「SweetHome」後記。
こんにちは、だんちです。
先日完結した涼宮ハルヒシリーズの二次創作漫画「SweetHome」の後記を書こうかと思います。
あと、後日談的な二コマ漫画とイラストを一枚。
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「今だけは小さな四角い空間で一人になりたい」
緊急合宿を終えた朝、学校に着いてカバンを開けてみると、そこには…。
つい我を忘れてトイレに駆け込むハルヒさんは、そこで禁断の書物を開いてしまうのでしょうか。
そして、何を思い。何を為すのか。
まぁ、一時限目はサボり決定ですな。
ラストのページで妹に着せていた服でイラストを一枚。
ラストのページを描く時に、妹は制服ではないので服をどうしようと思って。とりあえず白のポロワンピ、青いカーディガンに白のハイソックスで、という個人的に好きな格好をさせてみました。
漫画の中では小さくしか描けなくて残念だったので一回ちゃんと描いてみようと思って。
だけど、この格好で髪を縛ってると似合わないだろうなぁということで髪は下ろしてみました。
なんとなくジュニアアイドル風ってな感じで。
そんなわけで「SweetHome」。
やっとこさ完結したわけですが、多くの方に読んでいただきまして、温かいコメントをいただいたり、WEB拍手を押していただいたり、温かい拍手コメントをいただいたり、捕捉してご紹介していただいたり、本当にありがとうございました!!
元々は、昨年11月に購入した漫画作成ソフト「コミックスタジオ」に慣れるために、連続した漫画を描いてみよう、ということから始めたことでした。
地味なお話を地味にちまちま描いていこうということだったのですが、「涼宮ハルヒ」シリーズの人気のおかげでこんな地味漫画でも、開始当初から思ってもいなかったくらい多くの方に読んでいただきました。
多くの方に読んでいただいたり、感想のコメントをいただいたりすることはすごく嬉しくて。
「漫画を描いて、読んでもらう」ことの喜びを改めて教えていただきました。
読んで下さった方に、少しでも楽しんでいただけるものになっていれば良いのですが。
描き終えるまでに一年ちょっとかかってしまったわけですが、正直な話、最後の更新はけっこうプレッシャーで、作業にかなりの日数がかかってしまいました。
何事も終わらせるのは大変ですね。
更新直前はちょっと胃の辺りが重くなって具合が悪くなる感じもあって。更新した途端にすっきりしたので、「あぁ、プレッシャー感じてたんだなぁ」と。
そして、更新してみたら。コメントやWEB拍手コメントなどで「お疲れ様」「完結おめでとう」という、労いやお祝いのお言葉を多数いただきまして。びっくりすると同時にとても感激しました。
ただの二次創作で、ブログでこうやってちょこちょこと描いてきただけのものではあるわけですが、それでも、何事かを完結させるということは、こうやって労っていただいたり、祝っていただけたりするような、意義のあることなんだということを皆様から教えていただきました。
そして、その意義を共有できることが、とても嬉しいことだということも。
描き切って、本当に良かったです。
読んでくれる方がいて下さったからこそ、楽しく描くことができましたし、「見てもらうことのプレッシャー」という描く者としてはとても幸せな経験をさせていただけたのだと、改めて思います。
本当に、いい経験をさせていただきましたし、多くのものをいただきました。
長々とお付き合いいただきまして、読んで下さって、本当にありがとうございました。
こうして一つのものを描き切って得た経験を糧に、またいろいろと描いていって、少しでも楽しんでいただけるよう、これからも頑張っていきたいと思います。
…バカなのとか、下品なのとかも、いっぱい描くとは思いますが。
よろしかったら、また見てやっていただけたら、と思います。
これからも、どうぞよろしくお願いいたします!
