「ARIA The NATURAL」第13話を見た。
こんにちは。だんちです。テレビ東京にて「ARIA The NATURAL」第13話を見ましたので、感想を書きたいと思います。
感想は…とにかくアリスが可愛い!!としかっ!!
いやもう、苗木野そらがいるっ!?とか思ってしまいました。しかし、障害があるほど燃えるとか言って、そんなことばっかり言ってると将来不倫に走ったりしちゃうから気をつけて欲しいものです。
あーでも。そういう危うさがアリスの魅力なのかもしれないですね。
ゴンドラ漕ぎの技術はピカ一。だけど、まだまだ子供だから精神的性格的に未熟で偏りが大きい。
そのアンバランスさが、はらはらさせられるというか。
だからこそ、見守らなくてはいけないし、育ててあげないといけないし。
そのことで言うと、今回見ていて、アリスがあまりにも子供っぽかったので切なくなってしまいました。
「親元離れてるんだよなぁ…寂しいだろうなぁ」
って。
オープニングで子供達が「自分(達)ルール」で遊んでいる姿とアリスとを重ね合わせると、子供達には、親がすぐそこにいるし、一緒に遊ぶ友達がいるけど、アリスは寮生活だし一人で遊んでいて。制服姿のアリスは子供というには、女を感じさせる年代だし。でも、その姿は女というにはあまりにも子供だし。
アンバランス。
危うい。
どこかが、ちぐはぐ。
そんな印象がありました。
それはやっぱり、「オレンジプラネットという業界最大手の会社で将来を嘱望される若手№1」という立場や、雑誌のグラビアに写真入りで掲載されてマンホームのウンディーネファンにも知られている存在であったり、学校の後輩から憧れられてサインをねだられたりという、そういう「光」の部分が、未成熟な少女にとってはあまりにも強いものだからなのでしょうね。
アリスが一生懸命、影だけを踏んで進もうとする姿は、ものすごく子供っぽいんだけど。
子供っぽいからこそ、彼女の持っている決意とか真面目さとか、アンバランスな程の一途さを見るような気がして、見ていてすごく切なくなりました。
夏の日差しの強さ、光の強さが、背景の色合いの濃さでも表現されていて、すごく綺麗でした。
はっきりした色合い。
そこにくっきりと現れる影。
その影を踏んで進んでいくアリスの姿は、そのままウンディーネとしての彼女の姿であるのかもしれません。
娘と離れ離れになる親の寂しさを踏み。
親元を離れて寂しい自分の気持ちを踏み。
彼女が追い抜いてしまう先輩達の悔しさを踏み。
先輩達を追い抜いてしまう気まずさを踏み。
同年代の子には理解されない苦しみや充実感を持ってしまっている事実を、自分が、どうしても特別であるという事実を、
踏む。
そうやって辿り着くのが、アリスにとっての一人前のウンディーネということであるように見えました。
多くの人の支えや、多くの人の寂しさや、悔しさを踏み台にして、登り詰めていくトップの座。
アテナと同室になっていることの会社側の意図であるとか、期待であるとかそういったものを、真面目で聡明かつ大人びた思考を持つアリスなら、当然感じ取っているのだろうと思います。
だから。
踏み外さないで一人前になる。
それが、彼女の中で無意識であったとしても、本当の自分ルールの姿であるように見ていて感じられて、すごく切なくなったんですね。
そりゃ、きついだろうな。
苦しいだろうな。
でもそれが、強い光を持った者の使命だと、思っているんだろうな。
だから、寂しいんだな。
って。
彼女がいる世界は腕一本で稼ぐ大人の世界だから、彼女は背伸びしてそこでの自分を一生懸命成り立たせようとしているのだと感じます。しかも、充分成り立つだけの強い光を持つ者であることを、周囲も自分も分かっている。
だから、一人でいる時にああやって、あまりにも子供じみた遊びをするのでしょうね。
その辛さ、彼女の弱さが感じられたのが、アテナと一緒にいる時に、すごく嬉しそうに影踏みをしている場面でした。
お母さんと一緒にいる子供みたいで。
それこそ、オープニングの時の子供達と同じ年代に見えるくらいに子供っぽくって。
可愛いなぁ。
可愛いけど。
可愛いから。
切ないなぁ。
って。
なんだか涙が滲みました。
だから、アテナが自分の影を差し出して。ここを踏めばいいよ。と示す場面が、本当に、ものすごく切なかった。
それまで、まるで母子のようだったからこそ、アリスがまさに親の悲しみを踏みしめてオレンジプラネットにいることが、感じられたように思えたんですね。
アリスが激怒したのも、すごく分かりました。
それは踏めない。
それが自分ルールに反するとか、そういう問題じゃなくって、それは踏めない。
そう思うだろうな、ということが、共感をもって感じられました。
アテナまで、影にしてしまったら。
