笑え」という、メンタルコントロールとしての「笑顔」の指導をしているのではないでしょうか。
 この仮説をこのまま推し進めていくと、「自信から結果」へのプロセスを逆行していく手法である、と指摘することができると思うのです。

 「自信をつける」→「勇気を持つ」→「楽しむ」
 というプロセスの、「楽しむ」のところを、まず具体的に形を持って実行する。
 それがつまり「笑う」ということ。
 作り笑いでもなんでもいいから、とにかくプレーしている最中に笑うことを義務づける。
 「今自分は楽しんでいる」という状況を、まず形から作ることで、気持ちも「楽しい」状態に近づくことができる。
 そうなってくると高揚感が沸いてきて、「勇気を持って」プレーすることができるようになり、それが良い感触を生み出していくことで「自信」を持つことができるようになる。
 そして、自信がついてしまえば、また勇気をもってプレーできるし、楽しむことができる。つまり、プロセスの逆行からスタートしたことによって、今度はプロセスの順行が発生する。
 そういうメンタルコントロールのテクニックを、横浜FCは、高木監督は使っているのではないだろうか、と試合を見ていて感じました。

 勿論これは憶測です。
 でも、このプロセスの逆行は、現実に使えるテクニックなのではないか、と思います。
 自分が漫画を描いていても、一番苦しむのは「自信を持つ」という部分です。練習しても練習しても、絵の技術には天井はなく、いつになったら自信が持てるのか、悩み続け苦しみ続けます。
 これは、多くの漫画家がそうでしょうし、また実は多くの編集者もそうなのだと思います。
 自信を持てない漫画家と編集者が、悩み苦しみながら生み出す漫画が、楽しいものになっていくか、というとそれは疑問です。どこかおっかなびっくりの、おどおどしたものになってしまうことでしょう。
 そこを抜け出すには「自信」をつけるしかない。
 でも、どうやってつけたらよいのか。それは漫画家も編集者も分からない。

 そこで、横浜FCを見ていて思った「プロセスの逆行」が使えるのではないか、と思うわけです。

 僕のことでいえば、「ああ。漫画を描くのってなんて楽しいんだろう」と、笑いながら漫画を描く。
 歯を食いしばって描くのではなく、笑顔を浮かべながら「楽しい」状態を、まず形から作って描いていく。
 そうすることで、勇気を持って線を引くことができて、よい線が引けるようになることで自信をつけていくことができる。
 それによって、現実には過酷なことも、笑顔で頑張って乗り越えていけるようになるかもしれません。

 横浜FCのサッカーは、選手達の笑顔とは裏腹に、前線からの献身的な守備と、守備ブロックの堅実な働きを中心とする、運動量と献身を選手に求める質実剛健なストイックなものです。
 それを、歯を食いしばって苦悶の表情でやっていたとして、果たして12試合連続無敗という記録は作れたでしょうか。僕は、笑顔を浮かべられるからこそ、実現できたのだと思います。

 自分が仕事をしていて思うことですが、仕事中に「自然な笑顔」なんて浮かべられることは、滅多に無いことです。でも、自然でなくても笑顔は笑顔。それを作ることには意味があるし、それをやっているのが横浜FCなのだと思います。
 だからこそ、横浜FCの試合を見ていて、日本代表の試合よりもずっと魅力を感じたのだと思います。
 プロセスの逆行からプロセスの順行が生まれ、それによりエンターテインメントに相応しい試合内容が生まれていく。
 僕が見た試合には、そういった現象が含まれていたように思えてなりません。
 このことが事実であるかどうかは、現時点で全く知りようがありませんが、何はともあれ、横浜FCの試合を見て感じたこと、そこから学んだことを、自分の仕事に生かせていけたら、と思います。
 やはり、結果を出している人(チーム、グループなど)は、必然的に結果を出しているはずなんですよね。
 その意味でも、高木監督は本当に優れた仕事をしているのだと思いますし、今後彼の発言などに大いに注目していきたいと思います。
 また、時間を取って生で横浜FCの試合を見てみたいですね。
 そこで、どんなプロセスを見ることができるのか、とても興味があります。

 何はともあれ、「プロセスの逆行」「そこから生まれるプロセスの順行」を、まずは今日から試みてみたいと思います。
 その仕事の成果を皆様の元にお届けできるよう、頑張ってネームを描きますね!

 それでは、今回はこの辺で。
 またです!

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