最後に、解説的なものを書いてみようかと思います。
そういうのは、野暮でもあると思うので、「見たくないなぁ」と思われる方はスルーしちゃって下さい。
「どんなつもりで描いたのか」を語りたい気持ちが、描きながらずっと溜まりまくっていましたので、自己満足ということで。
お話のテーマは、「家庭」ということだったわけですが、裏テーマとして「セックス」というものがありました。
だから、エロ本があれだけ出てきたわけです。
男と女が確かな関係を築いて出来上がっていく「家庭」。そこに当然セックスは外すことはできない、ということで。
エロ本が介在することで、セックスに対してのそれぞれの意識というものが出てきて、キョンは「いつか誰かとしなければいけない」ということを言われ、「役割を果たすための生殖器官」という言葉には反発し自分から「愛し合ってすることだ」と言います。
そこをすっ飛ばして家族ごっこや夫婦ごっこをしても、それは全然確かなものではない。
でも。
まだまだ子供であっても、少年少女であったとしても、確かなものや確かなものを欲する気持ちはあって。
だから、少年は「呼んでみろよ」と言うし、少女は「あなた」と言うし。
「あなた起きて」と言われたことが、夢でも幻でもなく、確かなものだと確信した少年は、目覚めた時、その呼びかけへの応えとして「おはよう」と言うわけです。
その挨拶が自分の呼びかけに対する応えだと分かった少女は、躊躇するのですが、でも、やはり応えるわけですね。「おはよう」と。
この時、二人は、二人だけにしか分からない過程とやりとりを経て、ささやかながら、「結婚の約束」をしたわけです。
いつか、愛し合って、自分達の「家庭」を作る時が来るから、かりそめの家庭ごっこのステージを出ることができる。そこは、本当の「SweetHome」では、ないから。
というわけで、キョンとハルヒがそれぞれ「おはよう」と言うところは、描くのにすごく苦労しました…。
応えあう姿としてどれだけ描くことができるのか、不安ばかりで自信が持てず、練習したり落書きしたり、さんざん回り道をしながら、なんとかかんとか描いてみました。
少しは伝わる絵になっていたら良いのですが…。
そうそう。
確かなものなんてないのなんのってことをキョンが悶々と考えたり、古泉がやはり同じことを言ってみたり、ハルヒのポニーテールを見て確かなものはある、と確信してみたり、という一連のシーン。
みくるが出てこないんですよね。
ネーム描いていた時は全然意識していなかったのですが、「将来に繋がる今日」という部分、今まさに青春を生きる、という部分に来た時に、彼女の出番が自然とまったく無いことに描いていて気がついて。
あぁ、やっぱりそういう存在なんだ、と描いていて改めて思いました。彼女が過ごすべき青春は、キョン達と同じ時空には無いんだなぁって。描きながらすごく切なくなってしまいました。
キョン達の時空にいればいる程、彼女の悲しさ、切なさは深く重くなっていってしまうのかもしれないなぁ、なんてなことも思ってみました。
あと、いくつか思いつくままに。
この漫画、女の子が一コマも出てこないというページがないんです。
読んで下さった方の中には女性もいらっしゃるかもしれませんが、基本的に読まれる方は男性が多いだろうと思って、キョンと古泉が会話をするシーンでも、なんとかかんとか女の子を画面に出すように工夫してみました。
この縛りは最初から決めていたことだったのですが、そこそこ苦労しましたね…。
古キョンバトル漫画を描きたくなったのは、その反動だったりして。
59ページでかりそめの家庭の象徴でもある食卓に手を置いていたハルヒが、62ページでその手をテーブルから離して自分の髪を触るところなんかは、そういう苦労から生まれた演出で。
ここでハルヒは「明日の朝ポニーテールにして朝食を作ろう」と思ったりしているのですが、キョンと古泉の会話とあいまって、彼らの時間が止まったり繰り返されたりすることなく、しっかりと動き出した場面として描いてみました。
キョンがみくるを押し倒すところはプロットには無くって、ネームを描いていて出てきたアドリブでした。
人に見ていただくことを意識すると、「こんなシーンはどうだろう?」「こういう展開はどうだろう?」といろいろとアイデアを考えることに繋がるので、非常に勉強になりました。
あと、長門がキョンに「何故、あなたは泣いてるの?」と訊ねるところは、「長門って自分からそういう問いかけをするだろうか?」と思って原作を何度も読み返してさんざん悩みました。
最終的には「えい、描いてしまえ!」で描いてしまいましたが。自分的にはいい感じのシーンとして描けたかなぁと満足しております。
全84ページ(80ページが見開き相当なので、実は85ページ)、全部カラーで描きましたが、途中「やめときゃよかった…」と思うことも…。
途中からペン入れまでをアナログでするようにしましたが、最初ほとんどやったことないのにタブレットで描いていて、使い慣れないソフトでもありましたし、とても似せて描く自信がなく、「色をつければハルヒ達に見えるかな」という理由でカラーにしていました。
でも、普段白黒で漫画を描いているので、これだけ色をつけて漫画を描いたのは初めてで、かなり勉強になりました。
途中、解像度のことなどを尾鈴明臣さんに教えていただいたりしてすごく助かりました。まだまだ勉強不足ですが、これからもいろいろ教えていただいたり学んだりしながら、色をつけたものも描いていきたいと思います。
そんなわけで、長々と描いてきた「SweetHome」。「地味漫画です」と何度も言ってきた通り、地味な話として完結することができました。
読んでいただき、見守っていただき、改めてありがとうございました。
…タブレットで描いていた前半は、描き直したくて仕方ないのですが。そんな時間はさすがに無いかなぁ…。
オリジナル漫画や古キョンバトル漫画や、同人誌のエロ二次創作などを描いていきつつ、いつかまた、こんな感じのハルヒ二次創作漫画を描いてみたいなぁと思ったりもしております。
何はともあれ、これからもいろいろと描いてまいりますので、お時間のある時にでも、よろしかったらまた覗いて見てやってやっていただけたら、と思います。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
長くなってしまいましたが、この辺で。
ではでは、またです!
