涼宮ハルヒ二次創作小説三題噺、山崎しんのすけさん作「デパートを出よう!」最終回。
こんばんは、だんちです。
やっと、口絵と挿絵を描くことができましたので、涼宮ハルヒ二次創作小説三題噺、山崎しんのすけさん作「デパートを出よう!」の最終回をアップいたします!
お題は「コンドーム」「首輪」「マイケル・ジャクソン」。
この三つのキーワードを作中に必ず使わなければいけないという、落語でいうところの「三題噺」方式となっています。前回までにすべてのキーワードが出揃い、いよいよお話は佳境でございます!
この難題に果敢に挑み、スラップスティックかつ瑞々しさのある、素晴らしい二次創作小説に見事仕立て上げた山崎しんのすけさんの小説は、ホームページに沢山アップされております。同人誌の通信販売もございます。サンプルも読めますよ!
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ハルヒは身を翻し、反対側のエスカレーターに飛び乗るとそれでも飽きたらず人の間を縫うように駈け降りはじめた。
「ハルヒ!」
「あんたはあとから来なさい!」
すでに下のフロアにたどり着いていたハルヒは俺を指さしそう叫ぶと高田馬場を探す中山安兵衛みたいに大げさに辺りを見回し、何かを発見したらしくすぐに走り去った。俺を一人にするなハルヒ。って何度も言うがロマンチックな意味は全くないんだが。
もちろん俺はハルヒみたいに他人の迷惑を顧みず対向レーンに移動するようなことをする気はなく、おとなしくエスカレーターが上の階まで行くのを待ってから降りた。
すでに遠くの方にはちらほら紙人形が発生していたが、俺は頭がグラグラ揺れているような気分であり正直そんな些末事は気にならなかった。
ハルヒという女は異常にカンが鋭いところがあるかと思うとどう考えてもおかしいことをスカっと納得してしまったりもする。古泉(本物)に言わせればそれはハルヒが本来持っている常識人の部分が作用しているのであり、つまり現実の枠内に物事を当てはめて解釈してしまっているというわけだ。本当かどうかはわからないが、もしそれが事実ならこんなにありがたいことはないと、俺は考えていた。
何故って、さっき滑り降りてきた白スーツに帽子のにわかマイケル・ジャクソンは、俺にはどう見たって長門有希にしか見えなかったからだ。
ハルヒがアレを長門だと認識したらどうなるんだ。ひょっとしたら、有希あんた何やってんの、で済むかもしれないし、一気に情報爆発(だっけ?)まで持って行かれるかもしれない。約四年前にも一回あったそうだから今度起きたらセカンドインパクトだな。確変に突入するかも知れん。
俺は上フロアに着くなり反対側の下りエスカレーターまで走った。すでにデパートの人混みは紙人形の見本市を――そんな物があるとすればだが――思わせる状態になり果てていたが、今の俺にそんなことを斟酌する余裕はない。思ったんだが、本当にヤバいことに直面すると多少のことは気にならなくなるもんだ。
もちろんエスカレーターの上も紙人形で埋まっている。ある意味壮観だ。なんとなく不思議の国のアリスに出てきたカードの国の兵隊みたいに見えなくもない。ハルヒの横暴さ加減ならハートの女王ともいい勝負できるだろう。
ところで、休日のデパートのエスカレーターには早く進みたい人のためにスペースを空けておく、などという美徳は当然のことながら存在しておらず、かといってハルヒのごとくわずかな隙間を押し通る体力と蛮勇を持ち合わせていない俺にとっては大変ストレスのたまる状況だ。
こういうときには野生動物のようにひたすらチャンスを待つのだ、と言えば聞こえがいいが要するに下を向いて何も考えないに限る、ということだ。俺の得意技だな。肉体と精神を弛緩させておけば時間は勝手に過ぎていく。でも時間は過ぎないのか今は。ややこしいな。
突然、俺が眺めていたエスカレーターの床面、横幅30センチくらいの部分がカパ、と開いてよりにもよって一番見たくない顔が現れた。
「お急ぎなのですか」隙間から顔をのぞかせたニセ古泉はまるで本物みたいにいつも通りの通販チラシの男性下着モデルみたいな根拠のないスカスカした笑みを浮かべて言った。「お手伝いいたしましょうか」
