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2006年8月 3日 (木)

「ARIA The NATURAL」第18話を見た。

 こんばんは。だんちです。テレビ東京にて「ARIA The NATURAL」第18話を見ましたので、感想を書きたいと思います。

 前回までで、灯里が本物のアクア人、ネオ・ヴェネツィアに住むウンディーネになっていく様子がドキュメント的なシリーズ構成で描かれていたように思うのですが、その一区切りを経て、今回は藍華のお話でしたね。

 藍華のエピソードは今までも描かれてはいましたが、今回のエピソードはそれまでとは違って、藍華が灯里と同じで一人前のウンディーネを目指す上で通るべき道を通った成長の物語だったように思います。
 前回で、灯里が藍華と肩を並べるようになったことで、こういう描き方が通用するようになるのだな、とシリーズ構成の意図として感じます。

 アリスは立場として灯里や藍華よりは一つ下のペアであることから、成長のエピソードは普通に描写されていたように思いますが、藍華の成長エピソードはここまでありませんでしたよね。
 灯里が「マンホームから来たウンディーネになりたがっている女の子」である段階で藍華の成長を描くことは、差が大きくついてしまうし、物語上の説得力も欠けてしまう、という意図があるのかもしれません。

 今後の藍華のエピソードは恋愛絡みであっても、彼女自身の成長に繋がる、そういう描き方をしてくるのかもしれませんよね。見ていかないと分かりませんけれども。

 そうやって思うと、やっぱり灯里にとっての良きライバルは藍華なのでしょうね。
 次回も藍華のエピソードみたいだけど、それも「なるほど」という感じがします。
 灯里がネオ・ヴェネツィアのウンディーネとして確実に成長しているし、なおかつ、マンホーム出身ということで観光客の心理に同調することもできる。
 このまま放っておくと、後輩三人衆の中から灯里が突出してしまうように思います。
 だけど、ここで元からネオ・ヴェネツィアに住んで育ってきた藍華の成長を描くことは、灯里の成長のドキュメントがまだまだ続くことを示すものにもなるのだと思います。

 今回、憧れを髪の願掛けという形で表現していた藍華の物語は、灯里にとってはまだ通っていない道の一つして示されたように思うんですね。

 人に憧れて、その人のようになろうとするのではなく、自分の個性を見つけていって、自分の仕事像をつかんでいかなければならない。
 晃が藍華に示した「お前にしかなれない最高のウンディーネになれ」という叱咤は、優しくも、実に厳しいものであるように思います。
 藍華の、アリシアのようになりたい、という思いは、彼女の髪の毛に表れていたわけですが、それは、今までずっとアリシアの後姿を追い掛けながらウンディーネとしての修行をしてきていた、ということなのでしょうね。
 そのことにどこか満足を覚えてしまうと、成長なんてできない。壁にぶつかる時が来ると「どうせ私はあの人にはなれない」と成長を自ら止めてしまうようなこともあるかもしれない。

 そこで、自分らしさを見つけろ、という晃の叱咤。
 自分に向き合い、腕を磨き、成長する。
 それは、誰かに憧れて追い掛けていればいいようなものとは違って、厳しく険しい道なのだと思います。
 でも、もう藍華はそういう段階に来ているのでしょうね。
 今は半人前で、まだ子供のような顔をしていられるけど、でも、手袋がもう一つ取れれば、その時は一人の立派なウンディーネとして仕事をしなければならないし、壁だの言い訳だのと言っていられなくなるわけですから。

 晃の、愛情ゆえの厳しい叱咤を受けて、藍華はばっさりと髪を切るわけですね。
 それは、アリシアに憧れて真似をするように髪を伸ばしていた子供のような自分との決別と、まさに新しい自分との出会いということになるのでしょう。

 そうなってみると、アリシアの藍華に対する誉め言葉の違いからも、藍華の成長が感じ取れるように思います。
 一回目、藍華の長髪を誉めたアリシアの言葉は、髪そのものに向けられたもの。
 だけど、二回目、藍華が髪を切った後のアリシアの言葉は、「似合っている」という、藍華そのものに向けられた誉め言葉。
 藍華が見つけた「新しい自分」は、憧れのアリシアにもしっかり認められる、藍華そのものの「本来の自分」なんですね。
 「新しい自分」とタイトルがつけられていても、そこで出会う自分は、本来の自然な自分である、というところに、物語のメッセージを感じます。
 髪が似合っていると誉められた藍華を見つめる、優しい晃の笑顔が素敵でした。
 憧れるだけで自分を見失っていれば叱るし、自分にしっかり向き合えれば笑顔で向き合う。その公平さは本当に素晴らしいですね。

 藍華は、自分に向き合い、自分オリジナルのウンディーネ像を掴んでいくための、厳しい船出に出たということなのでしょう。でもそれは、充実した日々となるのでしょうね。
 いずれ、灯里も自分と向き合い、自分にできることを模索していくようになるのでしょうけど。まだそれはもうちょっと先なのでしょうね。
 藍華の長髪を、ただ綺麗と見とれて、髪だけを誉められた藍華を「良かったね」と称えていた灯里。
 勿論、アリスも。
 自然な自分自身に新しく出会った藍華に、引っ張られながら、彼女達も成長していくことになるのでしょうね。

 灯里が成長していくドキュメントに、藍華は欠かせない登場人物。
 藍華が、少し灯里の先を行く姿を示してくれることは、見せ方としてやはり「自然な」ものを感じます。
 そのシリーズ構成は、本当にナチュラルで、心地良いものですね。
 大切なメッセージを受け取りつつ、次回もまた楽しみです!

 それでは、またです!

 参照:「なぜアニメの感想を書くのか。どういったスタンスで書くのか。」
    :「物語作りの基礎。普遍的土台と誇張表現の調和により生まれる適度な感情移入…学習機会レポート」
    :「『音響監督佐藤順一』の手法に注目してみる」

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