「涼宮ハルヒさん二次創作漫画『SweetHome』」
1~5ページ。 6~10ページ。 11~15ページ。 16~20ページ。 21~25ページ。 26~28ページ。 29~33ページ。 34~40ページ。 41~45ページ。 46~49ページ。 50~53ページ。 54~57ページ。 58~62ページ。 63~70ページ。 71~76ページ。 77ページ~ラストページ。
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コメント
こんばんは。mementoです。あらためて「SweetHome」の連載、お疲れ様でした。
>お話のテーマは、「家庭」ということだったわけですが、裏テーマとして「セックス」というものがありました。
>だから、エロ本があれだけ出てきたわけです。
エロ本がセックスのメタファーだとしたら、キョンは妹含め全女子キャラと乱交状態だったわけですなっ!? なんと羨…じゃなくて、けしからんやつだっ!!
…冗談は置いて、“家族ごっこ”のごっこ的な面に、内実を伴わない不確かさを感じて、なんだか複雑な気分になる、というのは、妹ちゃんを初めとする家族や家庭の背景が、一応は設定されているキョンの視点としては、なるほど自然だよなあ、と感じました。
この“ごっこ”を提案したのはハルヒと、後、古泉なわけですけど、ふたりとも家庭の気配は希薄、ないしは皆無ですからね。
それいうならSOS団全員が(キョンを除いて)そうなんですが、だったら発案者はハルヒだとはいえ、このごっこ遊びは、SOS団の無言の合意で行われたことなんじゃないか、と…その意味では“乱交”であっても構わないのかもなあ、とか思います。
いい方は悪いかもしれないんですけど、思春期の人間関係って、すべからく“ごっこ”的なもんじゃないかという気もします。必ずしもネガティヴな意味でだけじゃなくて…そもそも思春期というのは、あらゆることに対する準備期間なんですから、社会に出てからの人間関係(それこそ家庭だとか職場だとかの)構築の前準備として、ごっこ的にシミュレーションすることは重要かつ必要不可欠だし、学校生活の最大の意義もそれにあるだろうと、僕は思ってるんですが。
学校に限らず、この「SweetHome」で描かれているような、大人の人間関係を成人前の子たちが模倣する、みたいなことは、往々にして実際にもあることですし。
ただ、それが“ごっこ”だからこそ、内実の伴わなさ、不確かさを感じて虚しくなる、というのも理解できます。もともとキョンはなにかにつけ、一歩引いたような醒めた視線で物事を見るようなところがありますし、それに上でいったように、SOS団の中じゃ唯一、家族や家庭の背景を持っているキャラだから、実際の自分の家庭と比較したときに、ごっこがごっこでしかないことを痛感せざるを得ないのでしょう。
その不確かさというのは、やはり、家庭とは、セックスのプロセスを経てたどり着く場や環境、あるいは関係だ、という認識が、無意識のうちに彼の中にあるから生まれるのだと思うんですが、42ページ四コマ目でキョンが長門に語っている台詞からも、彼が、両親がセックスした結果として、自分がここにある事実を、ごくまっとうに受けとめていることがわかります。
ちょっと話が逸れるんですけど、このことをキョンが語っている相手が、だんちさんがハルヒの分身として捉えておられる、長門なのは、やっぱり意図的なものなんでしょうか?(しかもベッドの上にふたりが座っている状況で)
後述する僕の解釈からこの場面を見てみると、この直後にふたりがセックスに及んでいたとしても、不思議じゃないように思えるんですが…実際、その後のページで長門がキョンに触れようとしますけど、ここでハルヒが乱入してこなかったら、きっとそういうことになっていたんじゃないかな、と。
まあとにかく、セックスのプロセスを経ない家庭のあり方は、あくまでごっこでしかない、という認識を、ちゃんと家庭という背景があるがゆえに、キョンが持っているのだとしたら、この家庭ごっこを提案して、ノリノリになってるハルヒの家庭環境のほうが、僕には気になってしまいます…。