間に合ってるよ。
「まあそうおっしゃらず」
俺が座り込んでいた床がバネでも入っていたみたいにぼん、と跳ねた。
つまり俺の体もはじき飛ばされた。
本来ならエスカレーターの人混みの上に落ちれば大惨事になるはずだが俺の眼下に見えるのは人混みではなく平面のオブジェクトが延々と整然と並んでいる光景である。
あの上に落ちるのか。
アドレナリンが壊れた蛇口から水が溢れるごとき勢いでドバダバドバダバドバダバと分泌された。
時間感覚の変調。
認識力の異常。。
社会科の教科書に載っていたLSDで幻覚を見ている奴の描いた自画像みたいに末端の感覚だけが果てしなく肥大し香港映画のスローモーションみたいに眼下の光景がゆっくりくっきり見えた。
今しも俺の真下では俺の母親よりも一回り二回り年齢が上とおぼしきオバチャンが――もちろん平面化しているが――雑談にふけっている最中だ。
オバチャンが大口をあげて笑う。平面のくせに。光る金歯。三本。
片割れのオバチャンが年期物のハンドバッグを開いてアメを取り出した。それにしてもなんでこの辺のオバチャンはいつでもどこでもアメを持っているのだ。俺は知っているぞ。アレは確か【アメちゃん】と呼ばれているのだ。【阿部ちゃん】と似てるな。似てないか。
どうでもいい馬鹿なフレーズが次々と俺の頭の中に浮かぶ間にもオバチャンの頭の奈良の大仏みたいなカチカチのパーマの髪の毛の一本一本が平面写真に拡大されていてほんの一瞬の間のことのはずなのに果てしなく緩慢としか思えないペースで近づいてきて俺はその上に落ち――
そしてオバチャンはまるでプラスチックで出来ている板みたいに乾いた音を立てて倒れた。
からからからからからからからからからからからからからからからからからからからからからからからからからからからからからからからからからからからからからからからからからからからからからから。
大仏パーマのオバチャンもせっかくの休日に荷物持ちに駆り出されたオッサンもズボンを半分ズリ落とした柄の悪い兄ちゃんも仰天するようなミニスカにジャラジャラと金ぴかのアクセサリーをぶら下げた姉ちゃんも風船片手の子供もみんな改編期にスペシャル番組で放映されるドミノ倒しみたいな軽快な音とともに倒れ、俺はその上に乗って猛スピードで運ばれているのだった。
これはひょっとして何ヶ月も報道のネタになるような大惨事なんじゃないかと気になった俺は後ろに目をやったが、倒れた連中は何か気の利いたギミックでも仕掛けてあるみたいに次々と起き上がり何事もなかったように笑ったり泣いたり愚痴をこぼしたり疲れたりしている。俺のことなんか誰も見ちゃいない。
悪夢以下の光景だ。
あの灰色空間さえほんの一瞬の間だが懐かしく思えてしまうような。
下フロアが迫る。
人だかパネルだかドミノだかの流れも当然くるりと回って180度逆を向き再び下りエスカレーターに乗っている。俺の運動ベクトルは直進方向でありそれは平たく言えばあさっての方向だ。やめろやめろやめろやめろ。
というわけで俺の体は再び御都合主義的に自分の仕事を思い出した物理法則に従ってドミノの列から放り出された。
数メートルは飛んだ俺の体は、ゴミを満載したカートに尻餅をつくような体勢で突っ込んだ。
カートはまるでローラースケートみたいな気安さでたちまち走り出した。
速い。
速い。
ケツの下にエンジンが仕込んであるんじゃないかって言うくらい速い。
なのに買い物客はまるで俺の乗ったカートが見えていないみたいに平然と歩いている。平面なのに平然。シャレじゃないぞ。というよりもシャレにならない。鼻先三寸を見えないような速さで柱が通り過ぎる。俺が通り過ぎてるのか。このまま走ってどこに行く。道は車に聞いてくれ。店内キャノンボールならぬナックルボール状態だ。ちなみにナックルボールを投げすぎると普通のボールが投げられなくなるのを君は知っているか。もっとも俺はそんなことは知らなくてもいいから1分後に生きていられるのかどうかを知りたいわけだが!俺は生き延びることが出来るか!
