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2006年11月21日 (火)

絵の描き方が分かった!!

 こんにちは。だんちです。
 いや、やりましたよ!!やっと絵の描き方が分かりました!!
 言葉にすればそれは全然大したことじゃないんだろうけど。でも、自分的にはもう大発見ですよ!!
 今日、仕事の原稿の下書きをしていて気がついたことなんだけど。そのことをちょっとまとめてみようと思います。

Steady01
 
 
 
 
 
 
 
 この原稿では、両手を縛られた彼氏の股間に跨って素股をする女の子を描いております。
 この時心掛けたのは、「パーツを描くことに集中しよう」ということでした。

 つまり、「素股をする女の子」や「縛られた男」という「画」を意識するのではなく、全体のレイアウトをラフに決めたら、意識的に全体を見ないようにして、「腕なら腕」「尻なら尻」「顔なら顔」というように、個別のパーツを描くことだけに集中してみたんです。

 それを技術として言葉で表現するならば、「わざと視野を狭くして描く」というテクニックということになると思います。

 この描き方はいいですよ!疲れないし、なんていうか、「絵が描ける」んだよね。
 全然力まないでいいし。
 まぁ、上手く描けているかどうかは自分じゃ分からないことだけど。
 でも、この描き方は「早い」。
 確実に。

 漫画って、1ページに5コマくらいあって、それが16ページあったり20ページ、30ページあったりするから、すごく沢山絵を描かなければならないわけです。
 だから、下書きしてペン入れして仕上げをして、という全体を頭に入れて作業をしていると、正直すごく焦るしプレッシャーはあるし、疲れるんですよね。
 その焦りが絵の精度を落としてしまったり、上手く描けなくて結局遅くなったり。

 そこで、自分の意識を切り替えて、一コマ一コマどころか、一つ一つのパーツを描くことにだけ集中する、という「心理テクニック」を使うことが有効なのだと思います。

 いやぁ。
 やっと分かりましたよ!
 「絵の描き方」。
 丁寧に描く、なんていう漠然とした意識や目標はあったとしても、それが具体的にどういう技術なのかは、ずっと分からないでいたんだよね。
 やっと。ホントにやぁっと気づけたよぉ。
 ほえぇ…。

 ところで、このテクニックに気づく上で、いくつかきっかけがあって。
 一つは、昨日買ってきた「コミックスタジオプロ」を使って休憩時間に遊んでいた時のことで。
 「デジタルで絵を描くのは、勢いでできるものじゃなくて、一本一本の線を丁寧に引かないとちゃんとしたものにはならない。テクノロジーは『美味しいツール』っていうことじゃなくって、それを使いこなすためには、しっかりした技術が必要なんだな」
 と思ったんですね。

 そこで、「絵は結局、丁寧に描かないとダメだな(少なくとも自分は)」と思ったわけです。

 もう一つ。実は重要なきっかけになったのが、文春文庫の増島みどりさんの著書「6月の軌跡~‘98フランスW杯日本代表39人全証言」です。
 これはタイトルからして分かる通り、サッカーの本で、フランスW杯の時の選手やスタッフのインタビュー集なんですね。
 僕はサッカー関係の本から仕事をする上でのヒントを見つけることが多いのですが、この本にもそれがあって。
 それは、城彰二のインタビューに出てくるリトバルスキーの言葉。
 曰く、「ディフェンスをするなら、相手の足も体も見なくていい。ボールだけを集中して見るテクニックを身につけるんだ」。
 W杯に出場した城はその言葉を思い出し、「こっちは無我夢中で、あちこち注意しているし、結局目線が安定してない…情報が入りすぎてる状態…集中っていうと、心の問題みたいに思っていたけど、必ずしもそうではない…ボールだけ見て判断できるテクニックは、自分たちにはなかった…」ということを言っています(今回のテーマにとってヒントになる部分だけを抜き出しています)。

 W杯という舞台で、ボールだけを見る、というテクニックの話はとても面白く、初めてこの本を読んだ時からすごく気に入って、ここの件は何度も何度も読み返したりしていました。
 僕なりに、リティの言っていることは「意識的に視野を狭くすることで目的を遂行する」ということなんだろうな、と思っていました。それは、生きていく上でも非常に参考になる話だと思うし、ずっと心に留めていたんですね。
 僕が作るキャラクターも、視野が広いタイプではなく、狭く、何かに集中しているタイプが多いようにも思います。このブログで書いている小説の「いつまでも、どこまでも」の香織なんかも、無茶苦茶視野が狭くて、それによって心の充実を得ている、そういう子だったりします。

 でも、そのことが直接絵を描く技術に繋がることは、今まではなくって。

 やはり、意識的に視野を狭くするには、漫画のコマ数のプレッシャーに対して、自分の心理がまだまだ負けていたということなのでしょうね。
 様々なヒントを得てきていても、練習を続けてきていても、絵に対して、絵の描き方に対しての悩みや迷いはずっと深いままでした。

 そんな時に買ってきた「コミックスタジオ」。
 新しいツールを使い、これから今までのアナログ作業ではなく、仕事の上でもデジタルに移行しようと目論むからには、一から技術を習得しなければならない。
 その新鮮さが、開き直りを与えてくれたようです。

 そこで改めて仕事に向かった時に思い出したのが、リティの言葉と城の言葉。そして「意識的に視野を狭くすることで目的を遂行する」というテクニック。
 「デジタルに移行していくには、アナログでも一つ一つの絵を丁寧に描く癖をつけた方がいいのかも。じゃあ、意識的に視野を狭くして、パーツパーツに集中して描いてみよう」
 と、思いついてみたわけです。
 そして、それを実践してみたらば。
 こりゃ、いける!
 と手応えを掴んだ。というわけでございます。

 小学4年生くらいの頃から落書きを始めて絵を描き始めて。高校生の時に初めて漫画を描いてみて。
 大学生の時にデビューして。
 けっこう、長いこと絵を描いていたつもりですが。
 絵の全体像を意識から消して、パーツにだけ集中する。
 という描き方には、ずっと気づけませんでした。
 いやー…。いろいろ技術書とかを注意して読んだりしていたら違ったのかもしれませんが。
 でもまぁ、独学で描き続けてきても、こういったことに気づけるわけですから。重要なのは学習意欲ということになるのかもしれませんね。自分で言ってなんですが。
 とはいえ。実際、「上手くなりたい!」って本気で思うようになったのって、けっこう最近なんですよね…。若い頃は傲慢だったし、向上心が低かったってことですかね。とほほ…。

 何はともあれ、これからも学習意欲を大いに持って、頑張って漫画を描いていきますぜ!
 なんだか興奮してうっほうほと書き綴ってきましたが。
 ちゃんと分かる文章になっているかしら?
 書いていること自体は実にシンプルだったりするとは思うんだけど。
 でも、気づいたことだから、べらべらと語りたいってわけよ。すんません。

 自分の周りだけなのかもしれませんが。
 漫画を描いている人は、明確な技術が確立されていない中で、それぞれ悩んだり苦しんだりしているように感じています。
 こうやって、僕なんかが気づいたことでも、何かしら参考になったりすれば、嬉しいなぁと思います。

 それに。僕はサッカー選手の言葉からこういったことに気づけたわけですから、その意味では、漫画を描かない人にとっても、何らかのヒントになったりしたら、すごく嬉しいです。

 ってな、偉そうなことを言うなら、とっとと漫画を描けってなことでございますね。
 そろそろ仕事に戻ります。
 楽しく描けそうですよ!

 ではでは、またです!

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