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2008年1月20日 (日)

「ARIA The ORIGINATION」第1話、第2話を見た。

 こんにちは、だんちです。テレビ東京にて「ARIA The ORIGINATION」の第1話と第2話を見ましたので、その感想を書きたいと思います。
 (原作は発行されている単行本まで読んでいます。OVAはまだ未見です。)

 公式ページを見ると、テーマは「ORIGINATION」というタイトル通り「始まり」とのこと。
 でも、トップページのキャプションが「大丈夫、あしたもやさしい風は吹いてます。」だったり、オープニング曲のタイトルが「スピラーレ」で「螺旋」だったり。
 単純な「始まり」を描くこととは違うのだろうな、という予感はありました。

 だから、第1話を見た時に、「あぁ…そうか」と思うところがあって。

 今回のシリーズは、シリーズ全体を通して、最終回なんだろうな、と感じます。
 つまり、今回でアニメ化は最後なんだろうな、と。
 その辺り、印象でしかなくって監督なんかのコメントを雑誌で見たりとかは全然していないので、実際のところは分からないのですが。
 でも、「今回で最後」の気合というか、そういった雰囲気はひしひしと感じます。

 放送開始前から、公式ページのキャプションもあって「今回は『終わり』とか『別れ』を描くんじゃないだろうか?」という気がしていたわけですが、それが、第1話を見て、確信に変わりました。
 今回の第1話は、そのまま最終回のような雰囲気で。
 何も起こらず、先輩三人と後輩三人とが昼食とお茶を共にして、語らって。未来を夢見る。
 それは、今までの「ARIA」で行われていたことなわけですが、おそらくは、彼女達がああいった時間を過ごすのは、最後なんだろうな、と思いました。
 あれは、後輩三人にとっても先輩三人にとっても、ああいった過ごし方をできる最後の瞬間で。それが、前回のオープニング曲「ユーフォリア」(幸福感)ということにも当てはめると、それまでのユーフォリアとの決別、別れの瞬間でもあったように見えました。

 だから、先輩三人は「彼女達が離れていってしまうのは寂しい」と語るし、灯里の「素顔」は、アイちゃんが言葉にできなかったように、「寂しい」表情を浮かべていたのでしょう。

 「始まり」の前には「終わり」がある。

 それは、何かとの別れ。
 カーニバルが終わってしまえば、寂しいように。そこにある感情にごまかしはきかない。

 今回のシリーズ、どう見ても、後輩達がいよいよプリマになる姿が描かれるのだと思えます。

 それは、確かに「始まり」でしょう。

 でも、同時に、彼女達はそれまでの時間、立場を終わらせてそれらと別れなければならない。

 そのことと、今回のシリーズの立ち位置とが、重なるように思えるんですね。
 「始まり」をテーマにするシリーズで、様々な「終わり」「別れ」を描いていくのではないか。そして、そこにメッセージを込めてくるのではないか。
 だから。
 今回は、シリーズ自体が、「最終回」なのではないか。
 「ARIA」が、視聴者とお別れする、そういうシリーズなのではないか。

 と、思えるんです。

 そうなってくると、「始まり」は、僕ら視聴者にとっても、このシリーズを見終わった時に訪れるもので。やはり、「次はあなたの番だよ」と、訴えかけられることでしょう。
 「ARIA」は、「癒し」を作品のテイストに持ちながら、実は非常に厳しいメッセージを常に持っている作品で、油断して見ていると、殴りつけてくるようなメッセージを叩きつけられます。

 第一期では「奇跡は努力で起こる」というシンプルかつ逃げ道の無いメッセージを。第二期ではヴェネツィアンガラスのエピソードに象徴されるように、「偽物としてあるのか、本物として生きるのかは、自分自身次第」というメッセージを「あなたはどうするのか?」という問い掛けと共に。

 そして、第三期では、終わりと始まりの「螺旋」を描きながら、何を訴えてくるのか。

 灯里の素顔が寂しかったように、シリーズが終わってしまうのはやはり、寂しいことでしょう。
 でも、「素顔だと思えば寂しくないです」と灯里が強がりを言っても、どうしても、何かが終わってしまうことは寂しいように、それは、受け止めて乗り越えなくてはいけないことなのでしょうね。