とりあえず、70ページ目のあれは、象徴的な意味であれなんであれ、ハルヒとキョンが“一線を越えた”事実を示していると、勝手に理解してるんですけど、そのことでごっこがごっこでなくなり、内実を伴った家庭になった、というのが、「SweetHome」の結末として描かれているのなら、このお話は、家庭の背景のないSOS団メンバーたちが、自分たちの居場所=家庭を構築するために、ハルヒとキョンに“セックス”してもらおうと、意識的無意識的にあれこれお膳立てをする物語だ、という見方もできそうです。
クラブ活動としてのSOS団は、セックスが介在しないがゆえに家庭になりきれず、ごっこ=シミュレーションでは物足りなくなった彼らが、期せずして思惑を一致させた…というのは、ちょっと穿ちすぎでしょうか? 20ページ三コマ目での古泉の台詞は、僕にはハルヒの深層心理を解説したというよりは、彼自身の願望の告白みたいにも感じられます。
ま、彼らはハルヒとキョンに、自分らの両親になってもらいたかったんだね、ってことで…特にみくるは、だんちさんがいっておられるように、ハルヒたちと同じ時間を共有できないから、こうしたかたちでふたりの未来を築く手伝いをする必然性があったのかも。
というか、彼女、妹ちゃんに似てますしね…ほかのメンバーよりもずっと切実に、ハルヒとキョンにセックスしてもらわないといけない理由があったりして。
それこそ彼女にとっては、自分の存在に関わる“家庭づくり”だったんじゃないかなあ、とか考えると楽しくなりますね。
一年以上にも渡る連載ということで、こちらも長文感想で応えさせていただきました。重ねて、この「SweetHome」の完結に感謝いたします。僕も「君主論」ちゃんと終わらせないとなあ…。
年の瀬も迫ってお忙しいでしょうけど、どうぞご無理のない程度にお仕事頑張ってください。そしてまた、「SweetHome」みたいな力作を読ませていただければ、と期待しております。
それでは。
投稿: memento | 2007年12月14日 (金) 18:49
一年以上にも渡る連載、お疲れ様でした。
この漫画に関しては以前にも原作のイメージに近い気がすると書いたと思いますが、そう考えると「SweetHome」は原作の時間軸で言うといつ頃に当たるのかと思ったのですがキョンと長門との会話などから消失以前、具体的には服装などから「射手座の日」前後辺りかと勝手に解釈しました。キョン妹のみくるに対する態度など「雪山症候群」以降だと解釈できそうな部分もありますし、僕の勝手な勘違いだと言えばそれまでなのですがこの話が時間軸的に僕が考えた通りの時期だと仮定して読んでみると、ラストでキョンのハルヒに対する「おはよう」と長門に対する「おはよう」が明らかに違うことが長門の目にはどう映るのだろうかとか考えてみたり、ストーリー上必然的にそうなったとはいえ「抱き合いながら将来について語り合っていた」シーンで長門だけその場にいないことが「消失」での分岐点を表しているように見えたり(原作では佐々木が現時点におけるそのあたりのポジションでしょうか)しました。二人がこれから実際に「家庭」を築き上げていこうと思ったら長門や佐々木とかとの事はどんな形にせよいずれは直面することになるでしょうし、もしかするとこの事が二人にとって「次の一歩」を躊躇わせている要因の一つなのではないでしょうか。
余談ですが「退屈」でみくるが飲みかけのペットボトルをキョンに渡そうとしていた辺り、みくるはキョンとは何らかの血縁関係とかありそうですよね。具体的な間柄については今まで見たことのある推測の中ではキョン妹の娘(あるいは子孫)説とかが気に入っていたりしますが。
投稿: Y | 2007年12月15日 (土) 00:16
Sweet Homeお疲れ様でした。とても楽しく読ませていただきました。また次回も楽しみに待っております。
一つ行く前に言いたいのですが。上の方も言ってたみたいですが、僕は朝比奈さんはキョンの妹、またはキョンの子孫に準じる何かだと思います。僕の推測に過ぎませんがね。それともう一つ、機関を作ったのはもしかしたらキョンかもしれませんね。それか未来人組織を作ったのがキョンか。どちらにせよこのどれかにキョンは関わっていると見ています。
長々とすみません。それではまた何時か此処でお会いしましょう。では
投稿: 竹 | 2007年12月20日 (木) 14:02
mementoさん、こんばんは^^
後記も読んで下さって、感想のコメントをありがとうございます!!