カートはどこをどう通ったのかそもそもちゃんと曲がった記憶もろくにないわけだがあろうことかおもちゃ売り場に突入していた。おもちゃ売り場。
子供!危ないぞ!
俺はふらふらと歩いている(もちろん平面な)子供に向かって危ない危ないどけどけと人目もはばからずにでかい声で怒鳴ったが子供は意に介さない。聞こえてないのか。
衝突する。
駄目か。
こらえきれず目を閉じた俺の耳に、ぱちんぶるるるるるるるるん、という明らかにおかしい効果音が届いた。
後ろを見ると、衝突したはずの子供はパチンコの風車よろしくまるで足の下に軸が付いているようにぐるぐるぐるぐる回っているのだった。
それで済むのか。もうなんでもありなのか。そういう世界なのか。
ふざけるのもいい加減にしろ。
インチキ閉鎖空間も阪中の犬もハルヒの思惑も知ったことか。俺は帰るぞ。ここを出て帰るぞ。なんもかんも放り出して帰るぞ。まずはこのカートを降りて――
とか考えて前を向いたとき初めて俺は、目前に家庭用のすべり台が迫っていたことに気づいた。
カートごと空を飛んだんだったらスピルバーグの映画みたいでいい絵になったんだろうが、空を飛んだのは俺の体だけだった。
すべり台のそばに、運動エネルギーをすべて俺に伝え終わって横たわるカートの姿が見えた。まるですべてを俺に託したかのようであった。託すなよ。頼んでねえよ。
体が回る。くるくる回る。頭から落ちるのか。頭から落ちてハンプティ・ダンプティみたいにグチャッと潰れるのか。死ぬ。今度こそ死ぬ。死ぬ前にせめて朝比奈さんの麗しいバニー姿を思い出しておこうとしたが、俺が思い出すべきなのは朝比奈さん(小)の方なのか朝比奈さん(大)の方なのか混乱して俺は両方のイメージを見失い何もなくなった脳内空間に何故か球技大会で豪快なバックアタックを決めるハルヒの姿が割り込んできて、体操着がめくれて見えた形のいいヘソに不覚にも一瞬見とれてしまった俺を咎めるようにそのスパイクが俺の顔面を直撃したと思ったらそれは錯覚であり俺は全身を分厚い布に絡め取られていた。
そのまま滑り落ちた俺は及び腰ながらもどうにか床の上に立った。
布はどうやら、カーテンとか暗幕とかそういうたぐいの物であるらしかった。布によって店内照明を遮断されたこの一帯は闇に包まれていた。
たくさんの人の気配があった。みんな紙人形っぽかったが暗くてよくわからない。
ここはいったいどこだ?
