小説「ななついろ★ドロップス」を読んだ。
おはようございます。だんちです。
友人のシナリオライター、市川環さんが執筆された小説「ななついろ★ドロップス」を読みましたので、感想を書きたいと思います。
ゲームは未プレイで、申し訳ないこってす。
具体的なネタバレは避けていますが、読みようによってどんなお話か分かるかもしれません。ご了承下さい。
この小説は、ユニゾンシフトさんが出しているゲームのノベライズ版です。
でも、ゲームのシナリオを小説にしたものではないようで、ゲームのその後のお話という感じなのかと思います。なので、分からないところは当然分からないわけですが。でも、分からないところなんかは気にならないくらい、明確な事態が起こっていて。そこにある真っ直ぐな物語、メッセージがとても真摯なもので、その事態に直面しているキャラクターと同じような心情になって、どんどん読み進めていけます。
いやもう。
ここまで真っ直ぐに「人を愛すること」を書いてくれるとは。
一人の読者として感情移入しまくりながら読みつつ、一人の創作者としても「そうだよな。こういう物語を届けたい、読んで欲しいって、思うよな」と、頷きまくりでした。
物語の設定として、魔女っ子ものテイストなあれこれがあるのですが。
この小説の物語では、そういうものは何の力にもなっていなくって。キャラクター一人一人が、それぞれ一人の人間として何をどう考え、どう行動するか、こそがクローズアップされているように思います。
そこにあるのは、誰もが直面するかもしれない事態で。
そこで貫かれるのは、人を愛する心で。
それを守るのが、愛すべき人を守ろうとする人達の心で。
魔法を設定として持ちながら、その魔法が引き起こした事態に対して、愛と信頼とで乗り越える姿を真正面から描くこの作品は、大きな意味を持つものになっていると感じます。
物語を作る人間として思うこととして、文章や絵で架空の人物を作り出し、架空の人生を描くことは、魔法のようなものだということがあります。
物語の上では、なんだってできる。
魔法だって宇宙戦争だって、なんだって表現できる。
でも、だからこそ、その表現の魔法を使いながら、物語として何を語って聞かせていくのか。物語を作る人間はそこを真剣に考えるんですね。
可愛いヒロイン。可愛い衣装。恋愛。ドラマ。そして夢物語そのものの魔法。
そういったものを、今、この時代に、この国で描くからこそ、そこに篭めなければならないものがある。
そう思います。
それは、理屈じゃなく、物語を作る人間が五感で感じる時空の空気みたいなもので。
形のあるものじゃないんだけど、「今は、これを作らなければならないんだ」という作品はあるし、そしてまた、この作品もそういうものの一つだと、僕は思います。
そんな現在の空気の中を生きている僕は、「人を真剣に愛する」人物達の物語を、こうして読むことができて本当に良かった、と感じます。
なぜなら、人を真剣に愛するという「魔法」ならば、僕にも使うことができるからです。
そしてまた、それは読む人全てにとって同じことなのだと思います。
シンプルにして強力なメッセージを持つこの作品が、多くの人に読まれ、そして多くの人の心に響くことを願っています。
また、この作品を生み出した市川環さんは、素晴らしい「物語人(ものがたりびと)」であることを改めて知りました。氏の今後の活躍を大いに期待して、この記事を終わります。
ではでは、またです!
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