お返事が遅くなってすいませんでした^^;
>エロ本がセックスのメタファーだとしたら、キョンは妹含め全女子キャラと乱交状態だったわけですなっ!
そういう部分はあるかもしれませんね^^
妹にも、兄が身近な異性である意識はあるでしょうし。それは兄の方も一緒ということで。
つまりは、誰とでも可能性があるところで、「じゃあ、誰と?」のところの選択を迫られる感じはあったかもしれません。
>このごっこ遊びは、SOS団の無言の合意で行われたことなんじゃないか、と…その意味では“乱交”であっても構わないのかもなあ、とか思います。
そこが、「全員で夢を見た」というところですね。
それは勿論、キョンも含めて。
キョンはみくるを連れ帰るところまでは、「このままでもいいんじゃないか」という誘惑、あるいは「こういう時間がもっと続いて欲しい」という誘惑に勝てないでいます。
ハルヒの願望実現能力は、一方的なものではなく、関係性の上から、キョンと一緒の望み(同調する望み)を叶えていく、そういう性質を持っていると捉えて描いているところがあるんですね。
彼が置かれる立場、「鍵」ってやつですね。
で。
>思春期の人間関係って、すべからく“ごっこ”的なもんじゃないか
ということは、まさにそうだと思います。
キョンが(同時にハルヒが)「ごっこ」を「ごっこ」と気付けずに浸ってしまったのは、確かなものが無いことの不安と確かなものを欲しがる欲求とからなわけですが、「ごっこ」では幸せになれないことに、長門との一件で明確に気が付くわけですね。
つまり、築かれる家庭は一個じゃだめで。
未熟な自分達が成長していって、それぞれが大人になって、それぞれ家庭を築いていかなければならない。
そのためには、また明日もその次の日も、彼らは学校に通って勉学に励まなければならない。
mementoさんが仰っている「準備期間」をまだまだ過ごさなければならない。
だからこそキョンは「無力」だ、と嘆くし「こんなものは…俺達の幸せじゃない」とはっきり認識するんですね。
彼らの幸せは、「全員一人も欠けないで絶対に幸せになる」ということによって、成り立つ。
という。
それは、実は普遍的なことで、世の中全体に対していえることかな、ということを思います。
…ということを考えたりして描いていたように思います。何分、長いこと描いていたので、記憶もいろいろ曖昧で…^^;
僕の中でキョンは一歩引いていたのではなく、実は積極的にごっこに没入していて、そこから脱却し、成長した、という描き方になっているわけですね。
その意味では、「お前が幸せになる時、隣にいるヤツが~」という台詞。言葉の内容な同じであっても、一回目と二回目とではかなりニュアンスが違うんですよね。
>42ページ四コマ目でキョンが長門に語っている台詞からも、彼が、両親がセックスした結果として、自分がここにある事実を、ごくまっとうに受けとめていることがわかります。
そのことが浮き彫りになったのは、長門という存在がセックスを経ないで生まれてきたから、なんでしょうね。
家庭がなく、親もなく(親的存在はあっても)、愛も知らなければセックスも知らない。
そういう存在を目の当たりにした時に、それが、いかに不幸なことなのか。いかに自分が幸せな環境にあるのか、を痛感して思い知る。そこで、彼は自分が持っているものを「知った」ということなんだろうな、と思います。
それに対してハルヒの方はというと。仰られる通りで家庭ごっこにのりのりで。この辺りは、「子供っぽさ」かなぁと思ったりします。遊び足りてない子だと思うんですよね。つまり「ごっこ」が全然足りていない。
やっぱり、親子関係の満たされていない感じは、あるのかなぁと思えます。
>ちょっと話が逸れるんですけど、このことをキョンが語っている相手が、だんちさんがハルヒの分身として捉えておられる、長門なのは、やっぱり意図的なものなんでしょうか?(しかもベッドの上にふたりが座っている状況で)