突然スポットライトが床の一点を照らし出した。
闇の中から白いスーツの姿がするすると流れるようなムーンウォークで姿を現し、スポットの中央でぴたりと停まると、人差し指で帽子をちょっと上げて顔を見せた。
「……ふー」
その、気のなさそうな長門の声を合図に、一帯に本当にデパートの中なのかというような大音響で「ビリー・ジーン」が流れだした。
5色のスポット(待て)が踊り、ミラーボール(笑)が回り、周辺の紙人形軍団が一斉に踊り出す。昔のテレビ番組でこんなのがあったというのを聞いたような気がする。
そういえばダンスコンテストとか訳のわからないことを言っていたな。にしても21世紀だってのにこの選曲はないだろう。俺の親父の大学時代の曲だ。センスを疑うぜ。責任者出てこい。
そんな俺のツッコミを知ってか知らずか長門はくるくると綺麗なスピンターンを決めて俺の前に立つと、唇が触れあわんばかりに顔を近づけて囁いた。
「……あなたも、踊るべき」
踊れるか。俺を誰だと思ってるんだ。おまえも長門のコピーならそのくらいわかるだろう。
「……わたしの存在の真偽を証明することはこの空間の性質上不可能。しかし、あなたに必要な情報を転送することは可能」
なんだって?
「情報の転送を開始する」
床がチカチカと光り始めた。
「これは、補助情報」
突然、俺の頭の中に見たことも聞いたこともないイメージが流れはじめた。
文字でも、言語でも、音楽でもない。
あえて形にするならば、
→ ← →
← ↓ ←
↑ ↓ ↓
↑ ↑ ↓
→ → ←
← → →
← ← ←
↑ ← →
↑ ↓ ↓
← ↑ ↑
→ ← ↓
こんな感じだ。何のことだかわからないだろう。安心しろ。俺にもさっぱりわからん。
わからんが、こいつは発光する床と合わせていつぞやの長門の呪文みたいな効果を発揮するものであるらしく、俺の肉体の制御情報をハッキングして(たぶん)絶対的な強制力で俺の体を動かすのである。
つまり体が勝手に踊り出すのだ。
俺の自由意志はない。
「はぐぁあああああっ」
もちろん、ステージでは俺の悲鳴なんか誰にも聞こえない。
ニセ長門は自分もくるくると踊りながらさらに情報を送ってよこす。
← → ↑
→ ← ↓
← ← ↓
→ ← ↑
↓ ↓ ↓
↓ ↓ ↑
↓ ↑ →
↓ ↓ ←
↓ → ↑
→ ↓ ←
→ → →
← ← ←
踊る。踊る。
謎の矢印と光に導かれ、俺はひたすら踊る。
首筋は痛み肩は抜けそうになり腹筋は6つどころか108つに割れそうだし足の筋肉はどこがこむら返りを起こしていてどこがまだ生き残っているのかわからないくらいだし背筋もガクガク言ってるし赤い靴履いてた女の子はこんな気分なのだったのかなあとか思ったしそりゃあひい爺さんにでも連れられて行っちゃいそうだってそれ歌詞違うから、などとツッコミをする暇もなく俺は踊り続けるしかないのだった。
光が見え始めた。
脳内麻薬が出始めたのだろうか。
涅槃が見えそうな中で俺は謎言語の命じるままに32分と24分で片足ずつ別々にシンコペーションを刻む複雑きわまりないステップを踏み、長門がぴゅっ、と帽子を投げたところで曲が終わり、ステージが暗転し、俺の意識も同様に暗転した。
ぺしぺしと頬を叩かれて目が覚めた。
俺はエスカレーターの横のベンチに横たわっていた。
イベントスペースのステージやらスポットやらはどうやらもう撤収されたようだった。
呆れ顔で俺を見下ろしていたのは涼宮ハルヒである。
「ったく、なんでいつもいつもあたしがあんたを起こさなきゃならないのよ」
合宿の船の中で俺を起こしたのは朝比奈さんだろう。
「あたしが指示したんだからあたしが起こしたのと同じよ」
はて、確かにこいつに起こされたこともあるが、ハルヒはアレを夢としか認識してないはずなんだがな。まあ、この件でツッコんで墓穴を掘るのはよしにしておこう。
「たまにはあんたがあたしを起こしなさいよね」
……おまえ、そのセリフは聞きようによっては誤解を招くぞ。
「あんたはエッチなことばっかり考えてるからそう思うのよ。それよりこれを見なさい」
ハルヒは【粗品】と書かれた袋を俺に差し出した。開いてみると、なかには黒い皮の輪っかが入っていた。鋲とか鎖とか、時代錯誤な感じのモチーフが大量に使われている。留め金は複数の穴と組み合わせてサイズを調整できるようになってる。なんだこりゃ。時計のバンドか?