 何かが終わっていくこと。
 そして、何かが始まっていくこと。

 それは繰り返されていく螺旋。
 そこに沸き上がる感情もまた、螺旋のようなもので。
 視聴していきながら、受け止めていかなければならないものなのでしょうね。

 おそらくは、視聴者の背中を力強く押してくるものになっていくのだろうな、と思いつつ、果たしてどのような描かれ方がされていくのか。佐藤順一監督のシリーズ構成の手腕を最後まで堪能させていただきたいと思わされる、そんな第1話でした。

 
 さて、第2話。
 この第2話では、シングルを育てるお客さんのことが描かれるわけですが、非常に象徴的で、とても興味深いものがありました。
 「お客」という立場は、ただ一方的にサービスを受けるだけのものではなく、サービスする側を育てる立場でもある。
 それは、まさに道理ですよね。
 漫画を描いていても思いますけど、漫画家を育てるのは、読者なんですよね。絶対。
 もちろん、編集者や師匠、先輩や同輩、後輩に育てられるところも大きいわけですが、一番成長するのは、やはり「読まれる」こと。
 アニメーションというメディアで、言うなれば「あなたたち視聴者が作り手を育てるんだよ」という内容として受け止められることをぶつけてくるというのは、昨今の状況を鑑みると、ものすごく意味のあることのように思えます。

 そして、その「ウンディーネ」=「作り手」、「客」=「視聴者」という捉え方で「作り手」の方にもフォーカスしてみると、お客さんをなんとか楽しませようとする灯里が連れて行ったところは、全て過去のシングル達が連れて行ったことがある、というところがまた、とても印象的でした。
 三大ウンディーネ達がシングルの時にもいろいろな場所を案内したことのあるお客さんは、アリシアですら知らないような穴場を知っていたりする。それは、やはり、過去に誰かが連れて行ったからなのでしょう。

 そこで重要なのは、お客さん(アマランサさん?アマランタさん?)が指摘したように、「楽しんでもらおう」ともてなす気持ちを灯里が持ち続けたことだと感じます。
 藍華やアリスが噂話として聞いていたように、「ヤバイ客」とか「冷やかしの客」として受け止めて、カチンときて、もてなすことを放棄してしまったシングルも多くいたのではないかな、と想像できます。
 でも、そこで「楽しませること」を放棄するようでは、とても一人前にはなれないのでしょう。
 重要なのは、目新しさとか目先を変えて驚かすことではなく、定番であろうと何であろうと、目的を忘れないこと。

 その目的を忘れず、最後まで彼女を楽しませようとしたシングル達は、立派に一人前になっていったであろうことが、アリシアの様子や彼女が話す晃やアテナの様子などから感じられますし、多くのシングル達が彼女を一生懸命様々な場所に連れて行ったことから想像できます。

 お客さんをどこまでももてなそうとするウンディーネと、そのウンディーネを育てようとする客。
 互いにある気持ちと振る舞いは、まさに螺旋になって、そして「積み重なって」、次なる半人前を一人前に育てようとしている。

 そして、その螺旋が「ネオ・ヴェネツィアの大ファン」という言葉で語られる。

 螺旋は、積み重なっていくもので、消えていくものではないのでしょうね。
 そこで出来上がっていくものは、ある意味で「社会」とか「世の中」というものになるのでしょう。

 そうなってくると、「ウンディーネ」=「作り手」、「お客」=「視聴者」という括りに収まる話ではなく、もっと大きな括りで見ることもできるのでしょうね。あらゆるサービス、あらゆる職業について当てはめることができて、それぞれの立場で、示唆されたものを受け取ることができるエピソードであるように思います。

 螺旋は、積み重なって未来へと繋がっていく。
 逆に、自分が歩んでいる道は過去の螺旋の積み重ねでもあって、そこにある本質から逸れることなく生きていくことは、自分が社会の一員として生きていくことでもあるのでしょう。

 それは、とても安易な話ではない。
 むしろ、厳しい。

 螺旋から逸れることは、実は簡単なのかもしれない。
 螺旋から逸れずに、そこに積み重なってきたものを受け止め、前進していくことは、実はものすごく厳しいことなのかもしれない。

 自分が作り手の一人であることから、灯里の姿に自分を重ね合わせると、自分が歩んでいる道に積み重ねられている螺旋を受け止めることができるのだろうか、と思わずにはいられません。

