「幕末機関説いろはにほへと」第1話、第2話を見た。
おはようございます。だんちです。昨日、ネットでアニメをいくつか視聴しました。高橋良輔氏が総監督を務める「幕末機関説いろはにほへと」の第1話と第2話。それと、水島努監督の「大魔法峠」第5話、第6話。
仕事を終えて、あとは寝るだけという時に、だらだらとパソコンをいじってアニメが見れる。いいっすよ!ネット万歳ですね。
両方ともとても面白かったので、手短に感想を書いてみたいと思います。
今回は「幕末機関説いろはにほへと」を。
このアニメはパソコンテレビGyaoにて毎週金曜日更新されているものです。
今日の昼には第1話の公開が終わってしまうので、昨日慌てて見たのですが。
やー。
かっちょええ!!
すげぇ良かった!!
総監督は高橋良輔氏ですが、監督は「ウィッチブレイド」で切れ味のあるアクションと切ない人間ドラマを見事に両立させたエンターティナー、大橋誉志光氏。
第1話は単独で大橋さんのコンテで、第2話は連名でコンテを切っているようですね。
大橋さんの画面は本当に見やすくっていいですね!分かりやすくて、丁寧で。雑な見せ方とか全然しない。「見やすい」っていうのは、絵をつかう媒体ではものすごく重要なことですよね。素晴らしい。変に個性的に見せようというようなエゴとか全然なく。「視聴者にとって見やすい画面」を徹底しているように感じます。
それと、アクションの見せ方がまた格好いい!!見せ場としてしっかり盛り上げてくれるし。テンポいいし。
たまりませんぜよ!
それにしても。高橋良輔さんの作品は本当にキャラクターが分かりやすくって、いいですよね。
すごくはっきりしていて。主人公が寡黙なことが多いですが、何を背負っていて何を考えているのか、どういう人物なのかをちゃんと描いて見せてくれるところがまた、見事ですよね。
高橋監督の持つ「男」像というものが、すごくはっきりしているんでしょうね。
その辺り、「ボトムズ」でキリコに痺れていたこととか思い出しますよ。主人公の耀次郎がまた、宿命とか使命とか、いろいろ背負っていて影があって、しかも凄腕っつーのがまた、すっげぇいい!!
しかも、美青年だしね。
それでヒロインがまた綺麗な少女でねぇ。
美男美女!そして激動の時代!生きるか死ぬか!
ひゃー!もう、娯楽の醍醐味ここに極まれりでございますな!!
主人公の浪川大輔氏とヒロインの佐藤利奈嬢がまたぴったりでね。
そうそう。
この作品、キャスティングも素晴らしいですよね。
いい声の人達をずらりずらりらと並べてもう。音だけで聞き惚れてしまいます。
作品全体に「歌舞く」ところを持たせているからか、台詞回しや声そのものにもこだわりを持ってセレクトしているように感じられます。
また、悪役の声もたまんねぇんだわ。針尾とか、その姿といい声といい、最高っすね!(こいつを見ていると「剣心」を思い出してしまいます。あのアニメにも高橋監督絡んでいましたよね。確か。)
キャスティングや演技も素晴らしいと感じるこの作品。音響も非常に良いですね!
アクションシーンの衣擦れが!!!!!すっげぇいい!!!!!
刀を抜く時のあの着物の衣擦れ。
僕は剣はやっていなかったけど、空手を学んでいた頃、空手の先生が袴つけて居合い斬りの稽古をされていた時の音を思い出します。切れ味鋭く「シュッ!シュルッ!」と衣擦れの音が静かに響く様子が、「武の緊張感」として僕の耳には刷り込まれているんでしょうね。だから、アクションシーンで衣擦れの音が「シュルッ!」とするともう、それだけで鳥肌もんでございますよ!!
音響監督は「劇場版Zガンダム」でも非常にバランスの良い音響作りをした藤野貞義氏ですね。
BGM、SE、台詞。
それらの音響のバランスが気持ち良く、そして格好良く作られていて、痺れまくりですぜ!
とにかく、派手じゃないんだけど、変にリアルを志向しすぎない、分かりやすくそして丁度良いSEは最高です!