「ブレスレットですって。あんたの賞品。ブービー賞ってのが気に入らないけど、それにしてもなんでダンスコンテストなんかに出ようと思ったの?バカじゃないの?」
……成り行きでな。
「まあいいわ。おかげで懸案事項が解決できそうだし、優勝できなかった件は大目に見てあげる」
どういうことだ。
「これ、ジャン・ジャックの首輪にするのにサイズがぴったりなのよ。ほら。ここの鎖にリード付けられるし」
俺は、のろのろと左腕を持ち上げて時計を見た。
「まあデザイン的にはそんなに面白くないけど、あんたのブービーを話のネタにするのとコミで、この辺で妥協しておくことにするわ。すぐにラッピングコーナーに行ってプレゼント用に梱包してもらいなさい」
俺の時計が確かならば。
ペットコーナーを出てから1時間37分が経過していた。
自動ドアが開いた。
外の風はあいかわらず冷たかったし、人混みもやっぱりすごかったし、身体中の関節と筋肉は悲鳴を上げていたが、俺は晴れ晴れとした気分で深呼吸をした。
「でも、ダンスも面白いわね。今度の映画にダンスシーンを入れようかしら」
バカも休み休み言え。
「だって、あれくらい踊れればあんたもバックダンサーくらい出来るでしょ。まあもう少し鍛えるにしてもさ」
……見てたのか?
「当たり前じゃない。あんたのそばで踊ってたまんまビリー・ジーンの奴メチャメチャ上手かったのになんで何ももらってないのかしら。あれ女の子よね。あんた、顔見た?」
……少なくとも、俺の知ってる奴じゃなかったな。
「ふーん。まあいいわ。スカウトしようと思ってたけど、みくるちゃんがわたわたしながら踊る方がコンセプト的には合ってるわよね。他にも今回はいろいろ考えてるネタがあるのよ。例えば、……あ!あれ何かしら!」
ハルヒは何かに興味を惹かれた様子で突然走り出した。
俺は追いかけずにしばらく立ち止まり、周りの人間が紙人形になってしまわないかを確認してから、痛む足を引きずり引きずり、ハルヒを追って歩き始めた。
【終わり】
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以上、これにて完結です!
ここまで読んで下さって、ありがとうございました!
元々はただの冗談で言ってみただけの「三題噺」だったわけですが、お読みいただいたように、山崎しんのすけさん、本気で書いて下さいました。
これだけの楽しい二次創作小説を楽しませていただいて、そしてそれをこうやって皆さんにも読んでいただけて、本当に嬉しいです!
山崎しんのすけさん、お疲れ様でした!そしてありがとうございました!!
これからも、是非また面白いお話を読ませて下さいね!