アンバランスさ、危うさ、ちぐはぐさが、もう、限界を超えてしまう。
そういう感じがあったのかもしれません。
だから、アテナから離れてやり直したのは、「逃げた」ということなんだと思えます。
だけど、最後の最後。
アリスはアテナの影に助けられます。
アテナ自らが自分の影を差し出すことで。
アリスは「なんでこんなことをするんですか!?」と問い詰めるわけですが、アテナは言うわけですね、「アリスちゃんの味方気取りなの」と。
そこには、影を踏まれて喜んでいるアテナがいる。
その姿をアリスは見るわけですね。
影となってくれる人がいるから、自分が光を放てる。
影となって踏まれていく人達は、ただ悲しかったり、ただ悔しかったりするのではなく、光を支えるために、実は喜んでいることがある。
アリスを支えることを望んで喜んでいるアテナの愛情を感じて、アリスは自分ルールに「アテナ先輩の助けはOK」と加えます。
それは、それまでの彼女の様子を見ていて、僕には、彼女が離れてしまっているご両親の愛情を再確認した場面でもあるように見えました。
自分が光輝いていくことは。
影を犠牲に踏みしめ踏み越えていくということではなく。
影と一緒に、進んでいくということかもしれない。
自分ルールが「自然でない」ものだとしたら、影と一緒にあることを認める形でルールを変更したアリスは、もっと「自然に」、そしてもっと強く輝いていけるかもしれないですね。
アリスは、才能を持っていて、そもそもの光を持っている子なわけですが。
でもそれは、僕らにとってもあることで。
それぞれの人がそれぞれの場所で光輝くことは、自然なことだと思います。
勉強だったり営業だったり製造だったり研究だったり接客だったり。
でも、それぞれの場所で光輝くためには、必ず影がある。
光を支える影の存在。
その影の存在もまた、自然なもの。
影と共に進むことを知らなければ、光輝き続けることはできないのかもしれません。
それはとても、本当に自然なことで普遍的なことかもしれませんね。
自分が光を放つなら、影を踏まなければならない。でも、そのことに変に「ルール」を決めなくても、自然に「踏ませてもらえ」ればいいのかもしれませんね。
また逆に、光を放とうとしている人がいれば、喜んで自分の影を差し出して「踏みなさい」とすることも、自然なことなのでしょうね。
それは、ただの自己犠牲ではなく。支え合う一つの姿なのでしょう。アテナがエースとして光を放っているからこそ、できることなのかもしれません。自分の光が多くの影によって支えられていることを知っているからこそ、人の影にもなれるのかもしれないですね。そしてその自然な姿は、アリスにも受け継がれていくのでしょうね。
自分のことに置き換えると。
自分の仕事や自分がしていることにおいて、光を放ちたい。輝きたいと思います。それは、踏むべき影は踏ませていただきながら。
だけど、光を放とうとしている人がいれば、影になって支えてもあげたい。
ただ、光だけでありたいとは思わないけど、影だけでいいとも思わない。
そこは、その時その時、自分があるべき姿で、自然に光であったり影であったりできたら、いいなぁと。なかなか難しいことだろうけど、アテナみたいに振舞えたらいいなぁと思います。
良いお話でした。
やはり、オレンジプラネット絡みの話は、ついつい社会人としていろいろと考えてしまいます。僕自身は別に会社勤めとかではないんですけれども。
今回、珍しく、脚本も絵コンテも演出も男性の名前でしたね。名前が男だからっていって油断できないわけですが、おそらくは男の人達が原作を膨らませたお話だったのでしょうね。女性が生み出した原作を、男性だからこそ脚色できた、そんなお話だったのかもしれません。
なんだかついついまたもや長文を書いてしまいました。
「ARIA」の感想ということになると、いつもセンチメンタル大爆発になってしまうので…文章になっているのか意味が通っているのかえらく不安です。
でもいいやー。これはこれで!!
しかし、こうやって書けるようになったということは疲労もだいぶましになってきたからかもしれません。疲れていてちゃんと感想を書けなかった「ネオ・ヴェネツィアンガラス」の回を、改めて見直して感想を書いてみようかな、なんてなことも思います。絶対、魅力的なテーマがあるはずですから。
作品から何かを学んでいくことに、終わりは無い!無い!無ーい!!
そういえば、サトジュン監督がまたコンテを切っているらしいですね(池P氏のブログによると)。ARIAのコンテかなぁと今から期待しております。平池さんもARIAのコンテやったみたいですし。楽しみですね!!
勿論、次回も楽しみにしております。
それでは、今回はこの辺で失礼します。
またです!!