さて。物語なんですが。
幕末が舞台で、その激動の幕末に影で何やら魔なるものが蠢いていたというような、そういうお話のようですね。
歴史が大きく動き、国が激震する時に、歴史の表舞台には決して出ることの無かった、しかし重要な何かを成したであろう男達。そして女。彼らは何を思い、何を目指し、何を背負い、剣を振ったのか。
なんていうような、そういう…おそらくは悲劇的な物語なのでしょうね。
というか、幕末の剣士を取り上げる以上は、まず悲劇でしょうけれども。
でも、隠されている部分がどれほどのスケールなのか、まだ未知数なので、簡単に「こういうお話かな」なんていう風には括れない、そういう期待感があります。
簡単な悲劇では終わらない、そういう何かがあるようにも思うし。
それにしても。
これほど、今「幕末もの」を見るのがしっくり来るとは思いもしませんでした。
最近、アニメ感想などでテーマにしている「枠組みとその中身」ということでいうと、「歴史」という過去にあった枠組みは絶対に覆せないものなんですよね。
じゃあ、その「歴史」という枠組みの中で物語を作るということはどういうことになるか、というと。それはもう、その枠組みの中で、いかなる中身を生きたのか、という登場人物達の生き様そのものを見せていくものになっていくわけですね。
「ネギま!?」や「くじびきアンバランス」を見て、僕は「今、テレビから学園青春モノが流れてくることに必然を感じる」と思ったりしたのですが、昨今大きな変化発展を見せているインターネットコンテンツから「幕末モノ」が流れてくることにも、えらくしっくりくるものを感じます。
大きく国が変化した幕末。
その時代の物語に、妙にこう…現実感だったり共感だったりを、ものすごく素直に抱ける。
それは、今まさに、僕らが住んでいるこの国が大きな変化を向かえているということを、どこかで感じているからなのかもしれませんね。
幕末のように、何かが終わって何かが始まる、そんな時代をもしかして生きていたりして。
まぁ、そういう「時代の変化を感じているのかも」というようなものは「こじつけの感想」だったりするのかもしれないけど。
それはそれとして、やはり「格好いい男」というものを見たいんだな、とは思うんですよね。
理屈抜きで「うお。こりゃ格好いい」っていう。
耀次郎がこばこと紅丸を助けるところとか、無茶苦茶格好良くって、すっげぇ良かった。「助けるんだろうな」というのは見ていると簡単に予想はつくんだけど、その助け方がとにかく格好良い!
分かりやすさと格好良さ。
そういうものを、すごく見たかったんだなぁって、この作品を見て改めて気づかされましたね。
んー。なんだろう。
世の中格好いい男が少なすぎるっていうことなのか。
いや…なんだろうなぁ。
物語の中で、格好いい男がいなさすぎる、っていうことかな。
あぁ。そうか。「ヒーロー不在」っていうやつか。
じゃあ、ヒーローって何なんだろう?
やっぱり「なりたい自分」っていうことなんだろうなぁ。
そうか。きっと高橋監督は昔っからヒーロー像が一貫しているんでしょうね。それが見る時期によってしっくり来たり来なかったりするのかもしれない。
高橋監督が描くヒーローが、何故今しっくり来るのか。
そしてそもそもヒーローとは何なのか。
この作品を見ていく一つのテーマにもなりそうですよね。
…確か。
僕は冒頭で「手短に」と書いていた気がする。
いや、きっとこれくらいは僕にとっては手短なのでしょう…。
何はともあれ、この物語は娯楽としてとても素晴らしい作品になっているように感じます。
毎週格好いい男に痺れるっていうのは、美少女にハァハァするのと同じくらい、楽しく気持ちの良いものですね。
今日、第3話が公開ですね。
どんな展開を見せるのか。どんな格好良さを見せてくれるのか。
楽しみです!!
ではでは、またです!!
参照:「なぜアニメの感想を書くのか。どういったスタンスで書くのか。」
:「物語り人(ものがたりびと)」であること。…学習機会レポート2
:「物語作りの基礎。普遍的土台と誇張表現の調和により生まれる適度な感情移入…学習機会レポート」
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コメント
こんばんは。mementoです。
「いろはにほへと」は僕も視聴しています。ものすごくストレートな、悪い言い方をするなら”ベタ”なヒーロー像であり、ヒーロー物語ですよね。高橋監督はこの作品でその”ベタ”さをそのままに前面に押し出して、
「ベタのなにが悪い!」
と主張しているんじゃないか、と、そんな印象を僕は受けました。
この手のストレートなヒーロー物って、残念なことに、もう現代を舞台にしては描けないんですよね。描くとどこか滑稽な、リアリティのない、それこそベタなものになってしまう。だから、過去か未来か異世界の物語にするしかない(それでも失敗する場合もあるわけですが)。
司馬遼太郎の「坂の上の雲」だったか、明治時代になって十年もすると、もう士族の間にもいわゆるサムライ的な気質が薄れてしまっている、というようなことが書かれてあったと思うんですけど、それこそ、このアニメのOPナレーションで、
「男が男として…生きた最後の時代、幕末」
といっているのは、実際その通りだったのかもなあ、と思ったりします。
>物語の中で、格好いい男がいなさすぎる、っていうことかな。
これはねえ、本当に僕もそう思います。
ストレートなヒーローが今の時代受けない、あるいはリアルに感じられないっていうのは、子供や若い人たちにとって、ヒーローに象徴される、彼らが目標とする大人や社会というものが見出せないってことなのかな、とも思ったり。でもそれは非常に不幸なことですよね。つくり手にとっても。受け手にとっても。
せめてフィクションの中でくらい、格好いい男が格好よく活躍するところを見たい…というか、僕は本気でヒーロー物語には教育的効果があるって思ってますから。
だから「いろは」のベタベタなヒーローと、そのヒーローっぷりに、存分に酔わせてくださいよ高橋監督、という気持ちを持っております。
ああ、それにしても感想を手短に書くのが、お互いよほど苦手みたいですね。書けば書くほどキリがなくなるのでこの辺にしておきます。
それでは。
P.S.