さすがに、これだけのお話を書いていただいて、適当な挿絵を描くわけにもいかず、自然こちらも気合が入ってしまうわけですが。その分、準備が遅くなってしまって、間が空いてしまってすいませんでした。
それでも、口絵と挿絵が少しでもお話を盛り立てる役割を果たしていたら本望でございます。
今回、口絵一枚と挿絵は二枚。
口絵はなるべくエロい感じにしたいというか、思わせ振りにしたかったので、今回はこのシーンを単独で選んでみました。
マイケル長門は、ポーズは山崎さんからの指定を受けつつ、可愛く見えるようにアレンジを加えてみて。
長門はちっちゃいから、白スーツがぶかっとしている感じにしたかったんですね。サイズの合っていない服を着ている長門というのは、可愛いだろうなぁって。
だけど、露出度が減ってしまうのは残念だなぁと思っていて。
それで、そうだ、ジャケットの下は丈の短いキャミソールにしよう!と思い立ち。腹だ!へそを露出するんだ!!と考えたわけです。
どんな絵でも肌の露出を忘れない。
それがこだわり。
ってわけでもないんだけど。
女の子を描くなら、なるべく肌を出したくって。
で。そうなると。パンツもぶかっとしているともったいないなぁと思って。せっかくのお腹があんまり露出できなるなっちゃうんですよね。なので、パンツはサイズが合っていて、なおかつローライズにしてみました(…つもりだったんだけど、ノーマルなパンツにしか見えませんね。何気にローライズ描くのって難しいですね)。
スリムなシルエットのパンツで、お尻から脚のラインもなるべく見えるように、と。でも、ちょっと子供体型というか、ユニセクシャルな感じなので、少し少年っぽい下半身のラインになってて。それもまた萌えかもしれない(でも、もっとピッチリしたラインにできたら良かったかな…)。
可愛く、いい感じになっているといいんですが。
まぁでも、描いた本人はかなり満足しました。楽しく描きましたー。
そして、ラストの挿絵。
これはもう、最初に読ませていただいた時から、このシーンは絶対描くぜ!と思っておりました。
その思いが強すぎたのか、苦戦しましたね…。
ハルヒがキョンを覗き込んでいるようにする体勢が思いの他難しくて。
最初、ハルヒの顔が遠すぎるなぁと思って、顔の位置を修正したら今度は首が長くなっちゃって上半身とのバランスが悪くなって。上半身を直したらなんだかえらく肩幅が広くなっちゃって。
何度も何度も修正しているうちに、ハルヒのバランスが取れてきた、と思ったら、最初に描いたキョンの頭がでかくて。それも何度も何度も直して。
イメージははっきりしているのに、それに近づけるのにえらく苦労しました。
でも、そこがはっきりしているから、迷ったり悩んだりはなかったので、「描けない!」という苦労とは違いましたね。
最終的に、少しはいい感じに描けたんじゃないかな、と思うので、自分的には満足しております。
人様が書いた小説の挿絵を描く、というのは初めての経験で、非常に勉強になりましたし、楽しかったです。
どうやったら喜んでもらえる画になるか、内容に興味を持ってもらえる画になるか、を考えるのはとてもやりがいがありました。
それが上手くいっているかどうかは、自分では分からないことですが。
でも、自分がどちらかというとサッカーでいうところの「ストライカー」よりは「アシスト」気質の人間なんだな、ということも改めて分かったように思いますし。
とても意義ある経験でした。
僕は漫画描きで、絵描きではないんですが(似ているけど、かなり違うんですね)、また機会があったら、こうやって小説の挿絵なんかも描いてみたいなぁと思ったりしました。
さて。
「デパートを出よう!」がついに完結しましたので、次は「SweetHome」ですね。
ネームだけは、70ページまでできているのですが、そんな一気に描けるわけもないので、ちょっとずつ進めていって、近いうちにアップできるように頑張って描きますね!
でも、70ページでも完結してなかったり。
こりゃ、80越えるかな…。
仕事して、夏コミの準備して。
忙しくなりますが、やりたいことはいっぱいあるので、これからもいろいろと描いていきたいと思います。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします!
ではでは、またです!
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コメント
こんばんわ。山崎しんのすけです。
お疲れ様っした!(ちょっと「おお振り」風に)
いやはや。有難いことでございます。長門も団長もとても素敵です。長門シャツ短っ!だがそれがいい!きっと統合思念体も喜びます!団長はなんか神々しいです!そりゃキョンも赤面するわ!読者の皆様には是非よぉーくこのイラストを見ていただきたいですね。だんちさんのナイス補完が光ってます。本当はオレが書かなきゃいけないんですけどね!