 それは、同時に、何らかのサービスを受け止める立場でも言えることで。要は螺旋という積み重ねられてきた社会の中で、どう生きていくか、ということになってくるわけですね。
 その立場から見るならば。自分が何かのファンであるのなら、自分が何かに思い入れを持っているのなら、育てていく立場であることを忘れてはならない、ということでもあるでしょう。

 やはり、「社会派」。厳しいメッセージを感じますが、でもそれは本来「当たり前」のことなんだよな、とも思うんですね。
 その「当たり前」のことを、エンターテインメントの姿で描いていくことの胆力に、改めて「ARIA」シリーズの本質を見る思いがします。

 「始まり」というテーマに「終わり」というものをはっきりと組み込み、「螺旋」として描写する。しかもその螺旋は積み重なっていくもので、重みを持ったものとして提示してくる。

 そこで、灯里が、藍華が、アリスが、どのように振る舞い、生きていくのか。

 彼女達の姿に、多くのことを教えられることになるのだろうな、と大いに期待を抱かずにはおれません。
 次回もまた、何を見せてくれるのか。何を感じさせてくれるのか。

 こういうエンターテインメントがありうるということ、そしてこういうエンターテインメントを楽しめるということ。
 そこに、多くのことを学ばせてもらえるのだろうとも思います。
 これが最後なんだ、というくらいの気合でもって、このシリーズをしっかりと見ていきたいと思います。

 
 今回のシリーズ。「シリーズ全体で最終回」という捉え方をしているので、最後に感想をまとめて書こうかな、とも思っていたのですが、とりあえず、今思っていることを書いてみました。
 「今までみたいに長文を書いている余裕も無いし、さっくりと」と思っていたのに、やっぱり長文になっちまいましたね…。でも、感じたことを言葉にして書くという行為は、いろいろと発見もあり、改めて自分の感じ方にも気がつけるので、何度繰り返していたとしても、やはり面白いものだな、と思いました。

 改めて感想を書いてみると、「ARIA」の見方が自分にとっては全然ブレていないことが嬉しくもありました。
 時間的に、毎週感想を書くことは難しいかもしれませんが、常に学んで成長し続けなければいけない己自身のことを思うと、時間を作って感想を書くことは、意義のあることなのかもしれない、とも思います。
 どこまでできるか分かりませんが、「ARIA The ORIGINATION」の感想、またいろいろ書いていくと思いますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

 ではでは、またです!

 参照:「なぜアニメの感想を書くのか。どういったスタンスで書くのか。」
    :「物語り人(ものがたりびと)」であること。…学習機会レポート2
    :「物語作りの基礎。普遍的土台と誇張表現の調和により生まれる適度な感情移入…学習機会レポート」  
    :「『音響監督佐藤順一』の手法に注目してみる」

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コメント

だんちさんおひさしぶりですこんばんは~

>今回でアニメ化は最後なんだろうな
これは僕も感じました。1話目から最終回みたいな雰囲気だったのもわざとそういう印象を持たせるためだったのかもしれませんね。
毎回次の放送を楽しみにしながらも少しずつ終わりに近づいていくのは寂しいです。1話1話をしっかり受け止められるよう感性を磨きたいと思いますw

だんちさんの感想は楽しみでした。また今後もよろしくです!
ではでは~

投稿: おちゃつ | 2008年1月23日 (水) 22:07

おちゃつさん、こんにちは。お久しぶりです!
コメントをありがとうございます^^
また、先日は拍手コメントもありがとうございました。

今回の「ARIA」。やはり、「終わる」雰囲気ひしひしですよね。ここまでずっと見てきていると、視聴者として伝わってくるものって、やはりあるんだな、と感じます。
毎回終わりが近づいていくのは、僕もやっぱり寂しいです。
でも、その分、1話1話を、仰られるようにしっかり受け止めて楽しんでいきたいですね!

僕は、不規則にぽそぽそ感想書いていこうと思っておりますが、火が入ると語りまくってしまうので、自分でもどうなるか分かりません^^;
楽しみにして下さっていたことを励みに、また書きたいと思います。
こちらこそ、今後ともどうぞよろしくお願いいたします!

ではでは、またです^^

投稿: だんち | 2008年1月25日 (金) 12:28

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