ハルヒ読了いたしました(「憂鬱」だけですが)。そのうち、感想を書き込ませていただきますね。
投稿: memento | 2006年10月22日 (日) 01:38
mementoさん、こんにちは。コメントありがとうございます^^
「いろはにほへと」見てますか!!格好いいっすね!!
仰る通り、ストレートでベタなヒーローもので。「竜馬さん…」なんて台詞、言ってみてぇ!!とかって悶絶してしまいますよね。
>「ベタのなにが悪い!」
と主張しているんじゃないか、と、そんな印象を僕は受けました。
そうですよね。ベタに描くことに躊躇するような、どこかこまっしゃくれた意識に対して「勇気を持て!」と叩きつけるような、そういう潔さ、思い切りの良さがありますよね。
「ヒーローを描く」ということに関しては、主に作り手の方に勘違いとか考え違いがあるんだろうな、と感じます。
ペ・ヨンジュンが「イメージを大事にするためにバラエティーには出ない」と発言していたことを聞いたことがあったのですが、それは素晴らしいよな、と思ったことがありました。韓流ブームにはちゃんと理由があるよな、と思ったりしたもんでしたよ。
日本ではアイドルや役者やミュージシャンがバラエティーやらお笑いやらに出まくって、簡単に自分達の存在を軽くしているよな、と感じたりします。
変に「お茶の間」に合わせなくっていいのにって思うんですけどね。
その辺は漫画も一緒で、なにかっちゅうと「うだつのあがらない」主人公を作ろうとするんですよね。で、頑張ってそのうだつのあがらない状況から脱するサクセスを描こうってわけなんですが。それはそれでいいんですけど、そういうのじゃないと読者に届かないと思うんだとしたら、それは勘違いだよな、と思うんですよね。
もっと思い切って、「こういうのが格好いいんだ!」っていう男を積極的に生み出していく勇気や思い切りが、作り手には必要だよな、と感じます。
それはつまり、作り手自身が格好良く生きる信念とか大胆さが必要なんでしょうね。
その意味では高橋監督にはサムライの心意気を感じて痺れてしまう、ということかもしれませんよね。
是非、「フィルム」という刀を振りまくってもらって、たっぷり格好良さを堪能させていただきたいですよね。
>せめてフィクションの中でくらい、格好いい男が格好よく活躍するところを見たい…というか、僕は本気でヒーロー物語には教育的効果があるって思ってますから。
本当そうですよね。そういうことができるからこそのフィクションなんだし。
フィクションに限らず、海外の有名スポーツ選手なんかがチャリティに積極的なこととかも非常にいいことだと感じます。
現実の人間がヒーローとしてチャリティをするんだったら、フィクションのヒーローにはもっともっとすっごいことをさせることができるんだから。
やはり、作り手の想像力や…心意気、でしょうね。「この物語、この主人公、このヒーローを、受け手の心に届けたい」っていう。それが欠けているから、インスタントにヒーローを作ろうとしてしまうのでしょうね。
幕末を取り上げ、ヒーローを描こうとしてくれているこの作品。そして高橋監督。
どんなものを見せてくれて、何をこちらの心に届けてくれるのか、本当に楽しみですよね。
>ああ、それにしても感想を手短に書くのが、お互いよほど苦手みたいですね。
あはははは!(笑)いやも、これは仕方ないですね。「手短に」というのはお互い諦めましょう!もう、ベラベラと語りまくりましょうぜ!!
ハルヒも読み進んでいるようですね!!
感想楽しみにしていますね!!
「手短」禁止で、一つ^^
ではでは、またです!
投稿: だんち | 2006年10月22日 (日) 17:16