頭が下がります。ぺこぺこ。不二家。
長門マイケルっていうのはかなり早い段階で考えていたんですが、当初はデパートに来ている二人を残りの三人が覗きに来てニヤニヤしているだけの話でして、当然こんな大きいネタはなく、キョンに「長門おまえ何やってるんだ」って聞かれて「ワタシは通りすがりのマイケル・ジャクソン。ふー」って言い残してムーンウォークでサーッと掃ける、っていう感じだったんですが。いつものことですが何でこうなるんだろう(^^;
で、いよいよ「SweetHome」の続きですね!楽しみ楽しみ。
それではまた。
投稿: 山崎しんのすけ | 2007年6月 6日 (水) 00:19
山崎しんのすけさん、あーっす!(「おお振り」風あいさつ)
改めましてこんばんは^^
いやー、時間かかっちゃってすいませんでした^^;
そして、こんな無理難題に挑んで下さって、ありがとうございました!
挿絵を描いて公開させていただくことが、とても楽しく勉強になり、刺激をいっぱい受けました^^
また機会がありましたら何か描かせて下さいね!
長門もハルヒも喜んでいただけて嬉しいです。
長門のへそ出しは僕の存在意義ということで^^
ラスト挿絵、神々しいとか仰っていただけて、報われます。
やはり、最後の挿絵だし、見せ場だし。小説にある「穏やかにすごくいい雰囲気」をなんとか画にしたくって、けっこう頑張ったっすよ!
補完は、その小説の雰囲気から自然と出てきました。
衣装を設定することで、こういう小ネタも出てくるんだな、ということがまた勉強にもなりました^^
>「ワタシは通りすがりのマイケル・ジャクソン。ふー」って言い残してムーンウォークでサーッと掃ける、っていう
あはははは!!それもそれで読みたいですね^^
マイケル長門いいっすよ。可愛いですよね。楽しく描かせていただきました!
ネタが膨らんでしまうのは、やはり愛情っすよ^^
長門もそうですが、なんだかんだで古泉が活き活きと書かれていたりして、団員全員を等しく愛していらっしゃる様子が感じられますぜ!
そして、今何やら新ネタに取り掛かっていらっしゃるとのこと。どんなお話になるのか楽しみです!
僕もあれこれ描いて楽しんでいきたいと思っています。お互い頑張りましょうね^^
ではでは、またです!
投稿: だんち | 2007年6月 7日 (木) 21:56
こんばんは。尾鈴明臣です。
ついに完結! 楽しませていただきました^^
キョンもハルヒも古泉もみくるも長門もみんな可愛いくて楽しかったです。
イラストは長門のヘソが素晴らしいですね^^ 長門にスーツって以外に似合うかも。
ハルヒはついつい胸の谷間に目がいきがちですが^^;、キョンに自分の上着を掛けてあげてるのが「サムデイインザレイン」のシーンを思い起こさせてくれて……。
これはホントに良いハルキョンですね^^
相変わらずハルヒもキョンもいい表情をしていて、すごく二人の雰囲気が出ていて魅力的だなぁ。
ラストを飾るに素晴らしい挿絵ですね。
山崎しんのすけさん、だんちさん、良い作品を見せていただいてありがとうございました!
これからも楽しみにしています。
お疲れさまでした^^
投稿: 尾鈴明臣 | 2007年6月 8日 (金) 17:55
尾鈴明臣さん、こんばんは^^
第一回公開から最終回まで読んで下さって、毎回コメントもいただきまして、ありがとうございました!
