文章でハルヒSSを書いてみた。
こんばんは、だんちです。ネームが一本終わってちょっとほげっとしてます。ふと思いついたので、珍しく文章でハルヒのSSを書いてみました。
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「All in my hand」
親に言わせると、昔に比べて今は連休が多いんだそうだ。ハッピーマンデー制度なんていうものがあるからなんだろうな。
ところで我が家は家族四人それなりに仲が良いようで、それは現代日本の一般的な核家族の典型イメージに当てはまるものでもあるだろう。むしろそのイメージに近づくように両親が努力をしているのかもしれない。何はともあれ、連休は家族旅行に行くこともあるってわけだ。出発は明後日の早朝。
「お土産。期待してるわよ!そんじょそこらの土産物屋で買ったものなんて、あたしは土産としては認めないからね」
文芸部室に不法にこしらえられた団長席にふんぞり返った涼宮ハルヒはキラキラと目を輝かせながら笑顔のまま、団員その一のいつもの席に座る俺をにらみつけた。よし、お前にはちょうちんとタペストリーを買って来てやろう。
「いらないわよ。言っておくけどビニール袋にその土地の空気を詰めて、一瞬だけ旅に連れて行くことが土産だ、なんていうことしたら学校中の黒板という黒板にあんたの愚行を書きなぐって晒してやるわ」
きっとその労働を強いられるのは俺なんだろうな。なんで俺が自分の愚行を自分で晒さなくちゃいけないんだ。っていうかそんなベタなことはしない。
「まぁ、なんかいいものがあるかどうか探してみるさ」
「ご旅行でリフレッシュして元気になってくることが一番のお土産ですよ」
翼のないエンジェル朝比奈さんがもったいなくもお茶を給仕して下さりながらプライスレスな笑顔プラスで仰られた。旅行かばんに詰め込んで一緒にお連れしたい。あ、お茶いただきます。ありがとうございます。
「その旅行先でしたら知人が旅館を経営していますので、よろしければご紹介いたしますが?」
俺の正面の席に座ったイケメン野郎がのたまった。お前の笑顔はプライスレスっていうよりスマイル0円だな。しかも押し売り。お前の知人か。そりゃ、さぞかしまっとうな経歴の持ち主だろうよ。ところで古泉、チェックメイトだって言っただろ。考えても無駄だぞ。
「いや。もう宿は予約してあるからな。気持ちだけもらっておくよ。ありがとな」
ふと気配を感じて横を見ると、音もなく近づいた長門が立っていた。
「これ」
笑顔を浮かべることなんざない長門が本を一冊差し出してきた。その無表情も俺にとってはプライスレスで心地良い。やっぱり眼鏡が無いとちょっとした表情の変化も見れて、いいな。少し誇らしげに見えるが。ええっと。これは?
「旅行の移動時間は長い。これを読むといい」
なるほど。列車に揺られて数時間の旅だからな。そんな旅行に時刻表殺人のミステリーを持って行くのはユニークでナイスだ。ありがとう。借りるよ。
「で、キョン。何時に出発するのよ?帰ってくるのは何日何時?」
団長様がそんなことを聞いてきた。なんだよ、まさかついて来る気じゃないだろうな?
「違うわよ。仕方ないからSOS団の活動時間をあんたがいる時間に合わせてあげようって言ってるんじゃない」
俺は、旅行の前後に休みもなく働かされるのかよ。おいおい。家族旅行も団体行動なんだよ。俺がいなくてもSOS団の活動はできるだろう?そうなったら財布役は任せたぞ古泉。
なんてことはいちいち言わないけどな。
全員そろわない週末は、つまらないってことなんだろ?だったらそんなひねくれたこと言わずに素直に寂しそうな顔すりゃいいんだよ。旅行先からメールもしてやらないぞ。
「早朝出発じゃ旅行前は何もできないわね…。いいわ。帰って来たら存分に働いてもらうから!」
俺を苦しめることがそんなに楽しいのかお前は。
「あ。そうだキョン。ちょっと手、出しなさい」
なんで?
「いいから!片方でいいわ。ちょっとじっとしてなさい」
なんだよまったく。
あ、こら!サインペンなんか持って何する気だ!
おい!
人の手に落書きするな!
………
「まぁ、気をつけて行って来なさい。くれぐれも、面白いお土産買ってくるのよ!」
ハルヒはやっぱり笑顔のまま、俺をにらみつけた。
まったく。
こんなことしやがって。
油性って、せっけんで落ちるのか?
落ちるんだろうな。
俺は、自分の右手をため息をつきながらながめた。
そこには、SOS団がいた。
俺の右手の爪の一つ一つに。
親指にハルヒ。
人差し指に朝比奈さん。
中指に長門。
薬指に古泉。
小指に、小さく適当な俺。
全員の似顔絵が描かれていた。
まったく。
どうするんだよ。
こんなことされたら。
手を洗えないだろ。
END
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ラストの挿絵はリンク同窓で。
読み返してみて誤字脱字を発見したらその都度直しまする。
ではでは、またですー。
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コメント
可愛いです、ハルヒはもっと寂しがりたいんだよww
各キャラの特徴も上手く生きてますね、長門が誇らしげなのがいい。
でもさすがに器用だなハルヒwwこれじゃ温泉とか入っても手を上げたまんまだぜ。
これは自分も頑張らなくては、文章書きとして。
いい刺激です、ありがとうございました。
投稿: 蔵人 | 2008年9月20日 (土) 00:55
おはようございます。山崎しんのすけです。
で、SS。素晴らしいですね。
これならもう例のネタ、ワタシが書かなくても大丈夫でしょう(^^ (大丈夫じゃねえ
こちらはこれからイベントです。
それではまた。
投稿: 山崎しんのすけ | 2008年9月21日 (日) 08:56
>蔵人さん、こんにちは。SS読んで下さってコメントをありがとうございます^^
可愛いでしょ(笑)
ハルヒからすると、キョンが寂しがっているように見えたんでしょうね。それで「ほら!あたし達はいつも一緒よ!」なんていうベタなことをするわけですよ^^
文章で各キャラクターを描写するの、楽しいですね。人間らしい気遣いができたことと本のセレクトに自信たっぷりの長門、僕も好きです。
文章には文章の面白さがあっていいですね。
ハルヒに対してだけ、「ありがとう」を言わないこととか、いろいろ工夫ができて、そういう作業がとても楽しかったです。
≫いい刺激です、ありがとうございました。
おぉ。そう仰っていただけて、とても嬉しいです。不安もあったのですが、読んでいただけてこうしてコメントまでいただけて、こちらこそ本当にありがとうございました^^
また何か書いたら見てやって下さいね!
ではでは、またです^^
>山崎しんのすけさん、こんにちは。SS読んで下さってコメントをありがとうございます^^
お褒めの言葉をいただき恐悦至極でございます!!
≫これならもう例のネタ、ワタシが書かなくても大丈夫でしょう(^^ (大丈夫じゃねえ
逃げようとしてる?(笑)
あのネタは山崎さんが書くことに意義があると信じているのでございます!18禁カモン!!
今は連続リリース中でお忙しいと思いますが、それが落ち着いた頃合で是非!!
イベントお疲れ様でした^^
HPで表紙を拝見させていただいても、とても漲ってくるものを感じます。おぉ、これは良い本に仕上がっているに違いない!と思い、こちらもエネルギーをいただけます。
完結に向けて、頑張って下さいね!!
ではでは、またです^^
投稿: だんち | 2008年9月28日 (日) 08:18