参照:「なぜアニメの感想を書くのか。どういったスタンスで書くのか。」
:「物語作りの基礎。普遍的土台と誇張表現の調和により生まれる適度な感情移入…学習機会レポート」
:「『音響監督佐藤順一』の手法に注目してみる」
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コメント
こんばんは、だんちさん。
今回、最初に見たときの感想を記事にしたんですけど、2度目を見たときにまた違う考えがでてしまいちょっと混乱気味です。
というのは、アリスが自分の力のみでやることにこだわりを持ってやっている行為に対して、アテナさんが手助けすることは優しさと言っていいものだろうか、という考えです。
見守る、励ます、応援するといった行為ではなく直接手助けをしてしまう事に対する違和感っていうんでしょうか。
僕はアテナさん大好きなんで否定的に思いたくないんですけど、陰で見守る、支えるってそういうことじゃないのでは?と思ってしまったりするのです。(影の踏み外しが大けがに繋がるとか言うなら話は別なんですが。)
難しいところです...。
投稿: おちゃつ | 2006年6月29日 (木) 20:49
おちゃつさん。こんにちは。コメント&TBありがとうございました!^^
なるほど。今回のお話を見て、どう受け取ってよいのか混乱されているのですね。
その意味では、僕の感想もあまりお役に立てないものになってしまっていますね^^;
やっぱり、興奮すると自分の叙情の部分だけが走ってしまうからなぁ…。
今回、ゴンドラの練習シーンから始まって、アリスが以前からの問題点、「寡黙に漕ぎすぎてコミュニケーションが取れない」という部分が全く改善されていないところから始まりました。
で、それに対して反省するのではなく、「自分ルールが成功しなかったからだ」と彼女は言うわけですね。
それは、現実逃避なんだと思います。
自分の問題から逃げている。
僕はその部分がすごく子供っぽくってアンバランスに見えたし、寂しさがあって甘えている部分なんだなぁと思いました。
で、現実逃避の「影踏み」をアリスは繰り返して、それが成功すれば、現実の自分の問題にも向き合えるんじゃないか、とすがっていたんだと思います。
それを、アテナは現実逃避だということを分かりながら、させてあげていたんだと思うんですね。「そんなことはいいから、ちゃんと練習しろ。反省しろ」とするのではなく、アリスのメンタル面を尊重して、遊ばせてあげていた。
その現実逃避を見守って、一緒になって全うさせてあげる。それによって、実際の問題、アリスの現実の問題に自然に向き合わせてあげる。それがアテナの今回の優しさだったのだと思いますし、それがとても母親的に見えました。
アリスのあの反応の仕方とか、すごく親に対して駄々をこねる甘え方そのものに見えましたし。
で、アリスはアテナの助けを得て現実逃避のマグマに落ちなかったことで、「練習に付き合ってください」と言うわけですね。
ここで、アリスは最初の失敗のところにやっと立ち返れたんだと思います。つまり「自分ルールが成功したんだから。今度はちゃんと漕ごう。ちゃんと練習しよう」ということですね。
>影の踏み外しが大けがに繋がるとか言うなら話は別なんですが。
ということで言えば、アリスがあそこで「マグマに落ちる」ということは、心の面で大きな怪我をするところだったんだと思うんですよ。それくらい、自分のアンバランスな立場に追い詰められていた、という風に僕には見えています。
そこで、あまりにも子供っぽい遊びをしているアリスに、真剣に付き合って、本気になって助けたアテナは、やっぱり「あ!アリスちゃんがマグマに落ちちゃう!!」って、本気で思ったと思うんですね。
以前の髪の毛を梳かしながら「笑ってごらん」と言っていた時と同じで、同じ目線に立ってあげて、「味方」になってあげていたのだと思います。
長くなってしまった…。
要点としては、「アリスが練習で失敗した」というスタートがあって、「それを自分ルールの成否のせいにしている」という子供っぽい不毛で不自然な現実逃避をしている、というところを押えれば、混乱は無いんじゃないかなぁと思います。
藍華が「いつも言ってるじゃない!」と叱っていましたが、それだと、アリスは反省できないんですよね。技術はあっても子供だから。そう見ると、アテナの優しさが見えてくるんじゃないかなぁと思いますが、いかがでしょうか。
なんかもう…感想第二弾みたいになってしまいました…。
余計混乱させたりしたらすいません^^;
もし、お役に立てたら嬉しいです。
ではでは~^^
投稿: だんち | 2006年6月30日 (金) 14:13
こんばんは。
なるほど、現実逃避であるとふまえて考えると上手くまとまりますね。僕にはそのこと、根本的なところが抜け落ちていたようです。ゴンドラで声が小さくぶつかりそうになった場面を軽く流してしまってましたけど、あれが前提として重要な場面だったんですね。
すごく詳しく説明していただき本当にどうもありがとうございます!
投稿: おちゃつ | 2006年6月30日 (金) 21:23