SOS団の全員が可愛らしい楽しいお話をこうやって山崎さんに書いていただいて、最後まで公開できてとても嬉しいです^^
長門のスーツ、似合いますよね。
山崎さんのイメージでは「長門は格好いい」というのが元にあるとのことで、描いていただいたラフの長門はビシっとかっちょいいんですよ。
なので、僕はそのかっちょいい長門にヘソを出させるだけでした^^
上着は、勝手に行間を読んでみました。
原作、アニメの印象が元にあるところに、山崎さんの素晴らしい文章があって、こういうアドリブが出てくる、というのが絵を描く者としてはとても勉強になる体験でした。
表情も褒めて下さってありがとうございます^^
何度も描き直した甲斐があります!
やっぱり、最後の絵ということで緊張したところもありました。毎回コメントをいただいて励まされることが糧になって、描き切ることができました^^
>これからも楽しみにしています。
>お疲れさまでした^^
ありがとうございます!また山崎さんに無理難題を吹っ掛けたいですよね^^
でも。
今度は尾鈴さんの番ですよ!!
漫画、楽しみにしておりますぜー^^
僕の方でもまたいろいろ描いていきますので、また見てやって下さいね!
ではでは、またです^^
投稿: だんち | 2007年6月11日 (月) 02:29
おはようございます。mementoです。
ひさしぶりに覗いてみたら、山崎さんの二次小説が完結していたみたいで。しかし…大山鳴動して鼠一匹というか、こんだけ時空間を揺るがすトラブルを経験したっつーのに、キョンが手に入れたのが、ブービー賞と景品のブレスレット一個というのがなんともかんとも…(しかもそれもハルヒにとり上げられてるし)。
そして最後はやっぱり長門様が解決してくれたようですが、彼女がアグレッシヴなダンスを披露しながら、相変わらず顔は無表情な様子が頭に浮かんできて、ニヤニヤしてしまいました。
山崎さん、どうもお疲れ様でした&ありがとうございます。
そして、なにがなんでもエロさを漂わせんとする、だんちさんの挿絵と口絵も、毎度のことながら実にありがたく拝見させていただきました。
手が袖からちょこっとはみ出すくらいスーツぶかぶかだってのに、へそはしっかり出すってあーた…。まったくもって長門様は無自覚に狙っていらっしゃる方ですな。そんな彼女にメロメロです。
つづけて「SweetHome」のほうも読ませていただきますね。
それでは。
投稿: memento | 2007年6月23日 (土) 06:06
mementoさん、こんばんは^^
「デパートを出よう!」読んで下さって、コメントをありがとうございます!
>キョンが手に入れたのが、ブービー賞と景品のブレスレット一個というのがなんともかんとも…(しかもそれもハルヒにとり上げられてるし)。
あははは(笑)
でも、その分ハルヒの喜びとデートの思い出を手に入れられたことが彼にとっては何よりの財産なんですよ。
試合に負けて勝負に勝った感じでしょうか(きっと違う)
長門のマイケルダンスというのは、無茶苦茶格好いいっすよね!
>「……ふー」
が、ちょーたまらねぇ!!
マイケル長門、早く絵に描きたくってすごくモチベートされました。長門のコスプレも楽しいっすよね^^
山崎さんにはまたWEBでもハルヒ小説を書いていただきたいですね^^
挿絵も楽しんでいただけて嬉しいです!
今となってみると、もっと沢山描ければよかったなぁとか思ってしまいます。
長門のヘソ出しは、勝負でしたね^^
「どこか…どこか露出できるところはないかっ!!」と必死でした(なぜ必死になる)
「ぶかぶかスーツにヘソ出し」というのは、やはり長門だからこそ、浮かんだアイディアなのかもしれませんね。スレンダーで無自覚に可愛いっていう。思いついた時は「やった!!」と思いましたよ^^
メロメロになっていただけて、報われます!
「SweetHome」も楽しんでいただけたら嬉しいです^^
また、いろいろ描いていきますので、これからも見てやって下さいね!
お仕事お忙しいようですが、お互い体調に気をつけていきましょうね。
ではでは、またです!
投稿: だんち | 2007年6月27日 (水) 03:37