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2006年6月16日 (金)

W杯は四年に一度の日常の光景。

 こんばんは。だんちです。
 最近ちょっと慢性的な疲労感にまいっております。長年創作を続けてくる中で、ちょっと精神的な部分での疲れが溜まってしまっているようです。この疲労はどうやって解消できるのか…。とりあえず、毎日いっぱい眠っておりますけれども。
 それはそれとして。W杯!
 毎日毎日、テレビで世界のサッカーをとても楽しく見ております。
 そこで思ったことをちょこっと書こうかと思います。
 でも、前述の疲労感のため、文章力が最近極端に低下しているようにも思います。なので、読みにくさは前提の上で、ということで…。

 W杯を見ていて、「強豪」「中堅」「新興」という、ざっと分けて三つの勢力があるように思います。
 特に、「強豪」と「中堅&新興」の違いがとても興味深いものだと感じました。
 今、2戦目に突入しておりますが、初戦の印象では、強豪国(ブラジル、ドイツ、イングランド、アルゼンチン、オランダなど)は苦戦しつつも結局はなんだかんだと実力で押し切る戦いをしていたように思います。
 その様子はとても落ち着いていて、リラックスしているようにさえ見えました。

 それに対して中堅国(スウェーデン、韓国、パラグアイ、セルビア・モンテネグロなど)や新興国(日本やオーストラリア、アンゴラなど)は、ちょっと落ち着きがないんですね。もっと落ち着いてプレーすれば、もっとできるチームばかりなのに。W杯ということでちょっと選手たちが過緊張気味になってしまうんでしょうね。

 そういった様子を見ていて、この前の冬季五輪の女子フィギュアを思い出しました。
 金メダルの荒川選手は「会場の歓声を聞かないように」「平常心で」「無欲で」、普段通りの力を発揮しました。それに対して緊張のあまり自分の演技ができなかった安藤選手は大会後、「五輪はやっぱり違った」と、普段とは違う雰囲気に圧倒されてしまったことを吐露していました。
 この二人の様子と、今回のW杯の強豪とそれ以外の国の様子とが、重なって見えたんですね。

 結論から言うと。
 強豪国にとってW杯は、「四年に一度の日常の光景」なんだな、と思うんです。
 四年に一度、当たり前のようにW杯に出ている国にとっては、それほど緊張する大会ではなく、「いつもよりちょっと大きな大会」くらいのものなのでしょう。
 それに、勝つためにそういう精神状態にするようにコントロールする術もまた、培われているのでしょうね。
 だから、普段通りのプレーができるし、スタミナも続くし、ぎりぎりのところでも力を発揮できる。

 それに対して、日本のようにW杯が「現実離れした非日常の光景」である国にとっては、普段通りに力を発揮するのはとても難しいわけですね。
 固くなってしまうし、視野も狭くなってしまうし、ミスはするし、息も上がる。
 これじゃ当然勝てないわけですよ。
 W杯が日常であるブラジル人のジーコは、日本がオーストラリア戦に負けた後のコメントで、リードした後にミスが続いたことを嘆いていました。彼にとって、日本があそこまで浮き足立つことが信じられなかったのでしょうね。
 でも、あの日本代表の姿が現実ということなのでしょう。
 日本にとってW杯はまだまだ非日常であって、普段通りの実力を発揮できるような場では無いということですね。
 なまじ、三回目の出場ということもあって、その辺りを見誤ってしまう部分が、様々なところであったのかもしれないですね。

 さて。
 では、日本のような国がW杯で勝つためにはどうしたらよいのか。
 それは、まずW杯のような戦いをなるべく日常に近づけるための経験を沢山するべき、ということでしょうね。つまり、アウェーでの本気マッチをなるべく多く経験する。
 日本国内でビール会社主催の親善マッチを何回やったところで、W杯は全然日常には近づかないと思います。今後はもっともっと国外で揉まれることが必要でしょうね。

 それともう一つは、「官軍の将」オーストラリア代表のヒディング監督のように、徹底した準備をする、ということが挙げられるのだと思います。
 オーストラリア代表にとってW杯はどうしたところで非日常の舞台。
 で、あるならば。とことん準備して「俺達はこれだけ準備したんだから、ほとんど未知の世界であるW杯でだって大丈夫だ!」という自信を備える。
 そして、実際にW杯初得点を上げ追加点も奪い、初勝利を見事に収めたわけですね。
 ヒディング監督の日本戦後のコメントは、とても含蓄があると思いました。
 徹底した準備をする前提には、非日常の戦いの場に挑む、未知の緊張感や恐怖感などが選手たちにはあったのでしょうね。
 その選手たちの心理状態と向き合い、一つ一つ問題を克服していくプロセスがあって、その上でのあの勝利だったのでしょう。とても勉強になる彼らの勝利だったと思います。

 それにしても。
 こういった「日常の場で力を発揮し」「非日常の場で力を発揮できない」というのは、W杯に限らず、自分達にもあることだよなぁと改めて思います。
 卑近な例えですが僕のことで言えば、普段仕事をしている先の雑誌社さんであれば、普通に力を発揮できても、違うところで仕事をするとなると、なかなか思ったようには描けない、とか。そういうことはやっぱりあります。
 そこで、W杯を見ていて感じたことは、自分の日常生活にもやはり活かせることだよなぁと思います。
 「あ。これは自分にとっては未知の領域だ」とか「非日常の場だ」とか「いつもとは違う状況だ」となった時に、下手に自分を過信しないで、きちんと準備をして事に臨む。そうすることで、一つ一つの事態を乗り越えていけるのかもしれません。

 つまりは、自分の心理状態をなるべく平常に保つための努力をすることで、あらゆる場で自身の力を発揮できる。
 というような感じでしょうか。

 W杯に話を戻すと。
 クロアチア戦、日本代表はどれだけ平常心で戦えるか、が鍵になるのでしょうね。
 「後がない」「勝つしかない」という、そういう悲壮感漂う状況や、「やっぱり日本は弱いんだね」と周囲からバカにされた目で見られるような状況は、ある意味日本代表にとっては「日常」の姿であるかもしれません。
 であるならば、開き直って本来の力を発揮することもありそうですね。
 でも、もし先制点を取るようなことがあったら。
 そこから一気に「非日常」へと入り込み、崩れていくことも考えられますね。
 試合の中で、選手たちがどういう精神状態で戦うのか。
 その点、注目して見てみたいと思います。

 とにかく、今大会も、日本代表にとっては「W杯が四年に一度の日常の光景」になっていくための、通るべき道であることは間違いないでしょうね。一足飛びにそこには辿りつけないわけですが、この過程を見ることができるのは、実はサッカーファンとしてはとても幸せなことなのかもしれない、なんてなことも思います。

 四年に一度のこの楽しみが、僕にとっても日常になりつつあることが、とても楽しいことだと思います。勿論、日本代表が活躍してくれれば、もっともっと楽しい…んー、それは現時点では「非日常」になるんでしょうね。
 でも、今はそんな「非日常」が、欲しいですね。

 ではでは、まとまりませんが、この辺で。
 またです!

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