仰る通りで意図的です。
長門はエロ本登場から実は興味津々で。ずっと見たがっていたんですね。だけど、それは実はハルヒも一緒で。
だから、ハルヒの「本心」という認識で長門をキョンの部屋に登場させています。
長門が淡々と「コミュニケーションのために生殖器官が実装されている」と語るのは、ハルヒの「恋愛感情なんてのは一種の精神病」と対応するところといえるかもしれませんね。
>後述する僕の解釈からこの場面を見てみると、この直後にふたりがセックスに及んでいたとしても、不思議じゃないように思えるんですが…実際、その後のページで長門がキョンに触れようとしますけど、ここでハルヒが乱入してこなかったら、きっとそういうことになっていたんじゃないかな、と。
ここでハルヒが乱入してきたのは、キョンの願望が「このごっこ遊びを終わらせなければならない」とシフトして、ハルヒが同調したからなんですね。
また、長門はあくまでもハルヒの「影(あるいは影の役割を担う立場)」でしかないという場面でもあって。彼女が「そういう」触れ方をしようとしても、彼女にとってキョンはそういう触れ方をできる相手ではなく、だけどハルヒはすんなりと彼の手を握れるし、キス寸前までいくし。
長門に、それは許されない。
これ、「消失」よりも前というつもりで描いていたので、長門にはストレスを与える感じになっております。
>とりあえず、70ページ目のあれは、象徴的な意味であれなんであれ、ハルヒとキョンが“一線を越えた”事実を示していると、勝手に理解してるんですけど、
その辺り、解釈の仕方、読解の仕方がいろいろできる描き方になっていると思いますので、そこはもう、受け取っていただいた形で読み取ってもらえたら、と思います^^
>20ページ三コマ目での古泉の台詞は、僕にはハルヒの深層心理を解説したというよりは、彼自身の願望の告白みたいにも感じられます。
それは、あるでしょうね。キョンが先に帰る、となったところで、寂しい気持ちになったのはハルヒだけではなかったでしょうし、それはまたキョンも一緒だったろうし。古泉もみくるも長門も、皆一緒だったのかもしれませんね。
個人的にも体験があることなんですが、部活とかで集団になっていると、自然とお母さん的役割の人、お父さん的役割の人って、出てくるんですよね。
そういったことも描く上での意識としてありました。
僕は、高校生の時、部活でお父さん的な役割でしたね。
余談ですが、そこでのお母さん的な役割の人は同級生の男でした( ̄▽ ̄;
みくるに関しては、キョンの直接の子孫かキョン妹の子孫か、という部分はあると思うのですが、「SweetHome」では「直接子孫説」で描いてみました^^
「バックトゥザフューチャー」ですね。
みくるにとってキョンは女の子とのエッチに興味を持ち続けてもらわないと不安で仕方ないけども、だからって他の誰かとされても困るし、ってところで、なかなかデリケートですよね。「とっととやっちまえよ!!」とか内心ゴトゥーザヴォイスで叫んでいたりしてね^^
>一年以上にも渡る連載ということで、こちらも長文感想で応えさせていただきました。
読み応えのある感想を本当にありがとうございました!!
なかなか時間がなくてお返事が遅くなってしまいましたが、どういうお返事を書こうかと日々考えるのはとても楽しかったです!
これだけ受け止めていただいて、読者として作品を自分のものにして、mementoさんのパーソナリティを元にした読解を書き込んでいただけて、頑張って描き続けてきた甲斐がありました。とても嬉しいです!!
感謝のお言葉をいただけるだけのものを描けたかどうかは分かりませんが、ありがたく受け止めさせていただきます^^
日々、物語を作り続けて、たまに心が壊れそうな感覚に襲われることも、あったりなかったりもするのですが^^;
でも、読んでいただけることは、すごく楽しいですし、励みになります!
