【キョンハルSS】備えあれば憂いなし。
こんにちは、だんちです。
企画ブログにアップしていたキョンハルSSです。
「続きを読む」以降にアップしました!
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俺はハルヒにキスをした。
緊張して、そっと。それから少し強く。じれったいわねと言わんばかりにハルヒの舌が俺の唇を割ってきた。
こいつらしいと思いつつ、入って来た舌に自分の舌を絡ませる。
誰もいない夕方の俺の家。二人きりの俺の部屋にキスの音と二人の息遣いだけが響く。
放課後連れ立って来た制服姿で立ったまま、向かい合って俺はハルヒの肩を抱き寄せ、しばらくお互いの舌の肉感を味わい合った。
ハルヒの体温がぐいぐい急上昇してくるのが分かる。
俺も血流が激しくなり、主に一箇所に、比較的詳細に申し上げるならば、股間のああいったところに集まり始めていた。
「ハルヒ……」
まだ吸い足りない様子のハルヒを一旦引き離し俺は言いかける。
「……ん」
ハルヒは少し怒ったような変な表情で、俺の目を見たままちょっと上目遣いでうなずいた。
不安を隠そうとしているのか、それとも別の何かを隠そうとしているのかキッと睨みながら。
恥ずかしそうに目をそむけるとかしても年頃らしくていいんじゃないかと思ったりしつつ、ぐっと抱き締め、そのままベッドに押し倒す。
付き合い始めて数ヶ月。いつかするだろうと思っていた愛の合体を果たしてから数日。俺の部屋でするのは初めてだった。
初めてした時は、いろいろな状況もあって様々な面々のいらん協力もあって準備万端だったりして、それはそれで思い出したくもない気もするがその時のハルヒの姿、声、感触が全て鮮烈に脳の奥にしっかり焼きついていて何があっても忘れることはなさそうだ。
今回は流れで俺の部屋に連れ込んでこういう状況になっている。おぉ!何だか恋人同士みたいだ!
「待って……」
ハルヒが少しかすれた声を出した。緊張して口が渇いているのだろう。
俺だってそうだ。上手く声なんて出せない。こういう時に小粋なトークで女の子の緊張をほぐせるヤツは大人の階段昇りすぎだ。早くそうなりたい。
「……あるの?」
「何が?」
「だから……あれよ」
二人とも少しウィスパーな声でささやき合う。
「今日、こうなるってあんたは予想して……というか、そのつもりがあったの?」
「予想してなかった。そのつもりはいつだってあるぞ」
「そういうことじゃなくて……だから準備してたの?」
「準備?……見られて困るようなものを隠したりはしていないぞ。家捜しとかするなよ」
「……家に上がる前、数分待たされたわね。ってだからそうじゃなくって。今この時のための具体的な準備よ。あんた自分が何しようとしてるのか分かってるの?」
「ちょっと待て。……うん、充分硬くなってもう準備万端だぞ?」
「何確認してるのよ!」
「あ、すまん。お前の方か。どれ……」
「こら!いきなりパンツ脱がすな!そうじゃなくって!避妊具よ!コンドームあるのかって聞いてるの!」
俺は固まった。
ハルヒのスカートに手を突っ込んでハルヒの温もりが手に伝わるパンツを掴んだまま。
「しまった。ない」
「もう!」
ハルヒは俺の手を払いのけてから俺の脇をすり抜けベッドから降りた。
床に置いてある自分のカバンを開け、そこから一つの小さなビニールの包みを取り出した。
「ほら」
ピンクのビニールに入っているそれはまさしくコンドーム。
「勘違いしないでよ!たまたまなんだからね!」
俺が発しようとした感嘆と安堵の言葉はハルヒにかき消された。
「えっと、その、確か、何だったかしら、そう!薬局で買い物をした時にキャンペーンで成人女性にサンプルとして配られていたのよ!そういうことってあるでしょ?あるのよ!あるはずよ!で、たまたまそれを手にして、あ、その時は私服で買い物したの、それをカバンに入れっぱなしにしてて、あれ?あ、違うの!カバンは学校カバンだったの!なんでかしら……えっと、多分、その時のあたしは学校カバンを持ち歩く気分だったの!それでさっきまで忘れてたけど、そういえば入っていたなって思い出したの!だからたまたまなのよ!」
ハルヒの言葉がそこで途切れた。説明が終わったらしい。
猛烈に怒ったような顔をしてぷるぷると震えながら俺を睨みつけている。ちょっと涙目にもなっている。
「そうか……。こういうのは男がちゃんと準備しておくものだよな。気をつけるよ。それにしてもその薬局には感謝だな。いいキャンペーンをしててくれた。本当に助かる」
俺は本当に心から感謝してコンドームを握り締めた。
ハルヒはしばしきょとんとしたゼロの表情になり、その後くすっと笑った。
「本当よ!心から反省して感謝しなさい!」
ハルヒは俺の横に寄り添うようにベッドに座り、頭を俺の肩にぶつけてきた。
「それはお前にか?薬局にか?」
「……両方よ!両方!」
「なるほど。じゃあ、後でその薬局にコンドーム買いに行くか」
俺は再びハルヒを押し倒した。
「あん……そうね、でも……必要なら、まだ家にあるわよ……たまたま、同じ種類のが何でだか家に一箱あったの」
「そうか。まぁでも、今も一回で終わるとは思えないし、もう一個はあるといいよな。ん?」
ハルヒの視線がカバンへと向いていた。
「もう一個、あるのか?」
「……」
ハルヒは黙ってうなずいた。
だったら安心だ。
もうカバンの方を見なくていい。俺はそっとハルヒの顔を撫で、その視線を俺へと向けさせた。
相変わらず怒ったような表情。でも、少し笑っているようにも見える。
それはそれとして。なぁハルヒ。
キスする時くらいは目をつむってくれ。
END
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キョンとハルヒの二人が付き合うようになったら、コンドームはどうするんだろう?と思ったので書いてみました。
コンドームエピソードは想像するといろいろ膨らんで楽しい。
放課後こそっとハルヒが「そろそろ買わないと…」とキョンに耳打ちして、「分かった、今日薬局で買うよ」と言ったキョンが「古泉、買い物行くんだが一緒に行くか?」と何も考えず誘ってハルヒを慌てさせたり。とかあったら楽しい。
ではでは、またですー!
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