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2007年3月 8日 (木)

「ロケットガール」第3話を見た。

 こんばんはだんちです。
 WOWOWにて「ロケットガール」第3話を見ましたので感想を書きたいと思います。
 原作は未読。アニメーション作品として楽しみつつ、中瀬理香さんのシリーズ構成作品として、物語構成の技術について学んでいく視点で視聴しています。

 アニメーションシリーズを3話まで見て感じることとして、この作品はゆかりというヒロインの軸とロケット打ち上げの軸という、物語上の明確な軸があることから、シンプルな物語である、というものがあります。
 しかし、シンプルな物語ではあるけれども、ディテールがとても細かい。
 それはロケットに関してだけでなく…というよりも、主にキャラクターの方に見られます。登場人物の数も多いし、それぞれのキャラクターのディテールがとても細かいものだと感じます。
 その、人物一人一人のディテールを細かく見せてくることで、ドラマとしての厚みをしっかりと持たせ、シンプルな物語を血肉の通ったものにしていく意図があるように思います。

 その手法は。
 物語を作ったことのある人なら分かるでしょうけども、実はとても大変な作り方です。
 地味だけど、根気と丁寧さが必要です。
 そして、そのディテールを決まった尺の中に収めて提示し、なおかつ面白いものにするのは、相当に困難な作業となります。

 その観点からすると、第1話の「説明」と「面白さ」の融合は中瀬さんの実力が存分に発揮された傑作で、第2話は「説明」を消化することで「面白さ」に関しては及第点で精一杯だったように思います。
 ただその第2話の精一杯は、序盤でしっかりディテールを消化しておかないと、中盤からラストに向けての盛り上がりが中途半端になってしまうという判断からの「説明過多」だったのだろうな、と感じます。

 そして今回の第3話。
 今回も「ディテールの消化」という課題と、その分量に関するノルマがあったのだと感じますし、その情報量はやはり多いものでした。
 名前をちゃんと確認していないのですが、今回の脚本を担当したのは第2話の時と同じ脚本家の方だったように思います。第2話で相当の情報を出しておいたことで、今回はかなり上手くまとめていたように感じます。いい脚本でした。
 今回やっとエンディングが入ったことで、消化すべき情報、ディテールはかなりこなしたということが分かります。
 木下を使い、「夢がある」という初期衝動を個人のこととして提示しつつ、「ここの連中は」と括ることで、SSAの無茶苦茶をする面々の心の根底にあるものが一気に説明される。
 それがあるから、「ゆかり君達にはナイショだ!」という那須田のことも、勝手に燃料に異物を混入させる三原のことも見ているこちらに「なぜそうするのか」のところが伝わるようになる。

 那須田と木下がそれぞれ蕎麦をすすっているところなんかも、非常にいい演出でしたね。木下は那須田に何も言わないんだけど、一緒になって蕎麦をすすっているところで、「男達の夢の共有」が感じられるんですね。
 そのシーンではさつきがゆかりのメンタルに関して分析していましたが、そこも説明として上手く使われていましたね。
 また食堂のシーンなんかでも、ゆかりが常識的にちゃんとした言葉遣いをしたり、強面のオッサンに叱られてビビったり。マツリにほっぺを舐められて戸惑ったり。ゆかりの持つ常識、世界観が丁寧に表現されていました。
 そういう常識的な子だからこそ、プレッシャーと義妹に対する嫉妬でつい投げ出してしまう。
 でも、それは本気ではないし、本当は後ろめたい。
 本当は、目的に向かっていく動機が欲しい。そういうものがあったのでしょうね。

 そこで、夢を語る木下。
 心を動かされ、本気になろうとするゆかり。

 ここはやはり重要だよなぁと感じます。
 ゆかりは、木下のような年代の男、つまり父親的存在にちゃんと向き合ってもらったことがないんですよね。だから、木下が近付いてきた時に「怒られる!」と怖がっていたところも、木下個人に対する恐怖心でもあるんだろうけど、もっと「お父さんに怒られる!」というようなニュアンスのものがあったのではないか、と感じられます。

 僕はこのシリーズのテーマとして「親と子供」「大人と子供」というものがあると思って視聴しているので、そう感じるのでしょうけど。ゆかりが投げ出したことの理由として、非常に子供っぽい「ちゃんと自分を見て欲しい」という、そういう欲求、特に妹ができた長女らしい「自分のことも愛してよ。可愛がってよ」というような、そういう衝動があったように思えるんですね。
 ゆかりにとって、木下が自身の夢と挫折を自分に語ってくれたことは、おそらくは初めてといっていいくらい、「お父さん年代の男性」が自分に向き合ってくれたことだったのだろうし、だからこそ、はっきりと心を動かされたのだろうと感じます。

 僕は、この物語は「ゆかりがお父さんを探す話」として捉えているわけですが、それは実際のお父さんだけのことでなく「お父さん的存在」を求める物語だと思っています。
 もっと大きく括ると、「子供として大人を求める」、つまりは「人間として大事なものを見つける」そんな話なんではないだろうか、そんなシンプルかつ重要なメッセージを投げかけてくる、そんな作品なんではないだろうか、と思うんですね。

 夢ばかりを追いかけ、自分勝手な大人達。
 利用され現実の中で苦しめられる子供。

 その構図はありつつも。
 子供に向き合う大人。
 大人を求める子供。

 そこでどんなドラマが描かれるのか。
 地味に丁寧に、ディテールを積み重ねてきて。
 そしておそらくは更なるディテールが積み重ねられていく。
 だけど、情報の説明はそろそろ終わり、本格的にドラマが動いてくる中でのディテール描写になっていくのでしょうね。

 シンプルだけど、実は大変困難な作業をもって物語作りがなされているこの作品。
 序盤で感じられるのは、中盤から終盤への盛り上がり。
 積み重ねが生み出す構成の妙が楽しめるのではないか、と期待が高まってまいります。

 それにしても。
 「説明」と「面白さ」の融合は、本当に難しいテーマですよね。バランスをどう取っていくべきなのか。
 台詞の選び方、演技のつけ方、演出…。
 やっぱり、ディテール、ということになるのでしょうね。
 今回のゆかりじゃないけど、そこを投げ出したら終わってしまう、というところですね。
 第1話の感想で、「作品を作っていく前提にあるものは姿勢」ということを書きましたが、結局はそこに尽きるのかもしれませんね。
 テーマとして訴えたいものだったり、又は仕事上の野心だったり。いろいろあったとしても、結局は「手を抜かないでやる」という姿勢に帰結していくのかもしれません。その辺りのことは、SSAの面々の描写に反映されていくところかもしれませんね。そこにはやはり、普遍的なテーマが感じられます。

 そういう「姿勢」を持って構成され描写されているように感じるこの作品。
 物語を作る一人の人間として、勉強させてもらいつつ、心から応援したくなります。
 是非スタッフの皆様には、「志」や「姿勢」を破綻させることなく、作品作りを全力で全うして欲しいものです!!

 物語の今後を楽しみにしつつ、感想を終わります。
 ではでは、またです!

 参照:「なぜアニメの感想を書くのか。どういったスタンスで書くのか。」
    :「物語り人(ものがたりびと)」であること。…学習機会レポート2
    :「物語作りの基礎。普遍的土台と誇張表現の調和により生まれる適度な感情移入…学習機会レポート」

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