これからも、時間の許す限りいろいろ描いていきますので、よろしければ、また見てやって下さいね!
「君主論」、頑張って下さいね^^
楽しみにしてます!
ではでは、またです!
投稿: だんち | 2007年12月26日 (水) 03:02
Yさん、こんばんは^^
「SweetHome」読んで下さって、労いのお言葉とコメントをありがとうございます!
すっかりお返事が遅くなって申し訳ありません^^;
この漫画は、ご指摘の通り「消失」以前で、文化祭後のエピソードのつもりで描きました。
だから、まさに
>「射手座の日」前後辺り
ということになると思います。
なので、二次創作の勝手な楽しみ方として長門にはいろいろストレスを与えてしまっております。
ラストの、長門に対する「おはよう」は、これは長門の方からしたら、ハルヒに対する態度と全く違うことで、(それを自覚する自分に対して)やはりストレスを感じることだと思うのですが、ここは、「キョンが改めて長門に人間同士として接する場面」として描く必然性もありました。
だからこそ、「人間長門」にとってはある意味残酷な場面にもなるわけですね。
>「抱き合いながら将来について語り合っていた」シーンで長門だけその場にいないこと
は、描いている時の意図としては、絵的に階段の上から長門が見下ろしている図は怖すぎるというのと、キョンの部屋で処理しきれない情報の混乱にフリーズしていたから、というのが理由なんですが、描き終わってみると、そこに長門がいない、というのはやはり仰られるような「必然」を感じます。
>「消失」での分岐点を表しているように見えたり
そこまで大それたことはあれですが^^;
でも、「愛し合う」ということを直接キョンから聞かされるということと、そう言いながらも「無力だ」と嘆き背中を丸めるキョンの態度に、こっそりそういった気持ちは込めたりしていました。
なので、そのように感じていただけてすごく嬉しいです!!
>もしかするとこの事が二人にとって「次の一歩」を躊躇わせている要因の一つなのではないでしょうか。
そういうことは、あるかもしれませんね。
自分達だけよければ他は関係ない、となれるような子達じゃないですもんね。
前に進む時は、様々な傷を心に作りながら行くしかない。そういうことも、これからの青春の日々で沢山学んでいくのかもしれませんね。
みくるに関しては、僕は「キョンとハルヒの子孫説」を自分でも立てていますし、それを元にして描きました。
でも、最近はキョン妹の子孫というのもありかなぁと思ったりしています。
キョン妹とハカセ君が出会って結婚して、みくるがその子孫だったりしたら、「朝比奈みくるの憂鬱」はかなりすげぇ、とか妄想してみたり。
何はともあれ、みくるも、自身の青春を、あるべき時空で過ごして幸せになっていって欲しいですよね。
その時は、キョン達とは別れなければならないわけですが。
これからも、いろいろと描いていきますので、良かったらまた見てやって下さいね!
ではでは、またです^^
投稿: だんち | 2007年12月27日 (木) 03:21
竹さん、こんばんは。初めまして^^
「SweetHome」読んで下さって、労いのお言葉とコメントをありがとうございます!!
楽しんでいただけたとのこと、大変嬉しいです!!
お返事が大変遅くなってしまいすいませんでした^^;
みくるが、
>キョンの妹、またはキョンの子孫に準じる何かだと思います。
というのは、僕もそう思っています。
「SweetHome」では「キョンとハルヒの直接子孫説」で描きました。
>機関を作ったのはもしかしたらキョンかもしれませんね。それか未来人組織を作ったのがキョンか。どちらにせよこのどれかにキョンは関わっていると見ています。
おぉ。なるほど。面白いですね!
キョンは「記憶」に関して、いろいろありそうですし。黒幕的な部分があっても不思議はないですよね。
未来人組織に関しては、僕は古泉が怪しいと思っております。そういった観点からも彼とみくるの今後の絡みもなかなか興味深いかなぁ、と。
原作の続き、楽しみですね^^
僕も一人のファンとして二次創作を細々と続けていこうと思っております。これからもいろいろと描いていきますので、また見てやって下さいね。
またの書き込み、お待ちしております^^
ではでは、またです!
投稿: だんち | 2007年12月28日 (金) 22:34